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働く天使ママコミュニティ「iKizuku(イキヅク)」代表 星野さん藤川さんへのインタビュー【後編】

今回は、働く天使ママのコミュニティ「iKizuku」を立ち上げた星野さん、藤川さんにお話をお伺いしています。
前編では、お二人についてや、コミュニティ立ち上げのきっかけについてお伺いしました。
後編では、お二人が立ち上げたコミュニティの活動内容をご紹介します。


「iKizuku」の活動内容〜働く天使ママに向けて〜


司会)それでは、お二人が立ち上げた「iKizuku」の活動内容をお伺いしていきたいと思います。働く天使ママへに向けた活動としては、どのようなことを行っているのかお聞かせください。
 
藤川さん)経験者に向けてはオンラインでの座談会の開催を中心に行なっています。2022年には対面でのセミナーと座談会も開催しました。

座談会は、経験者同士で想いをを分かち合うこと、吐き出してもらうことを目的としています。今後はグリーフやそのケアについての知識などを提供していく活動もしていきたいです。

また、経験者や社会に向けた情報提供としては、Instagramを中心に関連情報を発信しています。また、有り難いことに、最近はメディア取材の機会もいただいています。
 
司会)座談会に出席された経験者の方々の反応はいかがでしたか?
 
星野さん)座談会に1回出たからといって、気持ちが全てスッキリしたり問題が解決するわけではありません。一人じゃないんだ、仲間がいるんだ、と思ってもらえるだけで良いのかなと考えています。

参加してくださった方の中には、自分の職場にiKizukuで作成しているグリーフや職場復帰に向けてのアドバイスを記載したリーフレットを持っていってくださったり、働く天使ママの現状や課題について人事に話してみると仰ってくださったりと、職場へ働きかけてくれる人もいます。
 
司会)参加してくださった方が周囲に活動を広めるような働きかけをしてくださっているんですね。活動の幅がより広がっていきそうですね。
 
星野さん)コミュニティとしての横のつながりも大切にしています。他のピアサポートグループとの相互連携や、働く女性を支援されている団体などとの交流をすることで、活動が広がってきています。今後も働く天使ママを取り巻く関係者との繋がりを広げ、よりよい取り組みをしてゆきたいです。

 

「iKizuku」の活動内容〜国や企業に対するアプローチ〜


司会)経験者の方だけでなく、厚生労働省や企業に対してもアプローチされているとお伺いしました。
 
星野さん)ピアサポートグループ同士のご縁で、厚生労働省のご担当者とお話しする機会をいただきました。働きながら流産・死産した経験から感じた要望や改善点をお伝えしたところ、その後、厚生労働省が運営・委託する働く女性・企業に向けた情報サイトに流産・死産についての情報が明記されました。



藤川さん)私は、一個人として、自分の会社に働きかけ、社内の情報サイトに流産・死産を経験された方へのページを設けていただきました。

iKizukuとしての企業へのアプローチはこれからですが、2022年には神奈川県横浜市や東京都大田区の男女平等推進センターでセミナーをさせていただきました。今後も企業の方の目に留まるところでの働きかけを続けていきたいと考えています。
 
星野さん)先日、私達の活動について全国紙の朝刊に記事を掲載していただきました。今後はより多くの方に向けて、情報発信する機会を増やしたいなと思っています。
 
司会)働く天使ママ本人だけでなく、多くの方に活動を知っていただくことが大切ということですね。
 
星野さん)はい。今回、女性に関してをメインに話してきましたが、男性もペリネイタルロス(流産・死産・新生児死等)経験者であることを伝えていきたいです。辛い時期にはパートナーのそばにいたいですし、男性も同じように深い悲しみを感じています。12週以降のペリネイタルロスは、死産届けや火葬許可証の手続き等も必要になり、男性がその対応を担うことも多いです。例えばペリネイタルロスも忌引き休暇の対象となるような休みの整備も必要だと思っています。
 

活動後の変化・今後について


司会)「iKizuku」の立ち上げから1年半ほど経過したとお伺いしています。感じている変化や今後の展望がありましたら、お聞かせください。
 
藤川さん)厚生労働省からグリーフケアの働きかけがあったり、各地で流産・死産のサポートをする人も増えてきています。また、私達の活動に興味を持ってくれるメディアも増えているように感じます。このまま一過性のものとせず、しっかりと続けていきたいです。
 
「iKizuku」を大きくしたいとは思っていないのですが、2人では活動に限界があるとも思います。もっと前向きな支援を、大きな流れ、大きな力で動かしたいと考えています。ペリネイタルロスという一部だけをサポートするのではなく、女性のライフイベント全体を通してサポートしていくような活動がしたいですね。
 
星野さん)私が感じた変化は、当事者の方が声を上げやすくなったことです。これまでタブー視されてきたペリネイタルロスですが、社会のみんなが当たり前に知っていることとして、もっと広まって欲しいなと思います。流産・死産を経験された方の職場復帰も、中長期のサポートも当たり前のようにある状態を作りたいです。


 
司会)ここ最近性教育に関する関心が高まっていますが、教育面に関してアプローチしていくご予定はありますか?
 
藤川さん)性教育に力を入れて活動されている方がいると思うので、そういった方に流産・死産に関しても情報発信してもらえるような働きかけをしてゆきたいと考えています。子どもたち向けの性教育のイベントで自分たちが話をするとか、大学生に向けたキャリア教育の中に組み込むとか、成長段階にあった教育を考えてアプローチしていけたら嬉しいですね。 


不妊治療をされている方へのメッセージ


司会)それでは最後に、悲しみを抱えながら不妊治療をされている方に向けてのメッセージを頂戴してもよろしいでしょうか?

藤川さん)はい。まず、不妊治療をしているしていないに関わらず、ペリネイタルロスは起こりうるものです。女性として生きて行く中で、不妊、妊娠、流産、死産、更年期など、いろんな壁があるけれども、決して一人ではないということを伝えたいです。悲しいし辛いし頑張れなくなることもあります。でも、一緒に頑張ろうねと声をかけたいです。

星野さん)不妊治療を行っているといろんな情報が溢れすぎていて、何を信じていいかわからなくなり情報に溺れてしまいそうになることもあるかと思います。そんな時は、まず自分の心と体の声を聞いて、ご自身を大切にしてほしいですね。

また、治療中は孤独や不安を感じることも多いですが、決して一人ではないからねと伝えたいですね。辛くなった際は一人で抱え込まず、ぜひピアサポーターや支援団体などと繋がっていただければと思います。
 
司会)貴重なお話をありがとうございました。
 

まとめ


今回は、前編・後編に渡って働く天使ママコミュニティ「iKizuku」のお二人にお話をお伺いしました。
流産・死産に関して正しい情報が必要な人に届くような体制づくりは、社会としての課題です。
お二人の活動に今後も注目していきたいと思います。


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