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就寝前に仕事をしてはいけない|ココカリ心理学コラム

すべての人間活動の基盤になるのは「健康」です。元気があればなんでもできるけど、元気がなければできることもできなくなります。健康をつくり維持するために必要なことのひとつに「睡眠」があります。

睡眠は、心身の疲労を回復させてくれます。睡眠のリズムの中で、深い睡眠つまりノンレム睡眠が得られるほど、体内の修復・回復を促す成長ホルモンが多く分泌され、体内での代謝活動が促進されます。脳が休まり自律神経の働きが整うため、ストレスからの回復・耐性も向上します。身体の一部だけを休ませるのではなく、全体を休養させることができるので、疲労の自覚症状がない部分に対してもアプローチすることができます。睡眠って、すごい大事なんです。その他、肥満防止、肌質の改善、記憶の定着等の効果も示唆されています。

心療内科には、不眠でお困りの方が多く来院されます。不眠のつらさは経験した人でないとわからないですね。身体は疲れているのに眠れない…過去の後悔や未来の不安など余計なことばかりが頭を巡ってくる…さらに眠れなくなる…、これが1週間も2週間も続くんですよ。かなりキツいです。投薬治療で改善できる部分はありますが、薬以外の工夫も合わせて取り組めるといいです。

質のいい睡眠は、自律神経との関係で考えるとわかりやすくなります。

自律神経とは、内臓や代謝、体温といった体の機能を24時間体制でコントロールする神経のことです。心と体を活発にする交感神経と、休ませる副交感神経がバランスを取りながら、私たちの体を支えています。

交感神経は、身体の活動性を生みだす神経系です。昼間や活発に活動する時間帯に優位になります。交感神経は、心臓の働きを促進して血流を促進します。すると血圧・拍動・体温などが上昇するため、活発に活動するエネルギーがわきます。結果として、仕事やスポーツなどのパフォーマンス向上が期待できます。

副交感神経は、身体を休息させる神経系です。夜間やリラックス中に優位になります。副交感神経は心臓の働きを緩やかにします。血圧・拍動・体温などが下がるため、心身の緊張がほぐれやすくなります。睡眠・休息によって疲労回復が期待できるのも、副交感神経の働きによるものです。

副交感神経を優位にする行動、これこそが睡眠の栄養になります。

まず、就寝前の食事はベッドに入る3時間前に済ましておきたいです。胃の中に食べ物が残っている状態だと、胃腸が消化のために働き続けてしまうため、ノンレム睡眠に入りづらくなってしまいます。

入浴は、就寝2時間前に済ませておくといいです。体の中心の温度「深部体温」は眠る時に下がります。就寝直前に入浴すると、寝るには体温が上がりすぎるのです。湯船につかることも大切ですが、入浴のタイミングも大切です。

眠る前に仕事しないほうがいいです。交感神経が優位になってしまいます。先日、就寝前にSlackを開いてしまいました。そこから1時間寝付けなかったです。仕事脳が活性化して、働きが収まらない感じ。本当に眠れなくなるんだなと実感しました。同じ理論で、スマホ操作やアルコール・カフェインの摂取も控えましょう。

眠る前に、軽いストレッチをする、アロマを薫く、ゆったっりした音楽を聴くなども副交感神経を優位にする有効な手段とされています。

すべて至極あたりまえの話なんですが、意外とやってないことが多くて我ながら驚きます。いろいろと試してみて、自分の肌感にあう手法を見つけてください。

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