電話越しの声は最高(好きな声についての考察)
手前味噌で申し訳ないのだが、私はパートナーの声がとても好きだ。
以前、通っていた鍼灸マッサージの施術中に彼から電話がかかってきたので、断りを入れて短いやり取りをしていた。
電話を切った後、鍼灸の先生が
「旦那さん、めちゃくちゃええ声やなあ。今度カラオケ行く時、連れてきてほしいわ」
としきりに感心していた。どうやら微かに声が聞こえていたらしい。
私は「そうですかね〜」などと言いつつ、心ではウンウン激しく頷いたのを覚えている。
受話器越しの彼の声は響きが増すので、付き合っている時は電話をするのが楽しみだった。
私はバンプオブチキンが学生時代から好きなのだが、ボーカルの藤原基央さんの声はかなり珍しいと思う。
歌声も唯一だが、話し声が特に良い。
低く落ち着いているのだが、その中に様々な音の響きがある。深い低音と一緒に、鈍く光る高音が鳴っている。分厚くコーティングされた虹色の声という感じで、最近は柔らかさを伴い深みを一層増して、私にはもう声に後光が差しているぐらいに感じられる。手を合わせたい気分だ。
やはり手前味噌だが、パートナーの声は、藤原さんと同じジャンルに分けられるように思う。
低く温かみが感じられる。
ただ、藤原さんの声の個性が、色でいうとフォグブルー(濃い紫がかった青/霧がかったような色)だとするなら、パートナーは青緑色のような気がする。訳の分からないことをまくし立てて申し訳ないのだけど、似ている声でも二つはハッキリと違う個性を持っているのだ。
私の頭の中では、この二つが「いい声」の二大巨頭である。
ただ、パートナーはボイストレーニングをしている訳ではない。
それに対して(?)、藤原さんはプロの歌い手として日々研鑽を積まれている。そこにやはり決定的な違いがある。
藤原さんは頭の上にある、発声に必要な弁がすっかり開いているような感じだ。
それは話し声にも発揮される。楽器がしっかりと鳴っているような、表現者の声の力量を実感する。
パートナーは家で話す時、そこまで声を張り上げないので低く篭った印象になる。それはそれで湯舟に浸かった時のようなじんわり温かい響きで好きなのだが、私は一生のどこかで彼の解き放たれた声を聴きたいものだと願っている。
先日二人で喫茶店に行った時、そこに居たワンちゃんが私達の席までポテポテと歩いてきた。ワンちゃんは他のお客さんが来た後も、一旦は離れるのだがしばらくすると戻ってきて、目の前でじっと私達を見上げるのだ。
喫茶店のマスターがこんな事はあまりないと驚いていた。
私は、あくまで個人的意見だがパートナーの声が犬に影響を与えたのだと考えている。声は、あらゆる違いを越えて心にギュンと響くことがあるから。
それは個々人の好みや機会によってさまざまだと思うけど、パートナーに出会えた事を私はかなり幸運だと日々感謝している。
他人からすればただの惚気だろう。
人の声質についてあれこれ言う私自身はどうなのかというと、声を褒められたことは一回もない。あしからず。