(第15回)ロボット・プログラミング教室は過渡期へ。今後の進化のあり方
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「プログラミング教育」市場全体は引き続き成長基調にありますが、これまで業界を牽引してきた従来の「ロボット・プログラミング教室」というビジネスモデル自体は、過渡期に入っているといえます。
今回はロボット・プログラミング教室業界のライフサイクルについて、お伝えしていきたいと思います。
『パーティー』ロボット・プログラミング教室!?
先日、ある教育企業の方がスタッフ向けにお話をされていました。
そのお話の要点をまとめますと、
・今のロボット・プログラミング教室は、『パーティーロボット・プログラミング教室』だと私は思っている
・もちろん、幼少期の教室は子どもたちを楽しませることが重要だ
・しかし、これから、より本質的なプログラミング教育が求められる時代がくる
・わが社は、子ども達や保護者が希望するなら、将来本格的な技術や開発者になるためのカリキュラムを用意していきたい
という内容でした。
補足説明をしますと、この「パーティー」という言葉は、英会話教室業界で隠語として使われている内容を意味しています。
英会話教室業界では、レッスンを楽しませることばかりに重点が置かれていて、中長期的には英語が上達しない教室を「パーティーのように盛り上げて楽しませるだけの教室」ということで、「パーティー英会話」と表現されることがあるのです。
現在のロボット・プログラミング教室の多くは、「子どもたちが楽しめるように」「プログラミングの面白さに気づけるように」というスタイルで運営されています。
その結果、プログラミングに興味を持ち、ある程度の論理的思考力やプログラミング的思考は身に付くかもしれません。
しかし、
「数年通学して、将来業界で活躍できるだけの力の基礎が身に付くか」
と聞かれると、確かに疑問符がつく教室が多いのも事実です。冒頭のお話は、その点の課題について言及しているといえます。
スポーツ業界を例に上げると、「野球」と「ソフトボール」との関係、「サッカー」と「フットサル」の関係が近いのかもしれません。
確かにソフトボールやフットサルは幼少期に野球やサッカーの楽しさを体験し、子ども達にそのスポーツへの興味を持ってもらうためには効果的です。しかし、それだけをずっと続けていて、「プロ野球選手」「プロサッカー選手」になれるかというと、非常に難しいのも事実です。
これらのスポーツの業界では、保護者も「野球とソフトボールの違い」「サッカーとフットサルの違い」を認識しているため、各家庭の目的に合わせて使い分けることが可能になっています。
しかし、プログラミング教室業界はまだまだ市場についての情報が浸透していないため、
「現在のロボット・プログラミング教室が実際にどのような内容で、将来、何につながっていくのか」
を明確に認識できている保護者が少ないのです。
その結果、本来の自分たちの目的とは合致しない教室に通ってしまっているケースも生まれているのです。
専門家から見た現在のプログラミング教室の姿とは
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