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マッキンゼー出身のキャピタリストが語るスタートアップベンチャーの魅力とClipLineの可能性

二人の対談動画はこちらからご覧いただけます。

高橋(画像左):こんにちは。ClipLineの高橋です。今日は弊社のリードインベスターであり、元マッキンゼーのコンサルタントであるPaul McInerney(ポール・マクナーニ)さんに、当社やスタートアップベンチャーに対する期待値についてお話を伺いたいと思います。

Paul(画像右):皆さんはじめまして。インキュベイトファンドの共同代表をやっているマクナーニといいます。
リクルートで5年ほど仕事をして、マッキンゼーという戦略コンサルティング会社に転職し、シニアパートナーまで務めました。マッキンゼーでは小売や消費財の大手国内企業とグローバル企業を日本とアジアで担当しておりました。

Paulさん1

日本の大手小売業における課題

高橋:小売と言えばClipLineの主要顧客でもあるのですが、マッキンゼーの頃、どういう課題があったかお話を伺えますか。

Paul:そうですね、海外の小売に比べると日本の小売は圧倒的に複雑性が高いんですね。なんでかというと、まず店舗のフォーマットが割とバラバラなんですよね。コンビニでさえ微妙に違うレイアウトだったりしますし。

高橋:国土が狭いですからね、なんとか押し込めないといけないというのがありますよね。

Paul:はい。値付けなんかも、海外だと規制の関係で州のすべての店舗が同じ価格になっていないといけないんですが、日本はそういうのがなくて店舗レベルで価格調整をしたりしますね。そんな事情で現場の業務は複雑になっています。
その中で常に課題として感じていたのは、一つは従来のコミュニケーションの仕方の限界。バーンと組織全体に対して一律でコミュニケーションするのは全然だめで、個別の店舗や地域ごとに消費や状況が違ったりするので、かなり細かいコミュニケーションが必要なんですね。
もっとカスケードでちゃんと1個1個のレイヤーで理解してもらって伝えてというのをきっちりやるというのが非常に大きなチャレンジでしたね。

高橋:すごくよくわかります。僕も起業する前はコンサルタントとして14年、戦略を描きつつも実行支援を中心に外食業を中心にやっていたんですけど、100店舗を超えてくると数千人とか数万人スタッフがいます。前職のときはまさにカスケードモデル、トップから徐々に育成していって、人が人を育成するという形で大組織をコントロールしていたんですけれども、とにかく人数が多くて、指示が微妙に変化しないといけないというのは本当に難しいですよね。

Paul:難易度が非常に高いですよね。しかも小売のすごく面白いところっていうのは、スタッフが常に人と接するわけだから、思いとか創意工夫とかが常に必要なんですね。「いいからやれ」というわけにはいかず、一人ひとりが意思を持って最適なやり方を実行していく、これは相当なチャレンジですね。

無題

ClipLineは大きな課題の交差点にある

高橋: 以前から手厚くご支援いただいてますが、ClipLineにどういう可能性や期待を持っていただいたんでしょうか。

Paul: ClipLineは僕にとって、いろんなものの交差点にあるんですね。「小売」「グローバル」かつ、小売の中でも「コミュニケーション」とか「パフォーマンス管理」という、多くの人が動く中でどうやって一人ひとりの平均的なパフォーマンスを上げるかという、大きな課題のちょうど真ん中にあったので、これは支援させていただいたら楽しそうやなというのを最初から思っていて。

高橋:ありがとうございます。一瞬関西弁が出ましたね(笑)

Paul:もともと関西なので(笑)

高橋:当時のクライアントに対して、ClipLineがあったらこんな風に使えたなというアイデアはありますか。

Paul:すごくポテンシャルを感じるのは、ClipLineを使って系統立てて、こういう店舗でこういうケイパビリティを強くするとパフォーマンスがこうなるっていう、フィードバックループを繋げるような企業が出てくると、むちゃくちゃそれが競争優位になると思っています。それは完全にトレーニングを超えてパフォーマンスマネジメントだと思うんですよね。

フィードバックループを回してパフォーマンスマネジメントが実現できる


高橋:なるほど。初めてお会いしたときに、めちゃくちゃClipLineの理解度が早かったので、「この人どうなってるのかな(笑)」と思ったのをよく覚えています。やっぱりそういうバックグラウンドがあったからですよね。

Paul:特に実行の難しさっていうんですかね。正しい戦略を考えるというのはたぶん3割くらい、継続的にそれを少しずつ調整しながら実行していくのが7割くらいの課題なんですよね。

高橋:そうなんですよね。本当に小売業って簡単に絵に描いた餅になってしまって、確かにやればいいんだけども、全ての店舗でそれが実行できないし、実行できているかさえもわからないので、元々の戦略が正しかったかさえの検証も結構難しいというシーンって結構ありますよね。

さきほどの、フィードバックループがなかなか回らない問題というのは私もずっと感じてきていまして、実は今、お客様満足度調査のモジュールというのを新たに開発して、既に数社でお試しいただいているんですけれども、これが思いのほか、消費者の方がアンケートに答えてくれるんですね。

そうすると、消費者からの声、従業員の動き、というのをあわせて分析をして、各店舗、中間のマネージャー、経営トップというところに戻してあげれば、まさにフィードバックループというのがくるくる回る状態を作れるんじゃないかなと。株式会社フィードバックに名前を変えようかと(笑)

Paul:いいね!(笑)

高橋:フィードバックって、やるのはいいんですけどなかなかチェック、アクションが回らないというのはどこの会社も共通しているかなと思っていて。

Paul:それは最高だと思うんですよね。しかもデータの数たるやトレーニングモジュールだけで何万もあるっておっしゃっていましたよね。

高橋:そうですね。会社によりますけど、多いクライアントだと1社で数万本のクリップがあります。

Paul:すごいですよね。それに対して数十万人単位で接しているとなると、ビッグデータたるやという感じがしていて。
一人ひとりの体験が離職率削減やパフォーマンスの向上につながって、さらに満足度、末端のお客様がどう感じているかを組み合わせると、すごくパワフルだなと感じますね。

Paulさん2

スタートアップ企業で働くことの魅力

高橋:マッキンゼーで働いていた観点からすると、スタートアップで働くことの魅力というのはどういうふうに映りますか。

Paul:いっぱいありますね。大企業で戦略を書く時というのはまずマクロの環境があって、その中の会社の強み弱みがあって、戦略を立てて、具体的な実行プランを書いて、そのあたりから誰にやってもらおうかってなるんですよね。

スタートアップは人ありきなんですよね。アイデアを考えて、他のメンバーと一緒にそれを膨らませるという順番で、それが圧倒的に違うんですね。
もう一つは、大企業では経験できないカルチャーが作られる過程に参加できる。一人ひとりがカルチャーを作るんですよね。
あとは、社長と一緒に毎週会話をしながら、こんなことをやってみようかと相談して、一週間後にはやってみたんだけどっていう話ができるぐらいスピード感がある。
いろんな魅力がある中で3つを挙げるとするとその辺ですね。

高橋:やっぱり一人ひとりの会社に対するインパクトが全然違う。

Paul:全然違いますよね。自分が成し遂げたものはこれ!という。

高橋:自分事になりやすい、しやすいということですよね。

Paul:それもあってこの7~8年ですごく実感したのは、正確な数字はわからないですけど、コンサル業界から5~6割はスタートアップかVCに行っていますね。

高橋:そんなにいますか(驚)。でも確かに多いですね、私の周りでも。

Paul:挨拶に来るたびに「○○というスタートアップにいきます」と、みんなめちゃくちゃいい顔をして出ていくんですよね。

高橋:複雑な心境でしたね(笑)。

Paul:出ていったところのスタートアップでやりがいを感じるというね。例えばClipLineだったら、日本のサービス産業全体のよくなるプラットフォームになっていっているじゃないですか。ひいてはアジア含めてサービス産業全体に対するインパクトを出せるというスタート地点に今ある。
そういう感じで、行った先でのアスピレーションがめちゃくちゃ高くて、みんな機動力をもって同じパーパスに向かって走っているというのはやはり楽しいですよね。

年収ダウンをどう考える?

高橋:一方で、コンサル業界は年収が高いじゃないですか。同じ年収を払えるスタートアップはほとんどいないんじゃないかと思えて、この大幅ダウンはどう考えられているんですかね。

Paul:(少し考えて)自分が一緒に仕事をしていた中で、辞めてスタートアップに行った人で、年収で躊躇したという人はまじめな話一人もいないですね。スタートアップにいって学びまくって成長して、人とパーパスを共有しながら仕事できて、ほとんどの人が自分に対する投資と考えていて。

高橋自分に対する投資なんですね、なるほど。

Paul:昔、リクルートで旅行代理店の立ち上げに携わったことがありました。残念ながら立ち上げて2年位で閉めたんですが。上手くはいかなかったんですけど、そこで1年半くらい0からの立上げをやらせていただいた経験が未だに活きているんですよ。何十年もたって。

高橋:そうなんですか。やっぱりゼロから事業を作る経験が活きてると。

Paul:事業を立ち上げて初めて実感する苦労ってあるじゃないですか、こうだと思ったものがやってみたら全然違うとか。

高橋:もう、全然予定通りに行かないですよね(笑)。

Paul:戦略から実行までの間にどんな紆余曲折があるのかということを実感すると、一生経験になって活きるんですよね。
それで、一番パワフルなのは、それこそ高橋さんのような社長に向かって、経験をしていると「僕だったらこうします」というのを本気で言えるんですよ。失敗をしまくって実際に経験してると、言葉の重みが変わってくるんですよね。

高橋さん1

高橋はどんな人?

高橋:今のお話からもわかるように、スタートアップ企業における社長のキャラクターってとても重要だと思うんですが、Paulさんから見て僕ってどんな人ですか?

Paul:そうですね(笑)、一つは「アイデアマン」ですね。発想がどんどん広がる。実体験に基づきながらも3つか4つくらい先まで考えている方だなと。
もう一つは「食らいつく力」。営業の場面なんかで、最初カスタマーの反応が良くなくても、丁寧に、でも食らいつきながら齟齬があればそれを解いて、自分たちがやっていることに自信を持ちながらも丁寧に説明していく、食らいつく力がすごくあるなと。あとは明るいですね。

高橋:明るいですか?

Paul:ストレスに強い感じがしますね。

高橋:ストレス耐性は強いかもしれないですね。

Paul:いろんな大変な思いをされてきていると思うんですけれど、いつも明るくふるまって、建設的に前向きにやっていらっしゃる。

高橋結構すぐ忘れちゃうんですよ。一晩飲んで寝たらほとんど忘れてますよ(笑)

Paul:僕もそうですね。引きずらずに前向きにやるというのは本当にベンチャーで大事ですね。いろいろなことが起きるんで。切り替えがすごく大事ですね。

今後、ClipLineに期待すること

高橋:最後に、今後のClipLineに期待することをお願いします。

Paul:はい。ずばり僕はアジア全体のサービス産業の基盤になることを期待しています。しつこいくらい「一緒に海外行こうよ」というお話をしていて、とにかくスコープはそこですよね。アジア全体のサービス産業、これから世界のGDPの大きな割合を占めるところで基盤となって、品質やパフォーマンスの向上を担うというのが僕の期待値ですね。もう既に日本で大きな実績があって、海外も少しずつ始まっているという中で、これから5年、すごく楽しみな5年ですね。

高橋:ますます頑張らねばと身が引き締まる思いです(笑)。ポールさん今日はありがとうございました。

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