なぜ記号を使うのか ~ プログラムが魔法でないとわかればプログラマになれる 5

プログラムに記号が使われる理由

最初に紹介したプログラムはJavaScriptというプログラミング言語です。JavaScriptはウェブブラウザで動かすことができますので、親しみやすい言語の一つと言えるでしょう。Javaという似た名前の言語もありますが、全く異なる言語ですので注意してください。Javaも有名なプログラミング言語でAndroidアプリの開発などに利用されています。

alert("こんにちは");

これが最初に紹介したプログラムです。日本人であれば日本語で命令を書きたい、と書きましたが、実際のところほとんどのプログラミング言語は英語を基本にしています。文法が英語的かどうかは言語によりますが、主に単語は英単語を使っているものがほとんどです。

alert はウェブブラウザにメッセージを表示するための命令(単語)です。 こんにちは は表示させたいメッセージの内容です。ここだけ日本語なので見分けがつくと思います。それでは ( と " と ) と ; はどのような意味を持つのでしょうか。これらの記号は単語ではないので知っていないと意味がわかりません。プログラミング言語では記号がよく使われます。なぜ意味がわかりにくい記号を使うのでしょうか。実はプログラミング言語以外にも記号をよく使うものが身近にあります。数学です。+、-、=に始まり、√やΣなど、数式は数字以外、全て記号と言っても良いでしょう。数学ではなぜ記号を多用するのでしょうか。

少し話は変わりますが、専門用語というものがあります。専門家は専門用語をよく使いますが、これには理由があります。意味が定まっている言葉を使うことで誤解をなくすことができますし、同じ説明を何度も繰り返さなくて済みます。ただ、専門用語を多用した専門書を素人が読むのは大変です。専門用語に凝縮された意味は深く、都度調べなければ読み進められないからです。

数学の記号もこれと同じことが言えます。算術には様々な規則がありますが、これを都度説明していては説明だらけになってしまい本質的に表現したい式が埋もれてしまいます。それに言葉で表現するとどうしても解釈次第で意味が異なってしまう可能性があります。ですので「この記号はこういうことをするものだ」と厳密に定義して使うことで、式をシンプルに書くことができ誤解をなくすことができます。結果として数学は世界共通の優れた言語として機能しています。ただ、専門用語を知らない人が専門書を読むのに苦労するのと同様に、記号の意味を知らずに数式を理解することはできません。

プログラミング言語の記号も同じです。それぞれの記号はどのような命令に使うのか厳密に定義されており、文章のような曖昧さがなく使えるようになっています。

専門用語や数式と同様に、プログラミング言語の記号もまた初心者泣かせです。記号の意味を知らないと理解できないからです。ですが、逆に言えば、記号には明確な定義があり、それを理解できればプログラミング言語が魔法ではなく意味のある文章に見えてきます。幸い、プログラミング言語で使われる記号はそれほど多くありませんし、 +- など数学(算数)と同じ意味の記号もありますから、ひとつひとつ理解を進めればそれほど難しいものではありません。記号を「わからないもの」として無理やり進めると挫折してしまう原因になります。記号は専門用語と思ってそれぞれの意味をしっかり理解していく必要があります。

>>続きを読む
>>全記事を見る

<最新話にご興味があればフォローお願いします>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?