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今週のアニメ業界関連ニュースまとめ 2022/5/31 #44

クリエイティブよりも、ビジネス関連強めのアニメニュース・記事をキュレーションしています。
今週は、テレビでは『SPY×FAMILY』。劇場だと『犬王』の話題が目に留まりました。特に『犬王』はミクシィも投資した大型案件です。海外でどれだけ売れるかも気になるますが、まずは国内の興行収入がどれぐらいまで行くかにも注目です。

前代未聞の制作スタイル!? プロデューサーが明かす、『SPY×FAMILY』ができるまで

アニメーションは、1つの作品は1つのアニメスタジオが手掛けるのが、一般的な制作スタイル。しかし今回は、『進撃の巨人Season1~3』で知られるWIT STUDIO、『Fate/Grand Order ‐絶対魔獣戦線バビロニア‐』を手掛けたCloverWorksという、日本を代表する実力派の2つのスタジオがタッグを組み制作するという、業界的に珍しい方法で作られている。

いや、共同制作って昔から山のようにありますよ、とツッコミたくなるような表題ですが、両制作会社のプロデューサーが「お見合い」のような良い意味での遠慮感、緊張感が伝わってくる興味深いインタビューでした。もっと具体的にどのパートを、どの会社が請け負っているのか知りたかったですけどね……。

株式会社ミクシィ、5年間で最大30億円をIPコンテンツに投資決定 第1弾として映画「犬王」に出資

株式会社ミクシィが、今後5年間で最大30億円をIPコンテンツに投資を行うと発表。第1弾として、映画『犬王』(2022年5月28日ロードショー)に出資し、英国風パブ「HUB」とのコラボやTwitterキャンペーンなどを展開する。

30億円の投資も驚きですが、記事の中では『これまでXFLAGがオリジナルアニメや関連商品の最新情報を発信してきた公式YouTubeチャンネルおよび公式Twitterアカウントを「XFLAG ANIME」から「MIXI_ANIME」へ名称変更』とあります。アニメのブランドがXFLAGから無くなるということですよね。

アニメ界の異才・湯浅政明氏が抱く切実な危機感 映画「犬王」が室町時代の下層の人々を描いた訳

日本の伝統芸能の1つ、能楽。それがまだ「猿楽能」と呼ばれていた南北朝〜室町時代を舞台にしたアニメーション映画『犬王』が、5月28日に公開される。
原作は古川日出男の小説『平家物語 犬王の巻』(河出文庫刊)。主人公の犬王は、歴史の教科書にも出てくる観阿弥・世阿弥と人気を二分した実在の能楽師だが、今ではほとんどその名を知られていない。

映画のパブか……と思い、軽い気持ちで読んだインタビューでしたが、湯浅監督の心のひだが伝わってくるようでした。アニメ市場が活気づいても、「近年アニメが作りにくい環境になっている」とのこと。「狡猾に立ち回ることだけでより利益を得られるようなシステムでは、必死に作品を支えようとしているクリエーターは疲弊するばかり」とも述べられています。海外の配信事業者に高額ライセンスして、一発回収というビジネスモデルが近年目立ちます。一方で、現場が潤っている話しは聞いたことがありません。湯浅監督の危機感は、真っ当だと思います。

エイベックス 日本のアニメ関連ビジネス 中東で本格参入へ

大手音楽会社の「エイベックス」は、コロナ禍で主力のライブ分野の業績回復が遅れる中、日本のアニメに関連する海外ビジネスの拡大を図ろうと、経済改革で娯楽産業の振興に力を入れる中東のサウジアラビアで、イベント事業に本格的に参入することになりました。

中東だと既に東映アニメさんがかなり積極的に参入していますが、連携はあるのでしょうか。いずれにせよ、一社で展開するには広すぎる市場なので、横の展開も期待しています。

VOD参入で変わりつつあるアニメ制作現場 局ではなく“スタジオ主導”の作品量産がカギ「放送枠や製作委員会方式に限界も」

Netflixがアニメーション業界とのパートナーシップを強化している。2018年に始まったアニメーション制作スタジオとの包括的業務提携はすでに国内外10社にのぼり、今年4月にはスタジオコロリドが複数年にわたってNetflixと共同制作を行うことを発表。

局でもスタジオでも、どこが主導しても結局、面白い企画かどうかが最初に検討すべき問題かと。視聴者からすると、どこが主導していても全く関係ないので、制作会社主導のチャレンジでどこまでヒットを飛ばせるかで、今後の命運が決まりそうです。

【数土直志「月刊アニメビジネス」】成長するアニメ市場でのスタジオとスタッフの生存戦略

5月に上場企業各社の3月期末決算が発表された。2021年4月から22年3月までの1年間の業績をまとめたものである。このタイミングで直近のビジネス面での動向が明らかになるアニメ関係会社も多いが、新型コロナ禍での対応も進むなかで、各社のアニメ関連事業の業績はおおむね好調だ。

「現在いちばん確実な利益分配は、複雑な仕組みでなく、実はひとつひとつの作品の制作予算を増やし、そのなかでの当初の報酬金額を増額すること」→非常に真っ当な意見。広告代理店のような方針のアニメ制作会社もありますが、単純に単価&成功報酬のUPが一番の生存戦略です。

押井守監督、特殊なアニメ業界に苦言 新たな国際映画祭開催で悪しき伝統打破に期待

長編商業アニメーションにスポットを当てた新たな映画祭『第1回新潟国際アニメーション映画祭』が、新潟市を中心に2023年3月17~22日に開催されることが23日、都内で行われた記者会見にて発表された。

「『人の仕事に口を出すな』『やったことに文句を言うな』というのが、僕らの世界の悪しき伝統だった」とのコメントもあり、押井節が強調された映画祭になりそうですね。確かに「辛口なアニメ映画祭」になったら、独自性も出て意義深いものになりそうです。

『ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン』に込められた問題提起 アニメ業界を暗喩する側面も

5月16日に配信された、Netflixオリジナルアニメ『ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン』。同作はWIT STUDIOによる完全新作で、監督・牧原亮太郎(『ハル』『屍者の帝国』など)、副監督・田中洋之(『進撃の巨人』など)、キャラクターデザイン&総作監・西尾鉄也(『NARUTO-ナルト-』など)と、ヒット作に携わったスタッフが集結していることでも注目を集めていた。

「牧原監督は同作の世界感をアニメ業界になぞらえた側面もある」とのことですが、言われないとちょっとわかりませんね。アニメ業界は「やりがい搾取」とも思われることも多々です。ただ一方で、本作のように多額の制作費でやりたい企画ができる「夢の業界」であることも確かです。

「鬼滅の刃」のブレーク ビッグデータから解析 “失速”の理由も

映画の興収が400億円を突破するなど吾峠呼世晴さんのマンガで、アニメ化もされた「鬼滅の刃」。社会的ブームとなった同作についてビッグデータから読み解いたところ、ブレークと“失速”の姿が見えてきました。

なかなか興味深いデータ。ヤフーの行動ビッグデータを元にしたネットサービスとのことだけど、肌感覚としても違和感ないです。『遊郭編』への繋ぎは、「戦略ミス」とデータは示しています。製作側としては既に折り込んでいるとは思いますので、今後に期待ですね。

アニメ『シティーハンター』×「Get Wild」35周年 3人のキーマンが語る、誕生までの奇跡の物語

2022年4月8日、アニメ『シティーハンター』の新作劇場版の制作が決定したことが発表され(公開時期は未定)、SNS上では歓喜の声が飛び交った。さらにエンディングテーマが、この作品には欠かせないTM NETWORK「Get Wild」ということも発表された。

レコード会社側からみた企画時の『シティハンター』がなかなか新鮮なインタビュー。また、『シティーハンター』は放送まで4ヶ月しかない期間の中でアニメ制作されたとのこと。昔は、たまにこういった作品もありましたね。中には3ヶ月という期間のものも聞いたことがあります(苦笑)。あと、『シティハンター』の制作を断ったアニメ会社ですが、私もよく知っている会社です。これはまた別の機会に……。

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