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心理検査結果を生活につなぐ〜他職種連携|ココカリ心理学コラム

公認心理師でも臨床心理士でも、包括的な支援を目指すとき、他職種との連携は必須になります。心理学で行える可能性と限界を知っている心理士であれば、この考え方は腑に落ちてると思います。ちなみに、他職種との連携については、公認心理師法第42条で公認心理師の義務として規定されています。義務化するくらい重要であるということです。

心理士の立場からする包括的な支援とは、個人のお困りごとに対して、臨床心理学の視点つまり病理やこころの回復だけにとどまらず、その人の生活がよりよい状況になるよう支援することです。

ある方を想定して例に出してみましょう。主治医と相談し、その方のお困りごとに対して、まずは知能検査を行うことになりました。検査結果から「軽度知的障害の疑い」が持ち上がりました。親の逝去で独居になりたて、また高齢に差し掛かかっていたため、心理士としてはお金の管理や書類手続き等の懸念が浮かんできました。そこで、チーム医療から区の行政福祉に繋げました。ソーシャルワーカーや後見人などを協議いただき、生活面の支援を依頼しました。

どこまでが心理士の守備範囲でしょうか。心理検査の結果から「知的な課題がある」と所見に書くまででしょうか。それでは圧倒的に足りません。検査結果を生活に照らし合わせて、現実社会を生きていく上で何が起こり得るだろう、どうすればスムーズにやれるだろうという想像力が求められます。心理検査をとり、心理療法を使ってカウンセリングできるのは、心理士としての最低基準です。本当の意味で個人や社会に貢献できる心理士とは、その先の生活にまで思考を巡らせ、他職種や地域と連携できる人を指すのです。

書いていて私の身が引き締まりました。そんな心理士になれるよう、精進します。