結論はいつ言う

私は英語の仕事をしているくせに、結論は先に言うより最後まで引っ張って、話にオチを付けたいタイプである。

いつ終わるのか分からない話に適当に相槌を打ちながら聞いてくれる夫は有り難いと思う。

しかし、あまりにも脈絡がない話をしてしまうと、会社の元上司、元同僚、そして夫と、主に男性からすこぶる不評であったことが思い起こされる。

「結論から先に言って」と言われたことがある女性はおそらく私だけではあるまい。そう言われて、せっかくオチで言おうと思っていたのにと惜しい思いをしながら仕方なく結論から言う。

結論から先に言うのは英語の論文と同じ形式である。

・私はかくかくしかじかであると思う。
・その理由は以下の3つである。
・まずはじめに、
・次に、
・3番目に、

・以上の理由から私はかくかくしかじかであると思う。

ちなみに英検1級の作文問題はこの形式を守るだけで点数が倍増する。

話を元に戻すと、結論を先に聞きたい人の心理は、「いつ終わるか分からない話を終わるまで待っていたくない」

「先に結論を知って安心して話を聞きたい」

ということだろう。このタイプは結論を急ぐだけあって、ドラマや映画のストーリーを仮に「ネタバレ」されてもそのまま楽しめるタイプだと想像する。

それに対し、私のように結論は最後に言いたいタイプは、人の話を聞くときも最後にオチをつけてもらって笑いたい、もしくは感動・感心したい、ネタバレされると非常にがっかりし、その後の話を聞きたくなくなるほどだ、というタイプではないだろうか。

結論を先に言いたい、聞きたいタイプは効率重視型、結論を最後に言いたい、聞きたいタイプは娯楽重視型だと勝手に思ったのだがどうだろうか。

これは必ずしも男性が前者で女性が後者ということではない。どちらにも両方のタイプがいる。

普段私はついそのことを忘れてしまうので、女性に対してはハナから安心しきって、自分なりの導入から話を始めてしまい、女性からも「え?いきなりなんの話?」と話の交通整理を求められることもしばしばである。

世の中には大まかにこの2タイプがいることを頭の片隅に置いておくと、「男ってすぐに『結論から先に言え』って言うんだよね」などと、無用の苛立ちを覚えずに済む。結論から言って欲しがるのは男性だけではないからだ。

しかし、親しい人との雑談は、英語の論文ではないのだから、無理して「結論を先に言わなければ」と強迫観念に駆られる必要はない。

要は話は短ければ良いのである。
人間は基本的に他人の長い話が嫌いなだけなのだから。

#エッセイ

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