短歌 弥生 十首

1
おさなごの駄々こねる声なつかしくあの子も私に溶けるひかり

2
青春がうまく弾けないアルペジオだったと気づく視聴覚室

3
正答が正当化するプロセスのよこで首吊りしていたあなた

4
窓の外に顔つき出して見上げても如月なんてあったのかしら

5
よく晴れて梅も咲いてるそれなのに閉じたこころで微笑むあなた

6
たくさんの花に包まれたきみから言葉を奪う淘汰圧たち

7
ひかげにも咲く花があり私ってかわいいやつだと主張している

8
あの子なら虹を探しに行ったまま梅と一緒に散ったらしいよ

9
トラックを何周しても叶わない恋があるから死にたくなるの

10
花柄のワンピースまだ似合うかな春とは便利至極の言い訳

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