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商品企画に役立つ繊維基礎講座

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国内の繊維産業の衰退は著しく、多くの繊維製品を扱う会社が海外生産を請け負う商社に素材選定から企画まで丸投げしています。結果、以前のようにモノ作りの現場を知っている商品企画や生産管… もっと読む
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まえがき:繊維やファッション業界に入りたい新人さんへ

素材作りから小売まで 私が遥か昔、紡績会社に入社した当時はまだ日本でモノつくりがしっかり行われていました。紡績工場も縫製工場も結構ありました。 なのでファッションを志して業界に入ったデザイナーも、頻繁に織物工場や縫製工場に行けました。そこで、実際のモノつくりに触れスキルを上げていくことが出来ました。 それぞれの分野(糸、織り、編み、染色加工、縫製)で色々教えてくれる人も、結構たくさんいたものです。 とはいえ、私が紡績工場でエンジニアとして働いていた時でさえ、もう10年も

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商品企画に役立つ繊維基礎講座:目次

下の目次に従って順番にノートに記載していきます。書きあがったら目次にリンクを貼っていきます。少しずつの更新になりますがどうぞよろしくお願い申し上げます。 第1章 繊維原料編 コットン、ウール、ポリエステル、シルクなどの原料について 第2章 紡績糸、フィラメント糸編 糸にはフィラメント糸とスパン糸がある。〜製造工程を示して違いを明らかにする 第3章 繊維素材編 織物とニットでそれぞれ代表的な組織の解説〜平織りとか綾織と天竺とか。 第4章 染色と加工の基礎知識 素材別の最

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第1章 繊維原料編

衣料品に使用されている主な繊維原料を順番に解説していきます。 ちょっと古い資料ですが、これらの繊維のシェアがわかる円グラフを載せておきます。ポリエステル が圧倒的に多いこと、天然繊維では麺が多いことがわかります。この状態は2019年の今も同様です。 1.天然繊維  1-1.植物繊維    ・コットン    ・麻(リネン、ラミー、ジュート、ヘンプなど)  1-2動物繊維    ・ウール    ・カシミヤ    ・シルク 2. 再生繊維  2-1 レーヨン 主にパルプが原料  

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第1章繊維原料編 1.天然繊維〜1-1植物繊維1

コットン コットンの品種は下記の3つがあります。超長綿とかシーアイランドコットンとかスーピマなどよく耳にするブランドですが、品種としては同じ。ただそれぞれ独自の品種改良や気候により特徴があります。超長綿はしなやかで光沢があり、天然の油分=綿蝋がぬめり感をもたらし高級感につながっています。クリーニングや家庭洗濯でこの綿蝋が徐々に落ちていくので、風合いが変わった、パサパサになったなどのクレームにつながることがあります。吸水性についていえば綿蝋はないほうがいいです。綿蝋についてほぼ

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第1章繊維原料編 1.天然繊維〜1-1植物繊維2

麻 衣料品として使用されるのは、リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)。その他、ジュート(黄朝)、ヘンプ(大麻)、ケナフ、サイザル麻 マニラ麻などがある。下図はラミーとリネンの比較表です。  麻はコットンと同様に衣料品やホームテキスタイルとして広く用いられるが、コットンと比較して優れている点として、  ・涼しい(夏の衣料品に最適)。理由は熱伝導率が高いから。  ・強度がある。特に濡れた時に強度が増す。つまり洗濯に強いといえる。 逆に欠点としては、  ・しわになりやすく、アイロンでも

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第1章繊維原料編 1.天然繊維〜1-2動物繊維 獣毛1

獣毛とカテゴライズされる動物の毛の代表はもちろん、ウール(羊毛)でその他カシミヤ、アルパカ、ビキューナ、モヘア、アンゴラ、ラクダなどがある。ウールは上記の他の獣毛と混紡(混ぜて糸にする)されることも多い。以下、ウールとカシミヤについて解説を加えます。 ウール 羊の種類は約3000種。その中で主に衣料品に使用されているのはメリノ種。メリノウールと呼ばれている。最大の原産国はオーストラリア。 ウールの糸には梳毛糸と紡毛糸がある。梳毛糸は均質度高める工程を通った糸で、紡毛糸は均質

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第1章繊維原料編 1.天然繊維〜1-2動物繊維 獣毛2

カシミヤ カシミヤ山羊からとるソフトで柔らかい繊維。冬の高級肌着からセーター、スーツ、コートなどに使われる。高価であること、耐久性に欠けること、毛玉になりやすいこと等から、ウールを混用することが多い。また、シルクやコットンと混用することもある。 カシミヤ山羊の表面に現れる毛は固く剛毛。この毛が混ざってしまうとチクチクしてしまう。この毛は通常、さし毛と称し、ジャケットの芯地等の原料となる。 中国製でよく問題になるのが、カシミヤ混素材で表示と実際の混率が異なるケース。染色で染め分

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第1章繊維原料編 1.天然繊維〜1-2動物繊維 絹と蜘蛛の糸

獣毛と違い、絹(シルク)や蜘蛛の糸は体内から糸を吹き出すメカニズムなので別の分類になります。蜘蛛の糸は昨今話題になっていますが、現在流通し始めている糸(QMONOS)は蜘蛛の糸の成分を人工合成して作られたもであり、シルクの様に蚕が吹き出した繊維をそのまま引き揃えて束ねて作った糸とは違います。衣料品ではほぼ100%シルクが使用されていますので、ここではシルクの簡単な説明をいたします。 シルク シルク繊維の断面写真 シルク繊維はセリシンとフィブロインで出来ていて、この状態で

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第1章繊維原料編 2.再生繊維1

原料に植物の天然素材を用い、特殊な溶剤で植物繊維を形作っている高分子=セルロースを化学的に取り出し、再構成した繊維。なので再生繊維と呼びます。下記のようにカタカナの名前で一見合成繊維の様ですが、石油由来の合成物質は一切含まれていない、植物性の繊維。よって、コットンや麻と同じ染料でよく染まります。 レーヨン、ポリノジックコットンや麻と同じ植物性の繊維と云ってよく、同様の染料で染まる吸水性も良好。ただし、水に濡れると弱くなる性質があり洗濯で破れる危険度は綿や麻より高い。ポリノジ

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第1章繊維原料編 2.再生繊維2

キュプラ キュプラは銅アンモニア法によって製造された再生繊維。原料はコットンリンターまたは高純度木材パルプ。コットンリンターとはコットンボールの中にある種の回りの産毛のことで、このコットンリンターだけを使用して旭化成が製造しているキュプラは「ベンベルグ」という商標で広く知られています。 コットンリンターの部位は下図で確認ください。 出典:https://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/bemberg/what/materials.html  キ

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第1章繊維原料編 3. 半合成繊維

天然素材を使いつつ、それ以外の物質を化学的に結合させた繊維なので半合成繊維と呼びます。 アセテート(ジアセテート、トリアセテート)パルプから取り出されたセルロースに酢酸基を結合させて製造されます。セルロース分子に酢酸基(アセチル基)が2つついているのがジアセテート、3つついているのがトリアセテートになります。酢酸基は石油から合成されていて2つのジアセテートの方が吸水性が高く天然素材に近く、3つのトリアセテートの方は吸水性が劣りより合繊ライクになります。綿や麻、レーヨンほど水

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第1章繊維原料編 4.合成繊維1

主に石油から生成されるナフサを原料に、さまざまな製法により製造されるのが合成繊維。各種合成繊維の共通の特徴として、強い、熱可塑性があり(熱でしわが伸びたり、形を変えたりする性質、比喩としてチョコレートの性質)、吸湿性が低く、静電気が起きやすいです。虫やカビの影響を受けにくく耐薬品性も高い。3大合成繊維と呼ばれるのがポリエステル、ナイロン、アクリル。その他、洗濯絵表示でよく見かけるのがストレッチ素材のポリウレタン。以上の素材について解説します。 ポリエステル 流通量ではダント

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第1章繊維原料編 4.合成繊維2

ナイロンポリエステルより強度があって柔らかいのが特徴。ストッキングやカーペットはナイロンが広く用いられています。吸湿性がポリエステルより高いので、素肌に優しいこともストッキングに用いられる理由です。肌着や水着にも使用されています。ウールやシルク染める酸性染料で染まります。 コート素材では経糸にナイロン、緯糸に綿の交織が生地が多いです。バッグの素材としても広く利用されています。ナイロンの種類にはナイロン6、ナイロン66などがある。 ナイロンはポリエステルと比較して熱伝導率が

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第2章 紡績糸(スパン糸)、フィラメント糸編

この章では繊維を糸にする方法についてご紹介します。化学繊維、天然繊維からどの様に糸を作るかが分かります。 記事が出来たら、該当する見出しにリンクを張ります。 1.糸にはスパン糸 とフィラメント糸の2種類がある 2. スパン糸とフィラメント糸の製造方法+蚕の技  2-1紡績~短繊維をつむいで糸にすること    ・綿紡績    ・ウール紡績    ・麻紡績    ・オープンエンド紡績  2-2紡糸~化学繊維は製造段階では全てフィラメント    2-3蚕の技、口からフィラメント

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