一番古い記憶/短文バトル3

 母と喧嘩し、スマホが壊れ、仕事でトラブって、とにかくひどい一週間だったので、土曜日は自分を労ろうとエステサロンへ行った。全身のマッサージが終わり、足裏をほぐしながら施術者が「もしかして小さい頃、高いところから落ちて頭を打ったことがありませんか?」と言うので驚いた。神社の長い階段から転げ落ちたことが、わたしの人生で一番古い記憶なのだ。傷が残っているわけではないし頭は触られていない。彼女は「足裏には人生の全てが表れるんですよ」と言った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?