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【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

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心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
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2017年12月の記事一覧

短歌 ココア 十首

短歌 ココア 十首

窓際で眠るあなたに降り注ぐ柔い西陽に僕はなりたい

思い出がこれ以上美化されぬよう右のこめかみを強く押した

美しい季節になれと微笑んで秋を屠った君は変態

私よりゲームに夢中な君のこと攻略をするゲームに夢中

バンホーテンを知らない君へ教える甘くない恋もあるってこと

二人とも整理整頓が苦手で互いの傷の場所を知らない

「あ、天使」と空を見上げて呟いた君の孤独をわかりたかった

笑い顔が似てきた

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短歌 春待ち 十首

短歌 春待ち 十首

嘘つきは美しい花になるはず四月ごろには桜が咲くし

萌芽とはつまり悪意の目覚めだという仮説なら否定しておく

缶コーヒー片手に君を待っていた路地の氷がみたび張るまで

クリスマスソングが世界を急かすから自転速度が上がったみたい

恥たちも過ぎてしまえば糧になる がっついてでも生きぬく聖夜

熱を持つ月にお祈りしちゃダメよ叶うものすら失っていく

再会を恐れ彷徨うコンコース 京王線はわざと止まった

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短歌 ヒストリー 十首

短歌 ヒストリー 十首

好きな色も知らない人にプレゼント 有馬記念より緊張する

本当にいいんですねと念押され急にためらう愛の告白

流行らないタバコなんかでごまかして微笑めるのは今のうちです

心にはしっかり棲みついているのに歩幅を知るとイライラしちゃう

左側なんて嫌です支配してほしいの右ききのその腕で

こんなにも心が痛い原因は君なんだから責任を取れ

休日にカフェデートなんてしゃれこんでイオンモールが恋しくなった

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短歌 誕生日 十首

短歌 誕生日 十首

倦怠期をケンタッキーと間違えて今日も我が家は平和なのです

おめでとうが今更照れて言えなくて口を尖らせつぶやく「老けた?」

あなたからもらったピアスをしています 早く髪に触れそれに気づいて

サプライズがなくても日々がサプライズ なんでシチューにちくわが入る

その瞳がどうか曇りませんように 泣けますように 笑えるように

寒いからほっぺをくっつけニヤケ顔 これから冬を大好き

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短歌 煌めきの赤 十首

短歌 煌めきの赤 十首

満たされるつもりなどない 愛情に底があるとは思えないから

私たち重ねた日々が鮮やかに広がってゆく影が愛しい

ゆく季節に柔らかなサヨナラを真白いベッドの上で告げるの

銀河系の隅っこでまだ泣いてるの 胸を裂くならフレアを想え

リトマス紙みたいにわかりやすいひと 嘘がつけないところも一緒

情熱を薔薇に託した歌の所為 私は耳を塞ぎ続ける

僕らみな太陽の子と笑えればどこに

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短歌 ジュブナイル 十首

短歌 ジュブナイル 十首

本当にごめんなさいという君の心の声をよく確かめて

さよならは無駄がないから悲しくてWordの余白を拡げてみた

かくれんぼ 鬼ごっこ ままごと全部黒で潰した理由も知らず

手と手と手 真っ逆さまに落ちてゆく あたし地獄をもう知ってるの

あの人は確かに私の傷跡だ ずっと居残り光を放つ

笑うとき悲しそうな目をしていると言われるまでは気づかなかった

暗闇を言い訳にして触れ

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短歌 占い 十首

短歌 占い 十首

占いを信じるわりに私には現実的なことを言うのね

水瓶座と射手座の相性がいいことは僕たちがもう証明してる

唇をくっつけたそれは事実上キスと判定していいですか

この胸にドラムンベースが棲みついた 重たく深く鼓動を刻む

やっかいな鼓動の高くある冬は孤独をどこかに見失っている

十二月 間違ってなどいないから一緒に虹を探しに行こう

吐く息も街の明かりに消えてゆく 二人の影

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短歌 贈り物 十首

短歌 贈り物 十首

思い出が美しいなんて決めないで 今から汚すつもりでいるの

最近の流行をよく知らなくて「今どき?」なんて言われ嬉しい

街路樹にコートを掛けてあげたいと言ったあなたにくるまれたいよ

初めての夜がはらりと遠ざかる 幸せ色に滲みを広げ

約束は破るためだけにあるとして小指が震えるわけを教えて

情熱を求め上向く唇が完膚なきまでのワガママこぼす

ネックレスも指輪もキスもあげた

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短歌 吐息 十首

短歌 吐息 十首

二番目じゃだめなんですと涙声 掴んだ袖に嵐の予感

告白がまるでこれでは告発だ 誰が君の心を踏んだ

時ぐすりが効いてきたから大丈夫 私あなたと眠っていたい

ただ一人を信じる勇気が生まれて師走の空も笑ってくれた

あの頃は傷を隠して息してた そんな時代もあったと笑う

大好きな人だからなおタチ悪い どこまで君を信じればいい

吐く息が白くなったらこの胸にポインセチアを飾っ

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短歌 14歳的な冬 十首

短歌 14歳的な冬 十首

エスパーもバースデーにはローソクを普通に吹いて消すのでしょうか

天井を泳ぐ幻に向かって「お前は不幸」と呟く不幸

消しゴムで不安が消せたらいいのにな 既読スルーにうなだれる夜

そういえば最近はいつ叫んだか覚えてないけどこころはいつも

「解き放て!」そう言われても解き放つための自分がどこにもいない

本音すらコピペだったと知ったからどうか私の顔を返して

見渡せば似た顔

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