アイリッシュマン

映画『アイリッシュマン』

 トラック運転手のフランクは、稼ぐために荷の横流しを始める。捕まりそうなときに労働組合の弁護士に救われ、祝杯を上げた店で会ったのは地元の大物マフィア、ラッセル。フランクは様々な仕事を請け負い始める。成果を挙げて順調に地位を築いていくが、娘のペギーは父の仕事に気づき始めていた . . . . . .

 最高級の空気感で語られる、あるマフィアの半生。スーツ、葉巻、銃が彩る人生は、きらびやかでもなく、ただ血生臭い。主人公に偏った思想やヒロイズム、破壊衝動を持たせずに、普通の人間として描いており、マフィアという存在が地域社会に根付いていることが分かる。派手なアクションがなく策謀が渦巻く様は『アウトレイジ』にも似ているが、アウトローが特別な存在として描かれていないのが本作の良い所。家族を持ち、友人を大切にするありふれた人間にも思える。本当の殺し屋とは、こんな感じなのかなと思わせてくれる。

2019年 監督 マーティン・スコセッシ 主演 ロバート・デ・ニーロ

 結構真面目な映画という印象です。家族を大切にしてきたつもりの、1人の男の人生を丁寧に描いていて、なめらかなスリルと切なさを感じます。派手なシーンはなく、必要なカットを入れて、傍から観察するような雰囲気はどことなくドキュメンタリー的です。「面白い」と声を上げるわけではないけれど、嫌いではない映画です。

画像出典

(https://www.youtube.com/watch?v=05uH8pj1B1E)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?