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〔41〕稽古19 生時を推定する方法

〔41〕稽古19 生時を推定する方法
 我が弟井口洋の人生のうち白頭狸が具に知るのは青年時代までのことで、その後は人生の重大な局面のほかは知らずに過ぎましたが、とくによく知らない時期は昭和四十二(1967)年からの第三運と昭和五十二年(1975)からの第四運です。
 その二十年は、狸が二十六歳から四十六歳で、弟は二十五歳から四十五歳とまさに壮年ですから、互いに自分の生活にかまけて兄弟のことなど構う暇がなかったのです。
 狸の大運は昭和五十三年から六十三年まで「偏財」で、偏財に導かれた狸は素直にバブル経済を突き進んだのですが、今になって調べてみると、弟も昭和五十二年から五十三年まで「偏財」です。
 同じく「偏財」の弟が狸と正反対の道を進んだのは、稽古18で述べたように、命式(先天運)の「劫財」が示す生来の強固な意志に従ったものと見るしかありません。弟の性情は多分に「劫財」から発したものですが、比肩・劫財の格式は特別なので格式名についての説明は後に廻します。
 白頭狸が自分の格式を定めるにあたり当初は「偏財運」としたのは、月支蔵干が本気戊で、日干甲からみて偏財に当るからです。
 狸が初学の頃に読んだすべての推命書は、格局を「内格」と「外格」に分け、日干から月支蔵干をみた通変星(武田流では「生剋名」)を内格(武田流では「普通格局」)と呼び、特定の要件に合致するものを外格(武田流では「特別格局」)と呼びます。
 巷間推命書の例を挙げると、三木照山著『四柱推命の完全独習』は、次のように説明します。「正格(内格)は元命でみます。ただし月支が比肩・劫財の時は他のところの官星・財星などで定めます」。また亀氏厓風著『四柱推命学事典』も「多くの場合、日干から見た月支通変星をもって格式をとる。例外は比肩・劫財か外格に入る場合」と言います。
 これが俗流推命書に共通する普通格式(内格)の定め方ですが、独り武田考元先生だけは、
 1・蔵干の分野にあたる干の五行が日干以外の天干に透出するもの
 2・蔵干の本気の干の五行が(以下前に同じ)
 3・蔵干の中気の干の五行が(以下前に同じ)
 4・蔵干の余気の干の五行が(以下前に同じ)
 5・上記以外は分野の生剋名を以て格局名とする
 6・比肩・劫財は本気・中気・余気の順で日干以外の天干透出するもの

の優先順位の順に、その生剋名を以て普通格局とされました。
 つまり、運命主体自身である日干は透出と見ずに、「四柱の地支蔵干のなかで天干に透出しているもの」をもって普通各局を定むべし、と唱えられたのです。これによりますと、狸の場合、命式は下記ですから、

     天干 生剋名  地支   蔵干    生旺墓絶
  年  辛金 正官   巳 (戊・○庚・丙)   病
  月  壬水 偏印   辰 (乙・癸・○戊)   衰
  日  甲木      辰 (乙・癸・○戊)   衰
  時  庚金 偏官   午 (丙・○丁)     死 
となります。(蔵干の〇は分野にあたる干を示します)
 実は生時はアヤフヤで、「たしか練兵場のドンが鳴ったように思う」という老女の言だけで確かなものではありませんが、一応正午とします。

 天干の五行は(日干甲木は透出と見ないので)、年干・時干の金、月干の水だけです。一方地支蔵干で分野にあたる干は、年支の庚、月・日支の戊および時支の丁ですから、年支蔵干で分野に当る庚が時柱に透出しているものは年支蔵干のうちの庚となり、この命式の格式は普通各局の「偏官格」となります。
 亀崎氏著『四柱推命学事典』によれば偏官の性情は下記の通りです。
 激発急燥 権威頑剛 独断専制 非凡怜悧 凶鋒反抗 急性顕達
 権謀術数 粗雑冒険 先見果断 貧富両隣
 
 うーん、当たっていないとまでは言えませんが、狸の性情をいうのなら、特に平成以後の狸、とくに平成二十四(2012)年以後の狸に関しては、かなり偏っていると明言できます。大運が変わる時、ことに三十年ごとに訪れる接木に際しては性情がガラリと変わることがあります。

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