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世界で一番美しい工場を目指して

 間が開いてしまいましたが、缶詰工場をつくる計画は着々と進行しています。夏に着工する予定でしたが、秋にずれ込みそうで、しかし店の営業との兼ね合いを考えると、年明けに始めるのが良いのかなあと、未だうじうじ悩んでいます。ですが、工場をつくることは間違いありません。

 今ある厨房を大幅に改装します。手前にはウィリアム・モリス風のキッチンを新しくつくり、奥はレンガに囲まれた缶詰工場になります。工場の上にはシャンデリアを吊るし、世界で一番美しい工場を目指します。そこから作り出されるのは、世界で一番美しく、美味しい文学カレーの缶詰です。

 階段の左の壁面を本棚にし、光を上から注ぎ、本と光が二階へと誘います。教会のような階段を目指しています。

 カウンターは今より短くなります。図では椅子が七つ描かれていますが、5席が限界かな。手前には囲炉裏を置きます。冬はそこでお客さま自ら燗を付けてもらいます。余裕が出来れば昼の営業も再開し、炭火で食パンを炙り、バターを添えてトーストで。これは夏目漱石の好物のひとつです。

 この工場のことを考えていると幸せな気持ちで満たされます。大げさではなく、生きていて今がいちばん楽しいです。作ること、生み出すことの面白さ。

 当店のモットー「食べることは読むことに似て、拵えることは書くことと同じではないか」という言葉に戻ると、拵えることで、目の前ある料理のことをより深く理解することができ、食べることが楽しくなり、書くことで、読む力は強くなり、本を読むことがさらに面白くなる、ということなのではないでしょうか。

 受け身ではなく、こちらから動いてこそ、手に入るものも多くなるのかもしれません。

 

 

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