遠足。それは。

島育ちなので、小学校の遠足の行き先は宿命的に海だった。
帰りはいつもずぶ濡れになり、バスの座席にはビニールシートがかけられる。
バスの窓を開けて風に吹かれると、自分の髪の毛から漂う潮の香りと遠足の疲れでコトリと寝入るまでが遠足。


それが遠足の記憶。


従来は春先に行われる遠足がコロナ禍による休校で延期となり、
ようやく二学期になって、我が子たちも学年ごとにバラバラと行くことに。
そして母は、娘の遠足が水曜であるということを月曜の夜に知ることに。

これは母の情報収集能力の問題なのか、
娘の報告連絡相談の優先順位の問題なのか。
「”コロナ”を組み合わせると、”君”って漢字になるんだよ!」という報告が優先順位として最上位にきがちなタイプなので、おそらく報告すべき順番はやや下の方に下がっていたのだろう。
「ちゃお」の12月号もう出ているよ!の方が優先されてしまったのだ。

大慌てでお弁当のリクエストを聞き、前日に買い出して仕込み、
当日の朝にいつもより30分早起きして作った遠足弁当。ビスコは非常食。

iOS の画像 (1)

「お弁当見せて」と女子目線チェックを受け、
みかんの白いところはもっと綺麗にとって欲しいと注意をいただき(自分で取って)、「私!遠足のグループの中で時計係だから!今日は大変なの!」と、大変そうなまんざらでもないような口調で大きなリュックを抱えて出て行った。

娘が角を曲がるまで見送っていると、いつも元気に走り抜ける近所の同級生男子がソロリソロリと歩いてくる。
足でも痛いのかと思い、「どうしたの?」と声をかける。

すると、歩調に合わせたようなソロリソロリとした口調で
「お弁当、ぐちゃぐちゃになったら、たいへん、だから」
と、ソロリソロリと背負ったリュックが動かないように慎重に歩いて行った。

お弁当、楽しみなんだね。わかる(笑)

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