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商品企画に役立つ繊維基礎講座

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国内の繊維産業の衰退は著しく、多くの繊維製品を扱う会社が海外生産を請け負う商社に素材選定から企画まで丸投げしています。結果、以前のようにモノ作りの現場を知っている商品企画や生産管… もっと読む
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#繊維製造方法

第2章 紡績糸(スパン糸)、フィラメント糸編

この章では繊維を糸にする方法についてご紹介します。化学繊維、天然繊維からどの様に糸を作るかが分かります。 記事が出来たら、該当する見出しにリンクを張ります。 1.糸にはスパン糸 とフィラメント糸の2種類がある 2. スパン糸とフィラメント糸の製造方法+蚕の技  2-1紡績~短繊維をつむいで糸にすること    ・綿紡績    ・ウール紡績    ・麻紡績    ・オープンエンド紡績  2-2紡糸~化学繊維は製造段階では全てフィラメント    2-3蚕の技、口からフィラメント

第2章 2-1紡績~短繊維をつむいで糸にすること1

綿紡績 収穫したコットンボール(写真左)をほぐして、糸にならない短い繊維を除去し繊維を揃える工程を経て、撚りをかけて糸にします。綿100%の場合もポリエステル綿混の場合も途中の工程でスライバー(写真右)という形状にします。混紡の場合はポリエステルのワタをスライバーという形態にして、コットンのスライバーと束ねて、伸ばして糸にする。 綿紡績のカード糸とコーマ糸  綿紡績の製造過程で、葉ごみや短い繊維を落としある程度繊維の方向を揃えるカード工程(carding)があります。そのあ

第2章 2-1紡績~短繊維をつむいで糸にすること2

ウール紡績 ウール紡績も綿紡績と基本は同じ。羊毛をほぐして、繊維を揃えて糸にする。違いはウールの場合は毛を洗うこと、そのあと滑りを良くし、静電気が起きないように給油することなどです。つまり、シャンプーとリンスを紡績工程に入る前に行います。このあとの工程の違いで大きく分けると以下の2つの方式があります。 1)梳毛式(wosted)  スーツなどに使用される細くしなやかな糸を紡績する方法。コットンより繊維長が長く独特のクリンプもあるのでくし梳り、繊維の平行度を高めるために、ギル

第2章 2-2 紡糸~化学繊維は製造段階では全てフィラメント

 フィラメントは天然繊維ではシルクのみです。あとは化学繊維。フィラメント糸は長繊維で出来ているので、繊維を揃えて撚ることによって糸になります。化学繊維については、再生繊維も合成繊維もドロドロになった原料を細い口金から押し出して繊維が作られます。製造方法は原料の特性合わせて3種類あります。湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸です。もっとも取り扱いの多い合成繊維のチャンピオン、ポリエステルは溶融紡糸です。  溶融紡糸の場合、口金の形状で繊維断面形状を変化させることで、種々の機能をを付与す

第2章 2-3 蚕の技、口からフィラメントを吹き出す

絹、シルク 極細のフィラメント繊維(フィブロイン)を2本同時に吐き出し、同時に回りをセリシンという膠質のタンパク質で固めるという神業を行う蚕。まさにモスラなのです。 NHK作成の動画が素晴らしい出来です。これを見るとシルクの生成方法が分かります↓ http://www.nhk.or.jp/rika/micro/?das_id=D0005100118_00000 こうして、蚕が吐き出した極細フィラメント繊維を束ねて衣類に最適な太さにの糸にする。こうして出来た糸には下記の2種