住所不定無職
今帰ってきてるの?いつまで?
久しぶりに会う人には必ずこう聞かれる。
私が長く留まるとは誰も思っていないようだ。
しれっと実家に帰って来ては、一ヶ月くらいでまたふらっといなくなる。
だからたまによく似た人を見たと言われるけど、それはきっと私。
北海道生まれ北海道育ちで18年過ごしてきたけれど、中学からは市外の学校に通っていたし大学では東京に行き、卒業後はすぐアメリカに行ったので、よく今どこにいるの?と聞かれる。
どこに住んでいたとしても日本海を見に帰りたいと思うし、実家に帰ってくるたびに静かで良い街だなと思う。
東京への憧れは漠然とあったし、上京して一人暮らしをしたいという願望はあったけど、それは地元が嫌いだからとかではなく、むしろ帰ってくる場所があるという安心感のようなものがあったからこそ、ちょっと外に出てみて違ったら返ってくればいいやくらいのものだった。
実際12歳の時に地元の中学校にはいかず隣町の学校に通い始めたときは都会の女子は学校帰りにスタバに行くことに圧倒されたし、家族で海外旅行に行くことは珍しい話ではなかったし、部活には入らず習い事をしている子がほとんどの環境は私が浮かない初めての感覚だったし、放課後に今日レッスンだから帰るねと躊躇なく言えるようになった。
東京に出てからは自分が井の中の蛙で大した人間ではないことに気づき打ちのめされたし劣等感しか感じなかったけど、そんな環境に自分がいれることに感謝して高みを目指そうと思った。
都会に住んでみて感じたのは、「出る杭は打たれる」のではなく「出ない杭は埋もれる」ということだった。
それにしても居心地の良いところを離れて遠くへ行きたくなってしまうのはなんでだろう。
幸せを感じると不安になる。
頑張らなくていいや。ってなる。
けど私はもう少し頑張っていたい。
どこでも生きていけるような人間でいたいし、どんな環境も楽しみたい。
住所不定無職、活き活きしていたい。
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