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私が選ぶ今年のアルバム10枚(2020年)

今年はとにかく音楽を聴いた1年でした。ライブはもちろん、旅行も買物も友人と会うことも自由にできない。ただただ、仕事と自宅の往復だけが続くかわり映えのない日常に新鮮味を持たせるため、とことん音楽に頼り切った1年だったように思います。

Spotfyでディグるうちに、自分好みのアーティストや楽曲と出会っていく時間が、毎晩FMラジオを聴いては「かっこいい!」と思った曲をせっせとカセットテープにダビングしてた10代の頃を思い出させてくれました。莫大な情報量を持つ音楽配信サービスがリスニング環境の主流となった今は、当時よりも自分の趣味に合うものが見つけやすいし、「ラジオで聴いたシングル曲は良かったのにアルバムはイマイチだった」という失敗することもありません。また、決まったアーティストばかりを聴き続けがちなステレオタイプな私にとって、Spotfyのおかげでなかなか刺激的なリスニングライフを送れました。もちろん、これを書いている今も継続中。

今年はラップや若手ロックバンド、新鋭SSWのアルバムを選んでいます。最近は自分より若い世代の曲を聴くことへの抵抗がなくなりましたが、そのなかでもラッパーを進んで聴いたことは、我ながらかなり珍しい。そんな未知との遭遇も果たした2020年。さて、来年はまた新しい出会いがあるのでしょうか?非常に楽しみ!

それでは以下10枚のアルバムをリリース順にご紹介します。いろんなことが起きた2020年、私が強いシンパシーを感じたアルバムたちです。

①echo / Chara+YUKI

Chara+YUKIの20年ぶりの復活は、20年前を知る世代にとっては歓喜の嵐であったことは間違いなし!アルバムは華やかなファンファーレとともに始まる「愛の火 3つ オレンジ(2020version)」で幕をあけ、今の時代観をとらえたダンスミュージックをはじめ、遊び心満載な楽曲が勢揃い。参加ミュージシャンも豪華で、アルバムのエンディングにはくるりの岸田繁さんがアコースティックギターでも参加しているアルバム表題曲「echo」が。春に予定されていたツアーは残念ながら中止になってしまいましたが、実際のステージではどんなパフォーマンスが繰り広げられていたのかな?と聴きながら考えるだけでもワクワクしてくる。いつか2人の邂逅が実現することを願っています。

②hope/マカロニえんぴつ

11月にはメジャーデビューも決まり、現在うなぎ登りな勢いのマカロニえんぴつ。私は去年GRAPEVINEとの対バンで初めて彼らのライブを観ましたが、ここ最近出会った若手バンドのなかでは、とびぬけて私好みの曲が多い。調べてみると、Vo&Gtはっとりくんのルーツにはユニコーン、ミスチル、GRAPEVINE…といった具合に、私が青春時代に聴いてきたバンドがある。凝ったアレンジの曲も多くなかなか聴き応えのあるアルバムだし、何でもかんでもバンドでやってのけようとする器用貧乏なところは、去年解散したNICO Touches the Wallsと被る。《少年だった僕たちは / カネを知ってヒトになった》(「ボーイ・ミーツ・ワールド」)というフレーズ、ずいぶん前にヒトになってしまった私の胸には、グサッと刺さりました。頑張って欲しい!

③ALBUM. / 和田 唱

トライセラトップス和田唱さんのソロアルバム第2弾。1st Album『1975』よりもパーソナルな楽曲が揃い、等身大で生きることの素晴らしさを教えられたアルバム。カラフルで優しくて、まるであたたかな日差しのよう。このアルバムは緊急事態宣言の発令中に発売になりました。もちろんお店に買いにいくことはできないので、私はオンラインで買い、自宅に届くとすぐに聴いて。コロナ禍に入る前の日常のひとつが蘇り、すごく嬉しかったことを思い出します。なかでも「アイ」という曲が私のお気に入りでした。ジャケ写はお母さまである平野レミさんと幼少期の唱くんの2ショット写真。裏ジャケはお父様である和田誠さんとのお写真が使われています。あと和田さんといえば、10月にトライセラトップスが2年半振りに活動再開(涙)!12月には東名阪ツアーが開催され、彼らのトリビュートアルバムも発売。年末のギリギリまで楽しみがあるって幸せなことですね。

④Boston Bag / BIM

ラップという未知との遭遇を果たした2020年の夏の終わりは、精神的に一番疲れていた時期でした…。振り返ってみると、音楽を聴くことで何かしらの刺激を求めていたのだと思います。さもなくば絶対に聴かないジャンルだけど、単純に自分と相性の良いラッパーに出会えていなかっただけなのかもしれません。

⑤THE THIRD SUMMER OF LOVE / ラブリーサマーちゃん

このアルバムも何かしらの刺激を求めていた夏の終わりにSNSでおすすめしている方を多く見かけたので聴いたら「ブリグリ~!!」と大興奮した。ブリグリことthe brilliant greenを聴いていた世代には、ドンピシャなアルバムだと思います。実際、ラブリーサマーちゃんも彼女たちが好きみたいですねぇ。キッチュなブリティットポップ、気持ちが滅入るようなニュースばかりの灰色の現実から、カラフルな世界に飛び込んでしまった。大好きなアルバム。

⑥俺のRequest / JUJU

次に選んだのがJUJUさんの『俺のRequest』です。ちょっと意外に思われそうですが、実は私、彼女のライブは数回観に行ったことがあり、こちらのMVの撮影にも参加したこともあるのです…。今回、10月10日に開催された無観客生配信ライブ「JUJUの日ライブ ジュジュ苑スペシャル」で、久しぶりに歌っているJUJUを観まして、とんでもなく感動してしまい、思わず今年の10枚に選んでしまいました。これは、男性ヴォーカル曲メインのカバーアルバムになるのですが、JUJUに情感たっぷりに歌われてしまうと、原曲とは違う目線のストーリーが描かれます。そして、改めてそれぞれの楽曲の良さにも気づかせてくれる。ちなみに私の一番のお気に入りは、山崎まさよしさんのカバー「One more time, One more chance」。

⑦Between the Black and Gray / MONOEYES

ELLEGARDENとはかけ離れた音楽性を持つバンドとしてthe HIATUSが誕生し、the HIATUSでは不可能なことを実現させるためにMONOEYESは結成されたわけですが、今回MONOEYESの新作『Between the Black and Gray』が誕生したことで、その道程をVo&Gt細美さんはようやく一周できたんじゃないかな?と思いました。青春という看板を掲げ爆走するわけではなく、一人で勝手に暗闇に堕ちてゆくわけでもない。ロックバンドが今鳴らさなければならない"必然"をMONOEYESは鳴らしている。アルバムタイトルを直訳すると「黒とグレーの間」。濃くも薄くもないその曖昧さは、感情が揺れやすく、未来を見つめる視線もぶれがちなコロナ禍を生きる私たちのメタファーだとしたら、今、生きる力を必要としている人にとって確実に響くものがある。その理由のひとつには、本来のスケジュール通りに制作できなかったことが結果的にプラスになり、アルバムをさらに強靭なものにした、というのもあるはず。

⑧極彩色の祝祭 / ROTH BRAT BARON

素晴らしいの一言に尽きるアルバム。あまり多くを語る必要はないと思うので、気になった方は聴いて欲しいです!今すぐにでも!こんなに豊かで、生命力溢れるアルバムが、コロナ禍に発売された事実は、ベタな言葉になるけど「希望」に過ぎない。今年、エンタメ界隈は大打撃を受け、時に悪者扱いされてきたけれど、それでも音楽を愛する者のひとりとして、これからも信じ続けようと、強く思わせてくれたアルバム。

⑨Applause / ストレイテナー

もし選んだ10枚のなかからベスト1を選ぶとしたら、先に選んだROTH BRAT BARONか、ストレイテナーの『Applause』を。近年リリースされたテナーのアルバムのなかでも、一番好きなアルバムです。骨太のバンドサウンドにポップで親しみやすいホリエメロディが乗るというのが、最近のテナーのシグネチャーだと理解してたけれど、今回のアルバムには孤独な葛藤や怒りやメランコリックな感情も描かれていて、聴いていくうちにまるで自分事のように深く共感してしまう曲が多い。苦しかった2020年を生き抜いた人の心を映し出すようなアルバムだなと思ったし、そんなアルバムが2020年の終わりに発売されたことに,、大きな意味がある気がします。今までにないほどの、ストレイテナーの覚悟を感じた1枚。

⑩SOUNDTRACKS / Mr.Children

「現時点で思うことは、このアルバムで最後にしたい」。そう話す桜井さんの言葉を聞いて、絶対に聴かなくちゃダメなアルバムだ、という直感が働いた。そして実際に買って聴いて単刀直入に思ったことが「ミスチルも歳を取ったんだな…」。もしかしたら、既に次の世代にバトンタッチした感覚があるのかもしれないし、それがメンバー全員50代を迎えたミスチルのリアルなのかもしれない。10代前半の私にとってヒーローだった人が音楽を通して「老い」を表現している事実には、誰もが歳を取るものだけど、軽いショックを受けました。「Documentary film」を歌う桜井さんの鬼気迫る歌声を聴いていると、胸が押しつぶされそうになる。でも、このアルバムを通して、ミスチルとの距離感がぐっと縮まったような気がしています。10代、20代の頃にはわからなかった桜井さんの気持ちが理解できるくらい、私も大人になってしまった。

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