『好き』こそ物の上手なれ

Close Knit Japanのフェースブックにも投稿したのですが、短い文で終わったのでここでは少し長めに書いてみます。

『好き』こそ物の上手なれ - “What one likes, one will do well”

子供達には身体的精神的柔軟性や、好きな事にとことん打ち込める集中力と体力が備わっています。反面楽しく無い事にも正直で、学校の宿題や習い事をストレスに感じている家庭は多い筈です。

『英会話学校に通っても英語が話せない』のは、大半の子供達には日常で英語を話す必要や欲求が無いからです。学びを活かし楽しむ場面が無ければ、学習意欲が生まれないのは当然ですし、そこで大人が英語を頑張れと励ましても、子供の立場からすると何を目標・目的に頑張ればいいかわからず、英語が嫌いになってしまうことも多いと思います。

時々大変流暢に日本語を話す外国人を見かけますが、彼らの多くは日本語学校へ行った経験がありません。『どのようにして日本語学んだのですか?』という質問に対して彼らは『大好きなアニメを原版でみたくて、独学で日本語を学び話せるようになった』と言います。素晴らしいことでは無いですか?

子供が『好き』な事を見つけた時こそ、大人は子供に信頼と主導権を委ね、(子供が)安心してそれに打ち込める環境を与えてあげたいものです。大変勇気のいる事ですが、人は『好き』や『楽しい』を追求する中で新しい発見や試行錯誤を繰り返し、学びを獲得するのです。では、楽しく無い事や嫌いな事はしなくていいのでしょうか?それは違います。好きな事を続ける為に楽しくない事も頑張れるのです。私はこれらが本当の学びの姿だと思います。

私は小学校、中学校と塾や部活に行かず、習い事と言えばピアノと習字だけをしていました。宿題だけはちゃんとしていましたが、学校や勉強が楽しいと思ったことは一度もなく、得意な教科もなし、スポーツは大の苦手でした。中学校は殆ど行っていなかったので、英語の成績は悪く未だに副詞がとか冠詞が何か知りません。

小学生の時は当時流行っていたファミコンを買ってもらえなかったので、暇さえあれば近所の家にスーパーマリオをしに行ってました。中学生になってから没頭できるのは。音楽と本のみ。当時は友達や従兄弟から借りたカセットをダビングして聞いたり図書館で本を借りたりしていましたが、高校に入ってからは、自由に使えるお金の殆どをレコードや古本に使っていました。

洋楽を聞くうちに英語が大好きになり、まずは知りたい単語を片っ端から調べるという自己流で勉強。兎に角自分の知りたいことを調べまくり実践するうちに、英語を聞いたり話せたりできるまでになりました。高校で1ヶ月留学を体験し、イギリスの大学への留学を目指すようになっていました。後、往復の日程以外なんの計画も無しでヨーロッパ旅行に妹と1ヶ月程出かけました。

当時はインターネットなどもなく、コミュニケーション手段は封書、電話、ファックスでした。親も共働きで忙しかったので、イギリスの大学ばかりが集まる大学フェアーやブリティッシュカウンシルなどに一人で出向いて大学入試の情報などを収集していました。

今考えると気の遠くなるような過程でしたが、ありったけの知恵とエネルギーを使って、『絶対イギリスに引っ越して、イギリスの大学に行く』という目標に向かって1分たりとも惜しまずめいいっぱい生きていました。

留学やその準備に必要なものは親にお願いをして与えて貰っていました。渡英してからも不安や恐怖よりも、期待と喜びで毎日が満たされていました。上に言ったアニメが大好きで日本語を話せるようになった外国人を見ると、当時の自分を思い出し微笑ましく思えます。

大人が言わなくても、自発的で抑えようの無い意欲に駆り立てられるエネルギーを若い人達に感じて欲しい。失敗を繰り返しながら目標を達成する喜びを知った人は、生涯好奇心を持ちながら文化や歴史、様々な学問そして専門知識を掘り下げることをやめないと思います。

家庭や学校といった既存の場所だけでなく、参加者が世界中の人たちとつながりながら『好き』『愉しい』『面白い』『楽しい』を見つけるきっかけづくりをする場所が『クロース ニット ブック クラブ』です。『クロース ニット ブック クラブ』読み聞かせ会の最大の目的である『文化的好奇心を掻き立てる事』ができれば私たちの仕事はほぼ終了です。

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