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ブランコノリの詩

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「ブランコノリ」の音楽を、詩から紹介させてください。
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記事一覧

詩 | 好日

詩 | 好日

白い壁の上
額縁に切り取られた
二人の部屋を
入り陽が照らしている

皮膚を刻む深い影は
ともに越えた季節からのはなむけ

暮れていく今日に何気なく寄り添う
触れあい繕いあう
明け暮れをまた
くりかえし積み重ねる
いつものように

夜の底に
名前のない火が灯る
足音みたいに
鼓動は揃っていく

背中合わせに四方隈なく
互いをまもる盾となり矛として

明けていく空を肩越しに覗く
目があい笑いあう

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詩 | トワイライト・ドライブ

詩 | トワイライト・ドライブ

笑い声を聞いていたいような
大あくびついでに深呼吸するみたいに
右と左のどちらも踏み込まない

ハンドルもきらずに
進んでゆくまま

道を懐く大地の
母なる海を泳ぐ

言葉しかみえないのなら
境界を消せやしないんだ

遠い陽は黙ったままで
もういいかまた見送るよ

ここに今すべてがあって
この身には何も無い

ここに今すべてがあって
この身には何も無いのさ

♪♪♪

詩 | ひとやすみ

詩 | ひとやすみ

閉じたままでも
読める本
老いた若さが
カランコロン

いつかを語ろう
今ここで
猫も杓子も
描く輪の先

恋が叶えば
引き換えに
世に憚って
カランコロン

いつかを語ろう
今ここで
猫も杓子も
描く輪の先

♪♪♪

詩 | オバケなんて嘘さ

詩 | オバケなんて嘘さ

拗ねている膝小僧
抱き寄せ
溜め息ひとつ
遅くない 
遅くない
それから後でもいいよ

蜂蜜色した帰り道
烏が見てる
いくつものライン
狂ってるのは
どちらか一方じゃないんだよ

昨日も明日も
ホンモノのフリをしてる
何処でも行けるよ
願いを叫んでみてよ

蜂蜜色した帰り道
烏が見てる
いくつものライン
狂ってるのは
どっちだっていいよ

ただ吸って
そして吐いて
また吸って
それだけ続けて
ここ

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詩 | 蛍

詩 | 蛍

宵闇にひび一つ

疲れ果てた笑っていた

明滅は尾を引いてさやかに踊る

甘いのは此方の水

触れられるより映したがる

その実 無限の断面の皮膚という罠

纏わりつく鼻につく 茂る川藻はさざめかす

手を延べて息を飲む 怖いくらい深い曖昧

ひび割れた常の闇

疲れ果てた笑っていた

ひび割れた常の闇

疲れ果てた笑っていた

風薫る夜は更ける 瞬くままに行き交わす

宥め賺したセレモニー 嘘み

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詩 | 夜光

詩 | 夜光

みえない夜空の上の上

心を転がして

張りつめた肌をつま弾くと

みんな落っこち始める

洪水の街に降り注ぐ

カミソリみたいな閃き

滲んでそして膿んで腐った記憶は

藍色の水彩匂っている

この手で掬って握って消えてしまわないようにって

その手を開いて確かめてもうそこには無いって

朝が来ないように拡がり続ける

夜を纏って裸足で踊ってる

突き刺さる金属みたいな雨音

リズムに身を裂く光

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