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レンコン

ビタミン・ミネラルが豊富な「蜂巣」

(蓮根) Lotus Root

◎旬=秋~冬◎効能=胃潰瘍・十二指腸潰瘍の改善、鼻血の止血

ハスは東アジアの温帯・熱帯産のスイレン科の多年生草本。7月から8月頃、大型の薄紅色の花を朝日と共に開花させ、午後3時頃閉じる。

これを繰り返して4日目に散る、という面白い花で、その種子は3000年もの間、発芽力を保持することができる。

このことを、大賀一郎博士が1951 (昭和26)年3月、千葉市検見川の3000年前の地層から見つかったハスの種子を発芽させ、実証して見せたことは有名な話だ。

日本へは中国を経由して5世紀頃に伝えられた。万葉時代には、花が終わって実ができる頃、果実の入っている花托の形が「蜂の巣」に似ていることから「蜂巣」と呼ばれ、後に「チ」が発音されなくなって「ハス」になったとされている。

しかし、このハスの地下茎であるレンコンが食用として栽培されはじめたのは、明治以降になってからである。

レンコンの主成分は炭水化物で、デンプンと同様に食物繊維が存分に含まれている。

ビタミンもミネラルも存外に多く含まれており、特にビタミンCはレモンの含有量と同じぐらい豊富であるし、貧血の改善に必要なビタミンB2や鉄も含まれる。

切った時などの表面の黒ずみであるアクの成分はタンニンで、収斂、止血、止瀉、消炎作用があるため、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の出血、鼻血に奏効する。

またレンコンを切る時生じる、糸を引くような特有の粘り気は糖タンパクのムチンで、タンパク質や脂肪の消化吸収を促進し、胃もたれ、胸焼け、消化不良に効く。このため、とかく食べ過ぎになりがちな正月のおせち料理にはレンコンが欠かせないのだろう。

江戸時代の『日養食鑑」に、レンコンについて「胃を開き、食を消し、酒毒を解し、産後の血分の病、また吐血、下血、喀血を治す」とあるが、科学的に見ても正しいことがわかる。

【民間療法】

鼻血……レンコンの絞り汁を脱脂綿に含ませて鼻孔に塗る。

喀血・下血・吐血……レンコン50gと水600ccを鍋に入れ、弱火で半量になるまで煎じたものを、1日3回分服する。

下痢……レンコン10gとコップ1杯の水を半量になるまで煎じたものを、1日3回温服する。

全身倦怠感・精力減退……ハスの種子20粒をフライパンで炒めて、1日3回に分けて食べる。

風邪……レンコンをすりおろしてガーゼで絞った約100Cの生汁をコップに入れ

る。これにハチミツ適量を加え、コップいっぱいまで熱湯を注いで飲む(これにショウガのおろし汁5~10滴を加えると、なおよい)。

二日酔い・口渇……レンコン100g、ナシ小2個をジューサーにかけて作った生ジュースを、1~2回に分けて飲む。

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