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「エゴグラム〜5つのこころでみる性格特性」 臨床心理士への随録 心理学

血液型占いには科学的根拠がないんですって。当たっていると感じるのはバーナム効果によるものです。心理学的に自分の性格特性をみるなら、エゴグラムがいいですね。いち側面でしかみれないものの、ある一定の信頼性と妥当性はあります。

エゴグラムの前に交流分析の説明を。交流分析とは、エリック・バーンによって開発された対人関係に関する理論とそれに基づく人間性心理学の療法です。理論はフロイトの精神分析から出発しており、技術面では認知行動療法に共通しています。現実生活における対人関係の解決に役立てます。

交流分析ではこころの在り方を、P(親)A(大人)C(子ども)で仮定します。なお、このPACは精神分析におけるP(超自我)A(自我)C(イド)に相当すると考えられています。

さて本題のエゴグラムですが、これは質問紙による心理検査の一種でして、P・A・Cを、CP/NP/A/FC/ACに分化させ、それぞれの項目の得点の構成から、その人の性格特性と対人関係の特徴を捉えようとします。

■CP(Critical Parent)批判的な親のこころ。父性ともいえる。規律、道徳。
■NP(Nurturing Parent)養護的な親のこころ。母性とも。保護、優しさ。
■A(Adult)大人のこころ。現実的な判断、理性。
■FC(Free Child)自由な子どものこころ。自由、解放。
■AC(Adapted Child)順応した子どものこころ。適応、協調。

どの項目が何点だから良いとか悪いとかはありません。例えばCPの数値が高ければ「責任感が強くて秩序を守る律儀な人」と言える一方で、「権威的で支配的で高圧的な頑固者」とも言えるわけです。数値が高ければ高いなりの良し悪し、低ければ低いなりの良し悪しがあるのです。物事には必ず表裏二面性があります。

WEB上にはエゴグラム無料診断ページが複数あります。10分あればできるので、試してみるといいと思います。ちなみに私はA優位型と判定されました。

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出所:エゴグラム性格診断 https://commutest.com/egogram/

総合評価では次のように書かれました。「積極的で行動力があるタイプです。責任感も強く、他人のために動くことをわずらわしく思いません。注意する点を挙げるなら、自分の価値観をまわりにも押し付けてしまいがち。他の考えを取り入れながら行動すると、よりあなたの持ち味が引き立ちます。」はい、気を付けます。

強制的に従ってしまう自分の中にある対人関係の癖に気づき、自分と相手に適切な対人関係の様式を再構築しましょう。まずは自分を知ること、さらに相手のエゴグラムを推測することが、より良いコミュニケーションの手がかりになります。

夫婦や恋人との相性を測る、オーバーラップ・エゴグラムという手法があります。二者間の数値の差から、双方に似ている部分、補い合うべき部分などが明らかになります。なんとなく合うなとか、なんとなく噛み合わないなと思っていた二人の関係性が、どこでつながり、あるいはすれ違っていたのか、視覚的にわかります。

例えば下記の結果であれば、CPが離れていること、NPは重なってはいるけどT3さんのNPが大きすぎて双方のバランスはよくないこと等がわかります。CPの隔たりを埋める努力、T3さんのNPの大きさを理解するなど、関係改善に向けてお互いが歩み寄る目標設定のヒントになるのです。

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出所:「交流分析をいかした教師の子どもへのかかわり方」中津郁子,宮田一仁;https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310101/files/2018042600292/file_20157271131744_1.pdf

人の性格を、物事に対する認知の仕方と行動の取り方と言い換えるなら、環境からの働きかけで変容することが可能です。認知行動療法によって立証されています。ここに希望があります。過去は変えられないけど、意志があれば人は変われるし、他者との関係性も改善できる。エゴグラムから始めてみてはいかがでしょう。