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インターン生 もしゃもしゃの会を終えて

 はじめまして。8月末からココルームでインターンをしているNといいます。今回は、9月5日に行われた釜ヶ崎芸術大学の「もしゃもしゃの会」のことと、私が思ったことを少し、書いてみようかなと思います。

 もしゃもしゃの会は、釜ヶ崎に住み去年の夏ごろ他界された、ココルームによく絵を持ってきてくださっていた岡山さんという方の絵を模写する、という内容でした。岡山さんのカラフルでかわいらしいイラストは一見完全オリジナルに見えるのですが、実はなにかを模写したものだそうで、その岡山さんの模写を模写するから、もしゃもしゃの会。 の会は、釜ヶ崎に住み去年の夏ごろ他界された、ココルームによく絵を持ってきてくださっていた岡山さんという方の絵を模写する、という内容でした。岡山さんのカラフルでかわいらしいイラストは一見完全オリジナルに見えるのですが、実はなにかを模写したものだそうで、その岡山さんの模写を模写するから、もしゃもしゃの会。

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 私は今年の8月に初めてココルームに来たので、岡山さんにお会いしたことはありません。まずは岡山さんのことを知っている方たちから、岡山さんのお話を聞くところから会は始まりました。それぞれが思う岡山さんという人、初めてココルームに絵を持ってこられたときのこと、ココルームに来るときの合図…岡山さんのお写真を見ながら、岡山さんの描かれた絵を手に取りながら、ふむふむ、とお話を聞きます。

 次は、岡山さんの絵をトレーシングペーパーでトレースしていくという作業。まず、そっくりそのまま描けるように絵をじっと見つめます。すると、線がずっと一本に続いているわけではないことに気が付いて、それでもっとよく見てみると、鉛筆の下書きの後に、ペンで本書きがされていることがわかりました。次、実際に線を引いてみると、線も黒一色じゃなくて、私が模写した岡山さんの絵は、主線が青で、鼻が緑、口だけ赤く、黒は顔に使われていて、色も色鉛筆で丁寧に、紙の余白を残すことなく塗られていました。しかもよく真似ようと見てみると案外同じ色がなくて、岡山さんはきっと42色とか、たくさんの色が入っている大きな箱の色鉛筆を持っていたんじゃないかな、とか、岡山さんはココルームで絵を描くことはなかったと聞いたけれど、もしかしたらその色鉛筆がなかったから描かなかったのかな、などと思ってみたり。他にも、ペンにインクがたっぷり入っているから元と同じにならない、とか、トレーシングペーパーだとペンが滑って同じ線にならない、とか、絵の中にしばしば登場するフグに思いを馳せてみる、とか。

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 模写ってあまりしたことがなかったけれど、こんなにやることがいっぱいあるのか、そして、こんなに作品の、そしてそれを作った人への見え方が変わるのか。最後は参加者の方がそれぞれ思ったことを話すのですが、それもまた自分では気づかなかったことがあって、岡山さんの絵を中心に、見える世界がどんどん変わっていきました。今回のもしゃもしゃの会について、ココルームがFacebookの内容に書いている中の言葉を見返してみると、


 昨年の夏に他界された岡山さんへの追悼の意を込めて、そして岡山さんの作品を模写することを通して、それぞれに誰かを思ったり、なにかを思ったりしてもらえれば(ココルームfacebookから)


 という言葉がありました。ただ岡山さんの絵を"見る"だけでは入ってこなかった情報が、模写というその作品のくせ、色、顔の表情、全てを同じように描こうとする工程を挟むことで、驚くほど沢山手から目から、頭に入ってきたこと。模写をする前、した後では、色んなものの見え方が全然違ったこと。他にもたくさん。この会は自分にとって、書ききれないくらい色んなことを考えるきっかけになったと思います。

 ココルームに来て2週間。はや2週間?まだ週間?そんな中、釜芸や日々のお仕事を通して、ココルームにはプライベートなものをパブリックに開いていく、という表現があるのではと感じています。そこに生まれる境界線の揺らぎや、その揺らぎから始まる会話や思考というものがすごくおもしろくて、それもココルームの魅力の一つなのかな。

 この街のこと、この場所のこと、人のこと、まだまだ学ぶことはたくさんあって、まだまだたくさんあるということに身が引き締まる思いですが、それと一緒に、やっぱりとても楽しみです。

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現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています