見田宗介(2018)『現代社会はどこに向かうのか:高原の見晴らしを切り開くこと』岩波新書

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地球という惑星の有限性に突き当たった人類は、未知の存在しない世界で現下の幸福を感じられるような生き方に転換していく。今を犠牲にした経済成長ではなく、今そのものを幸せとして感じられることが新たな局面での生き方だと説く一冊。一端の社会学者の置き手紙になる論考と捉えた。

議論自体は「脱成長」を唱える生物学と社会学の連合体に属する方々の変わらぬ持論であるが、非常に端的に分かりやすくまとまっている。しかし、やはり解決されない疑問としての、コンサマトリー(=即物的か)な生のその先にあるもの、「幸福な生」のさらにその先にある意味に対する、果てない絶望的探求心が一部の読者の心には横たわる。

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