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【ボーヤンスィー=buoyancy=浮力】

皆様大変ご無沙汰しておりました。世の中の動きが大きく変わってきた2020年。動きが大きく変わったという点でマガジンが滞っていたわけではなく、熱狂的なCLEAVEファン皆様の応援によって大変忙しくさせていただけること、この場を借りて感謝申し上げます。

自分の気持ちの中も含め、CLEAVEとして歩むべき方向性が改めて明確になり、ここから5年のビジョンがはっきりとしたものになりました。

さて、先日終了したCLEAVEオーダーフェアの中で、恐らく自分が一番口に出したワードであろう ”浮力”。今回はここにフォーカスしていきたいと思います。

ボードの浮力って?

どのようなボードでもそれぞれ相応の浮力を持ちます。それは人が乗った時にしっかり浮くように作られており、時にサーフボードではボードの容積を**リットルと表示しています。シェイプデザインを含め、容積とボード重量によって浮力(※1)は決まってきます。※1:静止状態での浮力

例えばCLEAVEの場合、同じスペックでミディアムフレックスコアとスーパーハードフレックスの2本を作ったとしましょう。容積(リットル)は同じですが、材料重量が重い分、スーパーハードフレックスで作られたボードのほうが浮力は少なくなります。

ライディングに際しては揚力という力も働いてきますが、今回は浮力に特化した話でまとめてみたいと思います。

浮力とライディングの関係性

ライディングにおいて浮力の調整はとても大切です。特にカスタムボードではライダーに対しての浮力の調整は一番大切だと言っても過言ではありません。

力の無い日本の波で考えた場合、ボードがどのくらい水中に沈んでいるのかはスピード性能や加速性能に直結します。水に大きく沈み込む浮力の無いボードより、沈み込みが少ないボードのほうが水に対する抵抗が減り気持ちよくスムースにライディングできます。それは特に小波で掘れてくるセクションが少ないコンディション(オンショアのタラタラとしたような)では顕著で、前記コンディションの試合であれば間違いなく浮力のあるボードを選んだほうが良いでしょう。

海外ではどうでしょう?海外のサイズのある掘れた波であればボードは勝手に走っていきますから、コントロールに集中するため薄くて細くて・・・というボードで良いのです。薄く細いボード=浮力小は、大きく掘れあがる波に対してレールを水に沈めやすくなります。大きな浮力のボードを選んでしまうと掘れ上がる強い波にレールを沈めることができず、ターンすることすら難しくなります。実際に近藤 義忠プロや僕がハワイのような場所でサーフする場合、日本で使うボードから大幅に浮力をそぎ落としたボードに乗ります。※ボディボードの場合、サーフボードの大波用ボードの概念とは異なります。

前後の浮力って何よ!?

今までの話の流れによって、浮力というものがボードの性能や性格に直結する大切な部分であることを何となくご理解いただけたのではないでしょうか?

ただ・・・浮力には前後の浮力の調整というものもあるんです。(笑)

一番浮力の大きな部分がボードの前後どのあたりにくるかということです。ボードのワイデストポイント(ボード幅の一番広い部分)がそれにあたるわけですが、ワイデストポイントをボードのノーズよりにもってくれば、相対的にテール側の浮力が減りボードコントロールがしやすくなり、ワイデストをテール側へ寄せれば加速性能が良くなります。

最近ではリップ技が3D化し、ARSやらバックフリップやらと、ボードのノーズ寄りで着地するケースが出てきている関係で、着地を安定させるため、ノーズ側にしっかりと浮力を付けたデザインに人気があります。ノーズ側に浮力を寄せた場合、スピンの乗り込みの際にも安定するため、特にコンペティターには人気のあるデザインです。

ただノーズ寄りに浮力を寄せただけでは加速性能に満足できないため、テストにテストを重ねてワイデストポイントの位置が定まったテンプレート(ボードの形)を開発しますが、CLEAVEでいうところのCLK-EVOがまさにそのテンプレートで、現在CLEAVEライダーの多くが使っています。

浮力を考える→まとめ

ボードの性能は浮力だけではありませんが、CLEAVEでは、1に浮力(ボリューム / リットル)、2にストリンガー等のオプションとボトムシェイプと考えます。ボードのボリュームによってフォームの厚みも変わり、それにより選ぶべきフレックス強化オプションも変わり、揚力を発生させるボトムシェイプも変わってきます。逆に、このオプションを使ってみたい!場合はどうですか?という相談はありですよね。

ボードの相談の際、” 私はこう考えていまして、ああしたいのですが?"と、想いの全てをシェイパーにぶつけてみて下さい。ボード製作の経験とシェイパー本人の経験、多くのライダーからのフィードバックを総合して適正なアドバイスができますから。

”自分にとってコントロールできる限界の浮力を持つボード”

これがマジックボードになるような気がしますよ。

浮力に関するおまけ

ユーザーの皆様とのやり取りの中で出てきたお話(実話)

・私、こんなスイスイ進んじゃっていいの~?→良いじゃないですか!
・浮力付けてもらったらスピンがグルグル回ります!→もっともっと!
・ボードが細いとスピードが出るんですか?→出ません。根拠無し
・浮力ってすごい!→そうなんですよ!
・こんなに浮力を頼ってしまっていいのだろうか?→◎!!!
・なんか遠回りしたような・・・→気づけて良かった!
・以前の倍スピードが出ているような気がします!→取締まりにご注意を!
・パドルが早くなったような。気のせいかも。→気のせいではありません。
・テイクオフが早くなったような!?→前より楽にテイクオフできるでしょ?

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