雨
子供の頃から雨が好き。
理由は、仕事がスローになるから。
仕事が、お休みすることも多いから。
そんなことを思っていた子供時代。
今も雨が好き。
やっぱり、安心する。
雨は、今でも安息日な気分。
屋根下で聞く雨の音は、優しくて疲れを癒す音だった。
そんな子供時代を乗り越えてきた。
晴れた夜は、星に願いを言い、涙を零した。
大人には、絶対に見せない涙だった。
泣きもしない気持ち悪い赤ん坊だと言われた。
泣かないから炎天下に忘れて放置され死にかけた。
育児放棄ではなく、家業が忙しすぎたため。
金融経済社会のもたらしたもの。
人間が人間をやめたのは、お金のシステムが出来てから。
生まれてから、ずっと、誰にも涙は見せなかった。
あの人に出会うまでは。
今も雨が好き。
あの人と、雨の音を聞いて過ごせるから。
子供時代の辛さを癒してくれるから。
やっと、自由になれたから。