一人百物語

18  バグる話

自分が使用しているのはMacBookだ。大学入学から今現在まで愛用している。ある時授業の合間にネットサーフィンでもしようといろいろな検索ワードをいれて遊んでいた。チャイティーの淹れ方、最寄駅周辺のおいしい中華屋、フリーゲームの新作チェックなど、ぼけーっと気の赴くまま検索しまくった後、授業の時間がきて私は画面を閉じた。

その日の夜、Illustratorを使う課題の続きをしようとパソコンを開き、作業のお供に動画でも見ようと検索エンジンを開いた時だった。検索ワードに見慣れないワードが出てきた。

「縺ゅ″縺」

(なにこれ。)

文字化けしたワードが検索記録に残っていた。文字化けチェッカーでコピペして調べたところ、「あきた」と読むらしい。

(…授業に飽きてなんか打ち込んだっけ)

それにしたってもう少し何か一緒に別の単語を打ち込んで検索していそうなものだが、間違ってエンターキーでも押したのだろうかとその時は思っていた。

それから2日後、休みの日に私はイラストを描こうと再びMac bookを起動した。

検索エンジンを開くと検索履歴に

「縺ゅ″縺溘??逡ー荳也阜」

と表示された。

例の如く文字化けチェッカーにかけると

「あきた 異世界」と読むらしい。

(なろう小説だっけ…いや、なんかそういう都市伝説あったな。)

(枕の下に星をかいて飽きたとか書いた紙を敷いて寝るとかだっけ、知らんけど)

オカルト好きとして思い当たる事象がないとは言わないが、直近でそれを検索した記憶はないし、

(何で文字化けしてるの…?)

他のワードは普通なのにそれだけ文字化けしていることに非常に違和感を覚えた。純粋に気持ちわるいし、何より検索ワードも気味が悪い。自分はそのままMacBookを閉じてその日はそのまま開かなかった。

その日、自分は妙な夢をみた。起きて、ご飯を食べて学校に行く。授業を受け、帰って風呂に入り夜ご飯を食べて寝る。いつもの日常、いつもの友人、家族との会話。なのにどことなく違和感を感じている。そんな夢。どこがと言われると名言が難しいが、なにか違う。夢から覚めて起き上がってからも微妙な違和感を覚えながら、私は枕カバーを洗濯しようと枕を持ち上げた。

「あきた」

枕の下にそう書かれた覚えのない紙が置かれていた。

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