見出し画像

食の安全性「note」版 緊 急 補 足




食の 安 全 性 「note」版 はじめに


当研究所の「note」にお越しいただき、誠にありがとうございます。

 この「食の安全性」は、食の安全を気にしておられる「健康志向」の方に向けて、以前、個人ブログに載せていた内容を大幅に加筆、充実させて、「note」にも掲載させていただきました。(※一部、記載途中の内容もありますが、ご容赦下さい。)

 震災後にまとめた記事でもあり、その頃のシリアスな状況が伝わる内容で、今読み返しても当時のことがリアルに脳裏をよぎります。2023年現在、震災から12年経った今、そのころとは基本的に、何も変わっていないと思います。

そして、コ ロ ナウイルス騒動との関連は?

 そもそも当初、中国でのウイルスの流行以前に、米国では同時多発的にインフルエンザの大流行が起きていました。

 このことから、私が直感したのは、何らかの原因による免疫機構の低下です。憶測にすぎませんが、それは東日本大震災後、全世界的に影響を受けた放射能による未曽有の大気汚染と関連がありそうです。

 もう一度思い出していただきたいのですが、あの原発燃料はウラン・プルトニウム混合酸化物燃料MOXが使われていたということです。

 公式発表ではごく微量であるとして、ほとんど触れられていません。地元に近い会津若松市の公式発表では、未だに原発の原子炉は爆発していないとリリースしています。

 これは、とんでもない事実誤認と情報操作で、その姿勢は、第二次大戦中の大本営発表時代と何ら変わってはいません。少なくとも1号機は水蒸気爆発、4号機は核爆発を起こしていることがわかっています。

 これにより、大量の放射性物質が大気中に放出され、世界中に汚染が蔓延したことは間違いないのです。

 もちろん、そこに間接的に食が関係してきます。

 今、再び社会情勢が不穏になり、全世界的にパンデミックの波が広がり、ウイルスそのものの情報やワクチンが健康に与える影響を検証しなければならない緊急時に、もう一度、食と健康についてお考えいただきたいと思い、この機会に再度内容を刷新してお送りします。

 また、このマガジン内の記述については、私自身の極めて個人的な意見を含むものです。このコンテンツについての精査は、ご自身の目で、あるいは、体で、再度検証していただくことをお勧めします。

 このコンテンツが、少しでも読者の皆さまのお役に立てば幸いです。

  これから、以下の内容でお話を進めて参ります。 全体で10万文字を越えますが、どうかお時間のある時に少しずつ読み進めてください。

きっと、新たな気付きがあるはずです。


▽クリックすると直接記事をご覧いただけます。

食の安全性       はじめに
食の安全性 <第一話> 良質のタンパク質とは
食の安全性 <第二話> 良質の炭水化物とは
食の安全性 <第三話> 良質の脂質とは
食の安全性 <第四話> 良質の繊維質とは
食の安全性 <第五話> 食品添加物
食の安全性 <第六話> 癌と食生活
食の安全性 <第七話> 食育、体育、徳育、知育、美育(才育)
食の安全性 <最終話> 味覚と食


1)はじめに

① このシリーズの趣旨

 さて今回の、シリーズ『食の安全性』は、私が現在仕事として携わる「人間ドック」や「住民検診」「企業検診」などで、受検者の方から質問を寄せられたり、あるいは私が受検者の方に生活指導をさせていただく際、実際に生活習慣について伺い、気になったことを中心にご紹介しています。

 今回、このテーマを掲げた理由は、最近特に「生活習慣病」として挙げられる動脈硬化に関するコレステロールや、中性脂肪、血糖値などの糖代謝、高血圧などの治療や改善策に対し様々な情報が氾濫しており、特に食がどのように関係しているのか、現場も非常に混乱していると感じるからです。

 まず、過去の死因を調べてみると、戦前の80年前は結核や感染症が死因のトップでした。しかし、現状は様変わりし「癌」が死因のトップになっています。そしてこれに至った経緯には、おそらく原因があるはずなのですが、世間では単なる『癌』情報だけが独り歩きしているように見えます。

 癌の原因には、大気汚染やその他の環境因子、社会的な精神的ストレスの関与も疑えますが、戦前は「癌」は圧倒的に少数でした。むしろ戦前、あるいは戦中、戦後にかけては栄養不足にも関わらず「癌」は死因としても非常に稀な疾患だったのです。そのころの食生活が今も続いていたら、結果はどうだったでしょうか。

 私は「癌」や「生活習慣病」は、「食」に関与していると考えています。その他の病気に関しても、ほぼ7割~8割、最近では9割、あるいは、ほぼ全てが関係していると考えています。これが今回、緊急テーゼで、シリーズ『食の安全性』を連載する主な理由です。

また、ウイルス感染についても、免疫力を低下させる食事や摂食そのものの影響など、一般の感染症対策にも、食のあり方は関係してきます。

② 食品の安全性とは

 まったく気にされない方もいらっしゃるかもしれません。巷に溢れる情報を素直に信じて食べている方もいらっしゃるでしょう。

 当たり前のことですが、先ず、私たちが普段口にしているものが一体どのように製造管理されているかに興味を持つことが大切でしょう。この意識により、売られているものが本当に「安全」なのかを考えられるからです。

 巷のお買い得な情報に左右されて購入する習慣から、自分自身で情報を精査する習慣を身に付けることで、ご自身の健康問題だけでなく、さまざまな社会問題への関わり方も変わってくると思います。

   普段から自分の目で確認し、あるいは自分から情報を精査した上で購入したものであれば、たとえ私が食材について少々苦言を呈したところで「えっ、ダメなんですか?」と他人の意見には左右されず、ご自身が良いと思っている理由をお話しできるのではないでしょうか。

 特に健康食品とされる食材、サプリ、健康飲料などは、「体にイイ」という宣伝文句に釣られて摂取している方が非常に多いと感じています。私は基本的に、健康志向を担う企業体があること自体が害悪だ、と言いたいのではありません。

 結局のところ、これらを精査する、私たち消費者(カスタマー)の意識に依るのだ、と言いたいのです。この意識が非常に大切です!!。この意識を強調しすぎることはないでしょう。社会への参画は、自分の健康問題を考えることから始めると、最も身近で分かり易いと思うからです。

 私たちは日々生活していく中で、食事と切り離して生きていくことはできません。今こそ、もう一度、ご自身の健康のために、『食の安全性』を精査する目を養っていただければと考えています。

  一例として、「乳製品」やそれに関連した「乳飲料」などは、一般的に「健康にイイ」とされています。しかし私は、もちろん「乳製品」の全てというわけではありませんが、ある問題から全般的にお勧めしていません。

 その理由は、第一話「良質のたんぱく質とは」でお話し致します。このようなことから、最近の情報化社会では、情報を精査吟味し、必要な情報をピックアップするための情報リテラシーが大切になってきています。

 もう一つ例をあげましょう。食生活が変化し不健康に陥った影響を「食の欧米化」と表現することがあります。しかし、コレステロールや血糖値、肥満の問題も、突き詰めると「食の欧米化」が問題の本質ではないと、私は考えています。

 この言葉は、もはや一つの情報操作にすぎません。食を「欧米化」とすることで、食文化の問題にすり替え、食品そのものに関するさまざまな問題を問われにくくしているからです。そろそろ消費者が、このような情報の背景にあるシナリオに気付いてもよいのではないでしょうか。

 本来問うべきは「食の欧米化」ではなく、その本質は「食の工業化」です。私の「食の工業化」の「工業」の定義は、『食品生産加工の際、合成添加物、農薬などの薬品、抗生物質やワクチン、化成肥料や合成飼料、遺伝子組み換えの材料で作られたものなど、広く「工業的手法」を利用している食品加工のこと』を指します。

 特に国内の健康問題を「食の欧米化」とすることで、本来問うべき食品の合成添加物抗生物質農薬などの生産工程に関わるすべての工業的な多くの問題点を「検証の目」から逸らそうとするシナリオが存在します。その証左として、わが国では添加物や畜産養殖に使用する抗生物質に対する規制や検証是正勧告が非常に少なく、世界でも有数の食品添加物承認国抗生物質使用大国になっている現実があるのです。

 また、畜産漁業養殖における大量飼育手法や、その過程で様々な問題が絡んでくるワクチン接種抗生物質の投与、さらには合成飼料強化飼料の問題、あるいは農産物の農薬肥料種苗しゅびょうの問題に至るまで同じように「食の工業化」が様々なシナリオを生み出していることに気付かなければなりません。ですから、欧米化=工業化として間違いないのですが、この部分を検証する社会浄化の動きが極めて鈍いのです。

 確かに、わが国の健康問題を検証する際に、はじめは「食の欧米化」があったかもしれません。しかし、それは一昔前のお話です。つまり大量生産の走りの頃のお話で、現在は少なくとも健康問題の多くは「食の欧米化」ではなく、「食の工業化」にあると申しあげておきます。

 そして先ほども触れたとおり、そういった工業的食材を摂取する私たちにどのような副反応が生じるのかは、あまり明らかにされていません。というより、そのような情報が非常に少ないのが実情です。これは、特に第一次産業から食品製造に参画する様々な企業体、あるいはそこから支援を頂いている政治団体や行政に携わる領域に、なるべく不利にならないような情報シナリオが主流になるためです。

 ある意味、結果的に情報操作になってしまうと考えても差し支えないかもしれません。その理由は、非常に分かり易く言えば、経済動向のトレンドを作り出し、恩恵にあずかる(投機目的の)投資家、さらにそれに支えられている経済支援団体、食品加工業者などがしがらみとなり、食の安全性に対する精査ができない、あるいは自己浄化能力が極めて働きにくい温床を生み出していると考えられます。

 つまり、産官学が保ってきた既成の利権構造に甘んじ、本来取り組むべき課題が一向に解決されない仕組みになっている可能性があるということです。また、その莫大な資本を元手にスポンサーとしてメディアを制圧し、メディア側も意図的に情報操作に関わっている可能性があり、利権構造に不利になるような情報をできるだけカットするのです。これでは、一般的に私たちが生活しているなかで、本当に安全な食材が何であるのか知ることが難しいのはむしろ当然であると言わざるを得ません。

 食の摂り方に関しても、トレンドを担うトレンダーによって、ベジタリアンやヴィーガンなど様々なダイエット方法が話題となっていますが、基本的に私は、それら様々なダイエット方法については、ここであえて是非を問うことはしません。それよりも今重要なことは、普段私たちが口にする食材の安全性を問うことが優先すると考えています。それには情報収集とその精査が欠かせません。

 このような現状ですので、常に私は消費者個々人が持つこれら情報の確からしさと、「食」の本来の意味について考えを巡らせてきました。

2)食に関する問題

① 栄養学から更なる展開へ

 検診では、保健師や看護師あるいは管理栄養士が、生活習慣や日頃の食生活についてアドバイスをしております。基本的には、この指導を参考に生活習慣の改善にお役立ていただきたいと思います。しかし私がこれからお話することは、このような一般的指導と多少趣が異なる内容になります。

 たとえばタンパク源の摂取としての牛乳や卵、肉類について、あるいは高カロリーとして考えられている油の摂取について、そして主食の糖質や野菜、果物などについてなど、いわゆる現代栄養学における食品交換表のカロリー計算や単純な栄養バランスのようなお話は致しません。

 確かに、現代栄養学は体つくりの基礎であり健康管理の土台をなしてきました。科学的に分析された必要カロリーの摂取や、タンパク質や脂質、糖質や繊維質の摂取バランス、あるいは微量元素の調整など、このような分野で現代栄養学が素晴らしい成果を上げてきたことは間違いありません。

 しかし、私には現代の栄養学が本当に「善きこと」として機能しているのか?という思いがあるのです。臨床では「褥瘡(床ずれ)」の例をとっても、カロリーや微量元素などを調整した点滴治療でなかなか良くならない患者さんが、ひとたび経口摂取(口から食べること)を始めると、おかゆ程度しか食べなくともみるみる「褥瘡」が改善していく例を少なからず経験します。

 また、終戦間際、南洋で食料供給も絶たれ激戦の中生き残った元日本兵の手記に、ほぼ一か月の間、配給の米一日四粒と雑草の根などで飢えを凌いだとの報告もあり、これは極端な例ですが究極の環境で人間の体が生き抜こうとする力を見せる一つの例だろうと思います。

 これらの経験や逸話から私は、口から入る食材は「カロリー」や「微量元素」以外の何かを摂取しているのだと感じざるを得ませんでした。それはまだ発見されていない物質なのかもしれませんし、あるいは「氣」と言われるものかもしれません。しかしそれは少なくとも「カロリー」や「微量元素」とは考えにくいのです。

 人間は仙人のように「霞」を食べて生きているわけではありません。命あるものをいただくしかないのですが、それは単純な「カロリー」や微量元素などの「栄養素」として還元されるモノではないのではないか、と思うのです。ここでは食養生としてその「還元できないもの」をお伝えできればと考えています。

 すなわち、既存の栄養学が教えない本来人間が食養生として必要な最も大切な原点を論証していきたいと考えています。それは一言でいえば「良質な食材」とは何か、となるのかもしれません。この中に答えの一部があると考えています。そして最終的にはそれが「食育」に通じてくるのです。

私の持論は、

「良質な食材」は
[からだ]はもとより
(こころ)にも作用し、
<あたま>の正常な働きを執り行う
チカラを持つ
ということです。

② 原発事故後の日本、「食」とこれから

 ここで、『食の安全性』について、非常に大切なお話しをしなければなりません。日本食のこれからのお話しです。

 日本食は世界的に健康食として取り上げられていますが、今後はどうなるか危惧されるところです。
 
 実は私は人一倍アレルギー体質で、体に合わないものを口にするとすぐに症状がでます。特に、原発事故以降の身体への影響はさらに顕著に現れるようになりました。事故前から湿疹など皮膚症状が現れたり口内炎、口唇の腫れはありましたが、事故後はリンパ節の腫脹や頭痛、鼻 血、脱毛などが出現しました。ここでお話しする内容は、私の実体験に基づく見解をご紹介します。

 おそらく放 射 能により免疫系に関係して抵抗力が弱くなり添加物の過敏反応が生じやすくなったのだと思います。

 以前私が病院勤務をしていたとき、嚥下造影(放射線透視をする飲み込みの検査)でその検査に入ると約2日くらい疲労感と全身倦怠感が抜けず、1年経った頃、上司に相談の上検査から外してもらった経緯があります。それは原発事故の8か月前でした。

 このことで私の検査分を同僚や上司が肩代わりすることになるためとても心苦しかったのですが、アルコール中毒や化学物質過敏症なども少量で致死的な状態をきたすのと同じようなことなのではないかと考えていました。同僚や上司は症状をまったく訴えず、難なく検査をこなしていたので、私の体は放 射 能感知器のようなものだと最終的に自分自身で納得しました。

 放 射 能については、一般的に私のような感受性についての認識は未だ低いと思います。しかし私は自分の体を通してこのことを知り、今回の原発事故の当初は内部 被 曝や外部 被 曝についてもあまりピンとこなかったのですが、次第に過去の歴史を紐解きその内容を理解するほどに放 射 能の怖さを思い知りました。つまりこれから様々な障害や症状、疾病が生じてくる可能性があるということです。

 チエルノブイリでは原発事故から5~6年経た頃から、脳血管障害、心筋梗塞、各種癌、免疫系異常、神経系異常、糖尿病、皮膚疾患、筋骨格系異常、精神障害(うつ病、認知症)など、ありとあらゆる疾患罹患率が上昇した報告があります。スリーマイルでも風下の町で白血病や癌が非常に増えたという調査もあるのです。しかし、こうした調査結果は国の発表ではなく、個人の調査に基づいているものがほとんどです。

 原 発事故当時、「影響はごくわずか」「直ちに影響はない」との見解でしたが、私は自らの症状経過を逐一記載し、自分に現れた症状がチエルノブイリ事故後に発生した一連の症状報告と非常に似ていることを自覚しました。ですから私は放 射 能汚染に対しては、人一倍危険を認識しています。

 日本の食材は、原 発事故以降本当に安全なものはなくなりました。誠に悲しい現実です。それはそれは本当に残念なことですが、どこのものでも微量な汚染があると思って間違いないでしょう。

 後は程度の問題だけです。特に外食は、食材が精査不能なこともありなるべく避けていただいた方が良いでしょう。

 特に、回転寿司などの魚は、どこからのものかわからないこともあります。また、良質のたんぱく質のところでもご説明しますが、魚の種類でも気を付けた方が良いものがあります。

 特に太平洋岸でも千葉沿岸から北では、海洋汚染が深刻であり、今後、生体濃縮が掛かると大きな魚の回遊魚、主にマグロ、カツオ、ブリなどにも気を付ける必要があります。そしてキンメダイ、ヒラメ、カレイなどの底魚にも注意が必要です。

 このシリーズでは、時折放 射 能のことに触れて参りますが、基本的に食材の産地とどのように作られているか、たとえば、飼料や肥料、堆肥などの内容、土壌中に含まれる放 射 能の測定結果(汚染土壌の計測)などが判明しているものが望ましいと思います。
 
 いずれにしても、過去原発事故を起こしたアメリカのスリーマイル、ロシアのチエルノブイリなど、いずれの国も国 家的隠 蔽をして情報統制をしていました。

 後ほど触れますが、特に現代に入り情報化社会の扉を開けた私たちが置かれている環境は、結局のところ、『情報を制するものが、全てを制する』のです。したがって私たちはこれらの情報をどのように精査しその確からしさを分析するか、その目を養う必要があるのです。

③ 「善きこと」としての「膳」
「人が良くなる」と書いて「食」

 日本には「御膳」という言葉があります。肉月に善と書いて「膳」。体に良い「良質な食材」を取ることが「善きこと」として最も大切であると「膳」なる文字は表意しているのです。そして「人が良くなる」と書いて「食」。この人に良い「食」とはいったい何か。

それは
[からだ]が満たされ、
(こころ)が安息し、
〈あたま〉が充足すること
を言います。

 実際に自然栽培の穀物や野菜を食べると、満足感があり、もっと食べたくなるような感じがしなくなります。心も穏やかになり、非常に充足感があり、頭もすっきりしてきます。お腹は多少の満腹感はあるのですが、この満ち足りた感覚は、やはり皆さんに経験していただきたいと思います。

 私は、ご縁があって現在「無農薬、自然栽培」(有機栽培ではありません)の米や野菜を使用しています。もちろん食の全てではありませんが、できるだけ自然栽培のものを戴くようにしています。そのような実践的な生活習慣の中から、はじめに提言したように食の安全性をひしひしと感じているのです。

 「有機栽培」については、またご説明しますが、私は現時点で日本の「有機栽培」はよく吟味した上で摂取をお勧めしています。

 その詳細な理由については後ほど 4)良質の繊維質 のところでお話しさせていただきますが、この場では「有機栽培」は必ずしも「良質の食材」ではない、と申し上げておきます。堆肥や肥料を使う場合は既に放 射 能にも関連しますし、その他にも土壌の管理についてもっと深く考えていく必要があるのです。

 お茶の間の一般的なイメージとして「有機栽培」は体に良いという印象を獲得していますが、本当にそうなのでしょうか。これも情報を精査する必要性があるのです。結果的に「良質の食材」として私は「有機栽培」を敬遠しています。

 「良質な食材」とは、私の経験上、出来るだけ自然に近い状態で作られているということになると思います。和食本来の「膳」は、このような食材を多く用いており、心身共に健康になれる基本的な要素が整っていると思います。自然と調和した食材を戴くことが、自らの身体を調整し和ませる。誠に理に適った食であると思います。「良質な食材」は人を良くします。

3)「食」への提言
「イイ食材」と「良質な食材」

 さて、「食への提言」ということで、はじめにのところでも申しあげましたが、「何がイイのか、ワルイのか」、健康志向の意識をお待ちの方々がときどき質問されますが、まず食材自体を「イイ、ワルイ」で分けてしまうことには注意が必要です。例えば、ホウレンソウは体にイイのかワルイのか、卵は体にイイのかワルイのかなどのようにです。

 まず、良質な食材選びの一つは、そのホウレンソウや卵はどのように作られているのか、を知ることが大切です。本質的に、この部分を見ていく必要があります。油にしても、最近ココナッツ油がイイとか、オリーブオイルがイイとか、MECダイエット※で肉や卵もイイとか、ただイイのではなく、それらのものがどのように作られたのかに興味をお持ち頂きたいのです。それが「良質」を追求することに他なりません。(※ MECダイエット:Meat(肉),Egg(卵),Cheese(チーズ)のようなタンパク質のみを摂るダイエット法。)

 例えば、ホウレンソウの産地はどこか、自然栽培か、有機栽培か農薬使用の慣行農法か。卵の産地は、鶏に与える飼料は、放し飼いか、鶏舎飼いか。肉の産地は、牛肉でしたら飼料は穀物か、牛舎飼育か、放し飼いで牧草を反芻しているのか。油の原料はどこからか、遺伝子組み換えか、自然圧搾法か、薬物抽出法か、このような食材の生産過程を知る必要があります。

 たとえば、お酒やタバコなどの嗜好品から、健康食品として売られている「トクホ」まで、現代の食事情はモノで溢れており、当然のことながらこれらを精査するには極めて多岐に渡る専門的な知識が必要かもしれませんし、これらの広範な領域を調べるのは容易なことではありません。日々モノが開発され、食材の製造工程も多種多様な現状では、現場が混乱することは目に見えています。

そこで、ひとつの目安になるのが、認可というシステムです。

さて、ここで一言、
申し上げておきましょう。

 皆さんは認可があれば、それは安全で体にイイものとお思いでしょうか。この答えについては、あえてここでは明言を避けますが、モノを作るには、様々な利権が関わっているということだけ、申しあげておきます。そして、それは私たちの健康に何ら関係がないところで進んでいくことも申し添えておきましょう。

 私たちの健康に関係ないところで、表向き健康を装った健康的なイメージを商品にしている場合があります。むしろ情報としてはそのようなモノの方が多いかもしれません。

 このようにモノが有り余り情報の錯綜するなかで、今後の食材選びに関して言えることは、お得な情報で、お買い得なモノを買う表面的な選択ではなく、食材がどのように作られているのか、トレーサビリティーという観点から食材を選ばなければならないということです。それには、情報の精査が必要不可欠となるのです。そのためのポイントをいくつか申し上げておきましょう。

4)情報精査の必要性

 食の話ではないのですが、口にするモノとしては薬について考えると、より食材の持つ意味がお分かりいただけると思います。

 もともと、薬は身体を良くするためのモノです。しかし、人によっては副反応や副作用が出ることがあります。正直、医療現場でも個人に対する薬の作用は反応を見るまでは分からない、というのが本音です。ですから、ポイントのひとつは、食材の場合は特に、試して身体の調子を見ることが挙げられます。これについては、また、後で解説して参ります。

 そしてもう一つのポイントは、情報の精査です。一部のダイエット法や健康食品、健康飲料、健康器具、その他のサプリメント、美容健康にまつわる様々な情報が氾濫しています。

 まずそれらの情報には必ず情報源があるはずですが、一部のダイエット方法や健康食品、あるいは食材の安全性について、これらの使用に際しては一般の方々の認識や意識を高めていただきたいことがあります。それは情報源の精査を行うということです。

 これからそのポイントをお話しさせていただきます。

そのポイントは

①利益相反
②研究者と所属研究団体の精査
③カネとヒトの流れを追う

①利益相反について

 『食の安全性』として話題を提供する際に、まず、私が第一に気を付けていることがあります。それは、その情報のソース(情報源)はどこのものか。そして特に重視するのがその情報と何らかの利益相反(COI:Conflict of interest)が考えられる情報の精査です。
 
 利益相反とは、研究や学会報告などの際どこから費用が出資されているか提示することです。一例として医薬品業界で特に問題となりやすいのは、新薬開発における治験という段階で実際に効果があるかどうかを検証するのですが、ここで製薬会社から多額の研究費などが提供されている場合です。

 このような場合は、研究結果を一部改ざんしたりネガティブなデータを意図的に削除したりすることで効果があるように見せかけていることがあります。内容の詳細を検証しなければ、この結果だけを鵜呑みにしてしまうと大変なことになります。倫理的なリテラシーがないものは虚偽の研究報告になる可能性が高くなります。

 消費者庁が認定している特定保健用食品(トクホ)などの商品も、効果効能を裏付ける試験結果などの公表がされていないなど、常識的に見ても怪しいものが多いと判断せざるを得えません。

 最近では、難消化性デキストリンという食物繊維質を溶かし脂肪の吸収を抑える名目で、メッツコーラW、お茶などの商品が出回っていますが、これに添加している繊維質のほとんど手掛けている「松 谷 化学工業」は、2006年に米国A D M社(遺伝子組み換え穀物を製造する大手企業)と合弁会社を設立しており、ことの良し悪しは別として明らかに日本の政 官 領域と産 学 領域の関係性が見て取れます。

②研究者と所属研究団体の精査

 そして、研究論文などの報告がある場合は、その論文の研究内容の実質的な利益相反と同じくらい、あるいはそれ以上に留意するべきなのが、研究者の学歴を含む経歴、所属団体、それに関連する企業、関連行政官庁などの情報精査です。

 上記の企業の例にもあるように、これは、原 発事故以来、私も事実を精査するという習慣がつきました。おかげで、それ以来様々なデータや情報ソースの検証に際しては必ず人脈を確認することにしています。どんなに大きな会社でも、あるいは小さな会社でも、今はインターネットにその人の名前を入れると、実に様々な情報が上がってきます。

③カネとヒトの流れを追う

 この情報の中からさらに信頼できそうな情報を選び確認をするようにしています。情報の精査は、カネの流れと、ヒトの流れを追わなければその、モノ・コトが本当かどうかわからないのです。情報精査には、これが一番大切なことです。

 カネの流れについては、内部資料がない限り不透明なことが多いですが、研究者や提言者の様々な賞罰や所属については、簡単に調べることができます。実際にこれだけでも情報ソースがどのようなところから流れているのか、あるいはその背後にどのような繋がりがあるのかはすぐに見えてきます。

 今回の「食の安全性」シリーズは、ブログ内で実際の情報ソースを提示可能であれば行います。また、何らかの理由(消去されているなど)提示出来ない場合は、私が今まで調べた範囲で確からしい情報をもとに精査した結果のみをご紹介することにします。この結果をもとに少し疑いをかけてインターネット上で検索をすると、意外と簡単に人脈や所属を確認することができます。

※このマガジン『食の安全性』に連載されている他の記事はこちらから

それでは、次回は、第一話、良質なタンパク質とは、をお話ししていきます。


ここのコメントを目にしてくれてるってことは最後まで読んで頂いたってことですよね、きっと。 とっても嬉しいし ありがたいことです!マガジン内のコンテンツに興味のある方はフォローもよろしくお願いします。