2017年8月の短歌

※文章中一部敬称略

【「Re:短歌」掲載歌】
「夜半の電話」より抜粋
面白い話だけして五時間を過ごしてなおも一人の部屋だ
これからのことは一つも話さずに減らし続けるミルクコーヒー
聴き取れないくらいの声で歌われる天国に行くためだけの唄
世界から足を離していた夜のおしまいで待っている明烏

「Re:短歌」は千原こはぎさん主催の返歌をテーマとしたアンソロジーです。
上に載せたのは私の歌のみですが、実際には二人一組で四首ずつ、計八首の連作を作っております(そういう趣旨のアンソロジーです)
以下から読むことができます
http://kohagi.iinaa.net/retanka/

【短歌研究新人賞応募作品より】
犬猫病院と人間病院が並ぶ駅前誰もいません
タワー型PCの音シューゴーと世界を救うまで止まらない
生き返るために食う飯 本日の死亡推定時刻は十五時
一日分の野菜が詰まる液体を下水に流しつつ泣いている
一人の夏はすぐに一人の秋になり無人の冬を迎えてしまう
(以上、「短歌研究」2017年9月号掲載。短歌研究新人賞佳作)

【NHK短歌テキスト掲載歌】
ただいまの声が一瞬残響しそして孤独が部屋に満ちゆく(NHK短歌 テーマ「そして」佳作秀歌 永田和宏・選)
例外として生きてきた水泳の授業で浮かべなかった日から(NHK短歌 テーマ「学校の教科」佳作 黒瀬珂瀾・選)
口論のあとの激しい空しさがだんだん癖になってくるんだ(短歌 de 胸キュン テーマ「空しい」佳作 栗木京子・選)

【それ以外の歌】
群衆についていけずに立ち止まりボックスステップを踏む人たち(うたらばフリーペーパー テーマ「箱」 佳作)

【雑記】
配信は終わっちゃいましたが、合同でネプリを作ったりしていました。
第二弾なども鋭意計画中です。

8月の一番大きな話題は、短歌研究新人賞でしたね。
私は、新人賞はお祭りみたいなもんだと思うので、どうせならお祭りに参加したほうが楽しそうだなあというくらいの意識で応募しています。
結果がわかった直後くらいから、自身の応募作品をネプリやnoteで公開している方が何人もいて、私も公開しようかなあと少し考えたけど、やらないことにしました。
クローズドな場で少数名に読んでもらって、評言をいただく機会があったので、まあそれで十分かなという感じです。

誌面の方はあんまりきちんと読んでいないんですが、受賞作も含めた候補作の中では松木夜鷹さんの「ジャームッシュの髪」がいいなあと思いました。

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