マガジンのカバー画像

【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

669
心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
運営しているクリエイター

2018年1月の記事一覧

短歌 不思議 十首

短歌 不思議 十首

突然に私の頬に雨が降る 過日に捨てた夢の破片だ

セイハロー、天国に向けセイハロー、そろそろ着いた頃だと思う

優しさはこころの果実と心得て熟れたらそっと左手でもぐ

北風に怯えた日々もあったけどジャズのリズムで乗り越えてみて

あたたかさだけが正しいわけじゃない 気づきを与えてくれる冷たさ

棘や毒、牙よりもっと怖いのは言葉という名のヒトの劇薬

被害者が誰だか既にわからない

もっとみる
短歌 晩冬 十首

短歌 晩冬 十首

芽吹いたら底を知らない恋心 晩冬の空に毅然とあれ

「ありがとう」と「愛してる」の言の葉はくすぐったさがとても似ている

灰色の冬を脱ぎ捨て街に出よ 小さな春を捕まえにゆけ

届かないことは同時に尊さを伝えることだと気づいた喪服

iPhoneの画面にたぶんアイはない eyeで追うのは虚しさばかり

あの日から心に決めたことがある 何が何でも生き延びてやる

疲れたら詩歌を

もっとみる
短歌 けもの 十首

短歌 けもの 十首

満たすことは乱すことと言い淀み強くなれない言い訳をする

ボサノバかボッサノヴァかを問うよりもそのボサボサの髪をなんとか

あの人がいなければ良いこの胸が泣くことがもうなくなれば良い

繋ぎ目がじんじん痛む日もあった それは束縛だったからかな

雨の夜は優しい歌が歌えない 獣になるしかすべがないから

赤色の点滅のほうを見つめて失せた面影まだ探してる

心配をこころくばりと

もっとみる
短歌 正しさ 十首

短歌 正しさ 十首

理解してなんて言わない私たち輪廻の外で幸せだから

滲んでる境界線を引き直しもう一度だけ正気を保つ

終焉に向かう世界を泣き喚く貴方のせいにしてしまえたら

最後尾からの方が早い 閉じてゆく日を数えるならば

正しいと叫べばいいのに本当はわかっているの正しくないと

切ったはずの縁がぬくりと蠢いて春が近いと囁いている

後悔はしてもいいけどそれならば私に気持ちを伝えてから

もっとみる