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5ドルを2時間で650ドルに増やすことができたワケ。『20歳の時に知っておきたかったこと』書評 #3

こんにちは。
書評が3冊目に突入しました。今回の書籍はこちら。

ティナ・シーリグ著の『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講座』。累計40万部の超ベストセラーである本書が、アップデートされ新版として新たに出されたそう。

著者は、世界でもトップクラスの名門大学・スタンフォード大学工学部教授を務めておられる方で、本書の中では実際スタンフォードでおこなわれた集中講義がちょこちょこ取り上げられている。

ジャンルはよくある自己啓発本のような感じで、パワフルな若者たちが、今後活躍していくために、心得ておきたい“起業家思考”を教えてくれる本。

・何かを成し遂げようとしている人
・今後の人生を無駄にしたくない人
・自分を変えたい人
・とにかく感化されたい人・やる気をもらいたい人

このような人たちは、絶対に読んでおいた方がいい本。かならず自分にプラスになると思う。是非手にとってみてください。


本書の要点

本書で感じたことを綴る前に、本書で印象的だった部分を簡潔にまとめてみる。

自分の持っている資源を考えよう

「5ドルを2時間で増やしてください。」と言われたら、どんな手を使いますか。

競馬やパチンコなどギャンブルに走ったり、5ドルで道具を調達して洗車や靴磨きサービスを始めたり、方法はいろいろ思いつく。

これはスタンフォード大学で実際にあった集中講義の内容で、教授が生徒をいくつかのグループに分け、「どんな手を使ってもいいから手持ちの5ドルを2時間でできるだけ増やしてください」と課題を課した。

各チーム様々な手を使って5ドルを増やしていたが、その中で650ドルまで増やしたチームがいた。そのチームのとった方法が衝撃的だった。

彼らが目をつけたのは、目の前の5ドルでもなく、2時間という時間でもなく、授業の発表発表の時間3分間だった。

スタンフォード大学の優秀な学生たちを採用したいと考えている企業に声をかけ、発表時間の3分を買ってもらい、CM動画を作成して発表時間に流したのだ。企業側にとっても、優秀な人材たちに自社をアピールできるので、十分にお金を払う価値がある。

自分たち自身が”職を探す優秀な学生”という立派な資源であるということに目を付ける発想が面白いなと、とにかく衝撃的だった。

大きな課題や壁が立ちはだかるとつい、目の前のことに囚われがちだが、一歩下がって物事を見てみるとこんなにも斬新なアイデアが生まれるのだと、スタンフォードの学生のエピソードから痛感した。


常識を疑え

常識を疑えば斬新なアイデアが生まれる。例えば、今や当たり前になっているリモート会議。かつて会議は対面でやるのが常識で、そこに誰も疑いを持たなかった。コロナウイルスが蔓延してリモートでの会議が普及したところ、効率の良さに気づき始め、リモートワークやオンライン会議が世間に浸透していった。

このように、常識を見直せば新しいニーズを発見することができ、新たなアイデアが生み出される。常識を見直したい時には、次ように考えてみるといいらしい。

①常識を洗い出してみる
②それをひっくり返してみる
③残していきたいもの、改善したいものを選択する
④その変更がどのような効果をもたらしたかを検証する

これは、世の中の現象に限らず、自分自身にも当てはめることができる。

自分は普段何時に起きているか、週末は何をしているか、何を食べているかーー自分の日常生活での常識を洗い出して上記のように考えてみると、本当は必要なかったり、改善できる部分が見えてくる。


「矢の周りに的を描く」ということ

この話も面白かった。的の特徴に合わせて矢を打つ人を決めるというのが”適材適所”の考え方だとすると、”矢の周りに的を描く”は、刺さった矢の周りに絵を書いてしまえば百発百中だよね、という話。

ある仕事があって、そこへ適した人をアサインすることで的への命中率をあげるよりもはるかに効率的だなと、とても納得した。自分の得意としていること、尖っている部分をとことん突き詰めていった方がいい。


「する」と「しようとする」を一緒にするな

これもまた衝撃だった。バーニーロス教授の実践した演習で、教授がギュッと空き瓶を握り「僕から空き瓶を奪おうとしてみて」というと、生徒は瓶を奪おうと試行錯誤したが奪うことはできなかった。その後、教授が「僕から空き瓶を奪って」というと生徒は奪うことに成功した。

つまり、「する」と「しようとする」はまったく別物であって、「しようと思ってます」「やりたいと思っています」はやらないことの言い訳にすぎない。「やる」か「やらないか」の二択しか存在しない。


本書を読み終えてわたしが感じたこと

全体的に共感性の高い内容だった。何ごとも見えるものだけに囚われていてはいけないな、と改めて痛感させられた。

先日読んだ著書『本を読む本』の中に、「読書は積極的な行為で、与えられた情報を鵜呑みにしているようではそれは読書ではない」という内容があったのを思い出した。結局生きる上では、なにごとも積極性が欠かせない。常に、アンテナを貼る積極性が求められているんだなあ、と実感した。

自分は、普段生きていて日常からヒントをもらおうとする人で、よく知らない街を散歩をしたり、意味もなく歩いてみたりして新しい何かを発見するのが好きだ。「なんでこんなところに広告を出しているんだろう」「なんでこんな近くにコンビニがいくつもあるんだろう」「なんで?」と、とにかく目の前の現象にWHYのレンズを通して生きている。日常にはヒントがごろごろ落ちている。大人になってもこの感覚を大切にしていこうと思った。

これは関係ない話だけれど、最近「この人が言っているこれってあの本のこの話に近いな」とか「抽象化するとこのことを言っているんだよな」みたいなことが多い。

ライターのオバラさんがよく口にしている「情報と情報を有機的につなげる」という感覚が、少し理解できるようになってきたかもしれない。

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