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理解しようとする一人ひとりがいれば


「高次脳機能障害」って、知ってる?


「わたし、事故で高次脳機能障害なったの。この病気、知ってる?」

知ってるよ。大丈夫。手伝うよ!今まで通り一緒に仕事もがんばろね

って、言ってくれたら、
困っていることも、手伝ってもらいたいことも、相談できたのになぁ

「高次脳機能障害」という病名は、
自分が交通事故+脳梗塞に発症した時、家族から初めて教えてもらった

病院でも、十分な説明されず、
地域でも、職場でも、この病気を理解している人がなくて
最初は、
自分で調べた病状を説明していたけど、
周りからの理解もなく、だんだん、逆に言わないようになっていた

自分の脳は損傷によって、いくつかの障害があることは
自分で自覚していた

なんとかして、自分で改善したい、できるはずだと、
「前向き」に、でも、半分「恨みを晴らす?」ような勢いで
闘っていたし、孤独だった

「周りに迷惑かけず、普通に生活して、仕事をする」ことを
目標にしていたけど、いつも、突然、障害は覆いかかってくる


整備が進む高次脳機能障害への支援体制


厚生労働省の事業においては
「高次脳機能情報・支援センタ―」と連携する支援拠点機関
各都道府県に設置され、「相談支援・普及啓発」が推進されている

厚生労働省;
「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業厚生労働省の事業」
国土交通省;
「社会復帰促進事業」(自動車事故による高次脳機能障害を有する者向)

脳外傷問題をマスコミが取り上げるようになり、
国会でも実態の解明が求められるなど社会問題と認識されるようになった

でも、まだまだ地域によって様々であり、支援事業の内容や、それを支える
社会資源などに格差がある

身近な地域で支援を受ける選択肢を確保しておくことが大切で、
「地域生活支援事業及び地域生活支援促進事業」は、障害者等を対象に
市町村等が主体となって地域特性や利用者状況に応じ、
計画的に実施する事業である

円滑に支援を利用できるように、相談支援コーディネーター機能
利用できることも、押さえておきたい。



当事者の社会参加を阻害する障壁

①差別や偏見の存在

 ・差別や偏見を受けることで、援助を求めにくくなったり、
  治療を受けることに消極的になる

②支援上の一貫性の欠如

 ・入院中に急性期、回復期と医療機関が複数に跨りリハビリテーションを
  一貫して十分に受けらない

 ・退院後に職場や在宅生活に復帰したものの、本来なら受けられる
  福祉サービスなど適切な支援を受けられない

③社会的行動障害への理解の不足

 ・脳の機能障害を原因とする「感情や欲求・衝動が抑えられない」等の
  社会生活上の問題につながる症状が周囲の理解を得にくい

④高次脳機能障害者への支援の配慮

 「障害者総合支援法」によって定められているサービス支援、
  就労移行支援を利用する様々な機関への多くの相談において

 ・コミュニケーション能力に対しての配慮

 ・記憶障害や注意障害(注意力が低下して、ミスが多い、
  作業を長く続けられないといった障害)に対しての配慮


高次脳機能障害者に対する家族や周囲の理解

葛藤を抱える高次脳機能障害者


 ①「助け」を求められない
 ②精神的な疾患は外から見えにくい
 ③偏見や差別を受けている
 ④他人に負担をかけないことを美徳とする価値観


誰もが自分らしく、心に活力をもって、暮らし続けられるような社会的支援の実現


このような社会参加への障壁をなくし
身体機能の維持・向上を図るリハビリテーションを
しっかり受けることができるような体制整備の中、
家族や周囲の人、医療機関等による適切な支援を受けて、
支援連携制度の支えられて、自分らしい生活を目指す


高次脳機能障害者は人材の宝庫だと認識して欲しい

かつての経験や人脈・知識などは、
なにも変わってはいない

ただ、かつてのような
記憶、注意、遂行機能、社会的行動といった認知機能(高次脳機能)が
低下しただけ

社会的支援の実現
社会的財産の確保の実現
そこにあり、それこそが目指すべき方向だと思う


何よりも障害に対する周囲の正しい理解と受容


「高次脳機能障害」って、知ってる?
と聞いたら、

「もちろん!昔は知らなかったけど、あれって脳の病気でなるのよね~
 ゆっくり、落ち着いたところで、話すといいらしいよね?
 他に何か教えてくれる?」

「職場にもいてるけど、まとめて聞いても忘れるから、
 ひとつずつ、その時に教えて欲しいって。でも仕事はちゃんとしてるよ」

そんな会話が、普通にできるようになるといいな

そうすれば、「高次脳機能障害」って言われても
誰も孤独を感じずに、
将来に目標をもって、
幸せに生きていける
と思う

そのためにも
見えにくい疾患をもつ「助け」を求められない人にも
理解を深めて、ひとり一人行動に実践に繋げてほしい



周囲の理解と協力が
いま求められている



整備が進む「高次脳機能障害」支援 ~誰もが自分らしく暮らし続けられるような社会的支援の充実を~ | 後藤 博 | 第一生命経済研究所 (dlri.co.jp)

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