ふたたびの春 〜カスタードホイップ 桜バージョン〜
閉塞的な世界になってもう三度目の春。
季節の移ろいさえ見逃してしまうほど混沌とした世の中で自分の身を守ることで精一杯だった。
そんな殺伐とした世界で果てしなく繰り返されると思われた戦いも今、静かに終わりを告げようとしていた。
しかしこの長く過酷な戦いの影響は思っている以上に深刻で深い傷を人々の心の中に残していた。
人々が身を守るために装着していたフェイスマスクは笑顔を忘れさせ次第に感情さえ奪い去っていった。
冬の寒さが薄れ始め日差しが日増しに暖かさを運んできても何の感情も波立