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2021年度宮城県高校入試 数学第四問

 こんにちは。先日、宮城県では公立高校の入試があったようです。宮城県の高校入試で一番面白い「数学の第4問」についての内容を今回はやっていきます。


 宮城県の高校入試の数学の第4問は「図形の証明問題と長さや面積の導出」です。問題が1ページに収まっていながら、とても時間をかけてしまう問題群です。では、令和3年度本試の問題を考えてみます。


 今回は1、2の問いに分かれており、2は(1)~(3)の3問です。1は相似の証明、2は長さ→面積→長さの比という分量の多い内容です。
 条件 : AD∥BC、BC=2AD、AD<CD、∠ADE=90°、∠CAE=90°、ABCDは台形
図1は今回考える図形です。

図1


1.△ACD∽△ECAの証明(簡略版)
 ∠ADE=∠CAE=90°
∠ACDは共通
2つの角がそれぞれ等しいので、△ACD∽△ECA


これは実は序の口です。一般には証明が複雑というのもありがちですが、今回はそこそこ単純明快でした。このような問題は合同条件や相似条件から逆に攻めて要素をみつけるというのが定石です。

 追加条件:AD=2cm、CD=3cm、(以下では単位を略します。)
AからBCに垂線を引き、BとEを線分で結びます。ここで、既存の線分との交点についてBに近い順にFGHと名付けます。図2は実際に描き込んだものです。

図1


2(1). 線分DEの長さ

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問題がだんだん面白くなってきました。1で証明した相似を使って比例式に持ち込みます。そして三平方の定理を使って解いていきます。また、別解としてはAC:CD=CD+DE:ACの比例式を使うというものがあり、ACの長さ(の2乗)は三平方の定理から導くことができます。


2(2). △EHDの面積

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面積の導出ですが、平行条件から錯角2組が等しい(具体的には∠EHDと∠EBC、∠EDHと∠ECBの組)ので△EHDと△ECBは相似です。よって、組になっている辺同士で長さの2乗の比を求めるとそれが面積比に化けます。あとは△ECBの面積は2辺の長さが分かるかつBC⊥ECから求めることが可能です。そして面積比の式に入れて値を求めればいいのです。
ちなみに、一行一行まとめる必要もなく、素因数分解されたような状態にして計算をした方がとても楽です。


2(3). 線分FHと線分GHの長さの比

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線分比の問題です。これはBからHの間の点で内分をしたときの比が分かればいいのですが、とても複雑です。また、そのままだとBG:GHとBF:FHが噛み合わないのでその2つの比が出てもそれだけでは解けません。ここで、BHの長さを1と仮定してそれぞれ書き直しを行います。そうすると求めたい比FH:GHが一目で分かるので、あとは約分などをするだけです。


面積から線分の長さを特定するというのも大事です。ここまで言ってきたAHの長さはDHの長さが分からないと分かりません。また、DHの長さは面積をヒントに求めればいいのです。

以上が解説でした。最低でも2(1)までは是非解けるようになってほしいです。また、機会があればこのような問題の解説などを作っていきます。よろしくお願いします。

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