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何がいいかは、何とも言えない。

【取り上げる具体的シーン】

ある高校での出来事です。

生徒がPC室を利用し、印刷することがたまにあるのですが、用紙が切れていてないことがあります。

あるいは、インクが切れていて、ないこともあります。

そういうとき、多いのは、

「用紙がないのですが……」

「インクがなくて印刷できないのでインクを交換してください」

と言う生徒です。

ところがある日、ある生徒は違いました。

私には何も要求せず、隣のPC室に入っていきました。

すると戻ってきて、こちらのPC室の印刷機から用紙を取って、また隣のPC室に行って、自分の印刷物を手にして戻ってきました。

最初、私は彼が何をしているのか分からず、聞いてみたところ、

「こっちはインクがなくて、あっちは用紙がなかったみたいで、こっちから用紙を移してあっちで印刷しました」と教えてくれました。

私はすっかり感心しました。

ないから「ない」と言う生徒と、

ないならないで何とかする生徒と、

どちらが自由で、自立しているか、

どちらがより高度な問題解決者かと考えると、

それは間違いなく後者だなと思いました。


【「問い」の転換と捉え方の変化】

ただ、待てよと改めて考えてみました。

そこで起こった「問い」は、

次の人のことまで考えた振る舞いはどちらか、

すなわち、より公共性の高い行動はどちらか、というものです。

推測するに、両者とも、自分の次の人のことまで考えて行動しているとは考えにくいのが正直なところですが、

結果的に、自分以外の人にまで配慮した行動をとっているのは、

前者だなと思いました。

この捉え方の変化は自分でも面白い気づきでした。

もちろん、結局はどちらも自分のことしか考えていない、と言えばそうでしょうし、逆に、実は人のことも考えた上で自分の番で補充しているとか、同じような問題解決行動や学びのチャンスを人から奪わないためにあえて不便な状況を放置しているとか、というような考えが彼らにあり、人のことも考えて行動した結果だと言えばそうなのかもしれないのですが。


おしまい


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