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【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

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心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
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2020年6月の記事一覧

短歌 都会 十首

短歌 都会 十首

1
雨やどりさせてくださいその胸は私のための空間でしょう

2
きいたことない曲ばかり再生し昭和生まれ!と誹りを受ける

3
野良犬を見なくなったねみんなよくいうことをきくいい子たちだね

4
Uの字のへちまがあったなら新作のゲームより夢中になれるのに

5
ざんざんと粒をはじいた雨傘はたぶんほんとのことを知ってる

6
紫陽花の下にも何か埋まっててみんな知らないふりをしている

7
もしかして今

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短歌 虹 十首

短歌 虹 十首

1
駅前で投げ売りされるマスクたち 近くの川の虹を見ている

2
美しい虹を見たひとから順にチケットが配られてゆく仕組み

3
自転車のサドルを失くす夢を見た 虹の向こうの現実だった

4
大雨のあとに虹がかかるのなら私の眉間にかかってもいい

5
公園で虹を作った過去があり水道代を気にする現在

6
レインボーブリッジがもし本物の虹だったならここにはいない

7
虹なんてただの光の屈折と知ってし

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短歌 未来 十首

短歌 未来 十首

1
生まれ変わりがもしあるのなら九十九里浜の砂の一粒がいい

2
濡れそぼる後ろ姿を発見し声張り上げる「新しい顔よ」

3
永遠はその辺にある(まさか、え、まさか)そのまさかです

4
限界を越えて見せろというのならまずは手本を見せてください

5
ラーメンの海苔はどういうタイミングで救ってやればいいんでしょうね

6
目の前で事件が起きて(まだ夢を見ていることとして聞く悲鳴)

7
寝息ごと食べ

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短歌 デート 十首

1
ためいきのその先にあるほんとうを知るために今日ペディキュアをぬる

2
新しいスカートにキャミ合わせたら気づいてくれるなどファンタジー

3
耳たぶが厚いんだねと触れられて反則技を見逃すピアス

4
はちみつがなぜ甘いかを考えているうちきみが隣に座る

5
待った? って「ううん」と笑顔を浮かべてもひたいの汗が饒舌である

6
溶けていくソフトクリームを舐めとる 何に嫉妬をしたらいいんだ

7

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短歌 カナ 十首

短歌 カナ 十首

1
うまそうにマック頬張る顔を見てどこに惚れたか検索をする

2
今買うと百万円のこのツボがなんと三日で壊れて消える

3
言い訳を考えている顔をしていること割とバレてますけど

4
分度器を売ってるコンビニを探して月の裏側まで来てしまって

5
「今まさに歴史が変わる瞬間だ」それがプロポーズの言葉です

6
みんなとは違う一粒を選んで苛烈なミントに心を焦がす

7
嘘つきが嘘をつくのは本当のこと

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短歌 箱 十首

短歌 箱 十首

1
矛盾しているってきみは泣くけれど色恋沙汰に論理は不要

2
うらおもてが許されるのは人生が野球にとても似ているからさ

3
リビングでムーンウォークの練習をしているきみ、たぶん捕まる

4
この部屋も宇宙の歴史の一ページとして今から物差しを折る

5
未来から来たと言い張るおじさんの処遇に困る市役所のひと

6
月明かりに疲れたふたり線路沿いの小部屋から飛び立つ準備

7
ペディキュアを手伝う

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短歌 恋人 十首

短歌 恋人 十首

1
指と指チョコレート越しにあわせて買ったばかりのシーツに沈む

2
耳たぶに触れるときまだためらいがあるからきみをまた好きになる

3
屈服はきみにだけする もし明日世界が終わると脅されたって

4
きみが好きな味のポテチは売ってないから寄り道しない

5
流れ星なんて見つける暇がない となりできみが深呼吸する

6
恋人がいますときどき壊れます朝が来るたび一緒に泣きます

7
奇跡とか純愛とか

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短歌 雨 十首

短歌 雨 十首

1
真っ黒な雲を呼んだのきみですか 高確率で僕は打たれる

2
紫陽花をひとつ手折って差し出せどそれは死体と言い捨てるきみ

3
鉛筆をナイフで削る音がするごめんなさいを言いそびれてる

4
雨降りも楽しいことと跳ねられる好きになるってそういうことだ

5
傘の花たちが街を彩ると曇天は優しいキャンバスとなる

6
みなもから音符があふれ歌になる雨も悪くないとポップスで

7

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