飾り職人の秀

私的必殺シリーズ仕置烈伝⑨飾り職人の秀(必殺仕事人ほか)

今回は中村主水と並んで複数のシリーズに登場した、飾り職人の秀をご紹介します。秀の表の稼業は、飾り職人。腕はいいものの、気に入った仕事しか受けない気まぐれな面がありました。

情に厚い一面があり、困った人間を見過ごせない性格が災いし、何度も事件に巻き込まれています。棺桶の錠と同じく武士への嫌悪感や不満を抱いていて、武士社会の独自の文化(切腹や仇討ちなど)についても「一生掛かっても、全く理解できない」という言動を残しています。

裏の仕事の遂行時には、黒装束に身を包んで焼き入れ加工した簪を用いて「仕事」を行います。

初期の殺し技は、細工用の「のみ」を使用。相手の急所に素早く突き刺して死に至らしめますが、後に簪が定番の武器となり、殺しの他に威嚇として投げ付けることもあります。

何度か江戸を離れていますが、映画「必殺! 主水死す」でも、江戸を去っていっています。それ以降シリーズでは登場していませんが、「必殺仕置長屋 一筆啓上編」第1話では名前のみ登場し、同作の時点で存命中であることが明かされています。

演じている三田村邦彦さんは、秀の役柄について当初どうしてもなじめず、降板を申し出ていますが、藤田まことさんの言葉で翻意し、複数のシリーズに出演。秀は三田村さんの代表的な役柄の一つになりました。

ちなみに秀の普段の衣装は黒い股引、腹掛けの上にデニム地の半纏、手首にブレスレットですが、デニム地の半纏と殺し衣装の足回りは前作「翔べ! 必殺うらごろし」で、「若」に用意された未着用の衣装を流用したものです。


両親2人の介護を一人でやってます。プロレスブログ「せかぷろ」&YouTube「チャンネルせかぷろ」主宰。現在ステージ2の悪性リンパ腫と格闘中。