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ブランドとは何か。ラグジュアリーとプレミアムの違いとは何か。

はじめまして。株式会社Clearマネージャーの高良です。
仕事では主に、SAKE100のブランドマネジメントを担当しています。

SAKE100は"ラグジュアリーブランド"として、世界中の人々の心を満たし、人生を彩る日本酒ブランドを目指しています。

今回は、私たちが日々「ブランド」というものに向き合う中で見えてきた「ブランドとは何か」というところから、「プレミアムとラグジュアリーの違い」、さらには、SAKE100というブランドをつくる上で重視している視点をお話していきます。

ブランドイメージは、ユーザーのなかにある

ブランドとは何か。それは、提供者側が提示するものではなく、それを受け取るユーザーが想起するイメージのことです。

商品やサービスを提供する側としては「こう思われたい」という理想のイメージがあると思いますが、ユーザーがそれをそのまま抱いてくれるとは限りません。これがブランディングの難しいポイントの一つです。「こう思われたい」という理想を限りなく現実に近づけるためには、企業は自分たちの持っている(持ちたいと思う)スペシャリティや個性、ブランドとしての人格を、全方位的に一貫して表現していくことが必要です。商品や店舗デザインなどの見た目はもちろん、広告のメッセージ、販売チャネル、お客様に向けて発する言葉遣いに至るまで、全てに対して一貫性を持たせることが、確固たるブランドイメージをユーザーに抱いてもらう手法のひとつです。

ブランドとは、サービスやプロダクトそのもの

今や「ブランディング」という言葉は、企業や各種サービス、学校、地域、個人など、とても多くの業界や場で使われ実践されています。
ですが、あまりにもいろいろな場面で使われすぎて、そもそも、いったい何がブランディングなんだかわからなくなりますよね(笑)

しかし、この「ブラディング」というのは、実はすごくシンプルなことから始まるのではないでしょうか。なぜならブランドとは、サービスやプロダクトそのものだからです。

いくら広告やPR、SNS、企業メッセージ、ロゴのデザイン等でブランドを伝えようとしても、実際に提供している「モノやコト」との間に乖離があっては「ブランディング」は出来ません。
特に現代では、ユーザーがアクセスできる情報が多く深くなっているため、企業がブランドの表現や伝え方だけに注力しても、その内実はすぐに明るみに出てしまいます。
長く存在し続けるブランドは、モノやコトそのものが良いことが前提で、伝えたいブランドイメージとも乖離していません。どんどん、ごまかしは効かなくなっているんです

良い伝え方(コミュニケーション)をしたはいいが、そのモノやコトは、ユーザーが受け入れるだけの価値を持っているのか。提供側が思い描く理想と、実際の体験はきちんと正対しているのか。
ブランドを考え創り出すとき、ただイメージを押し付けるのでは意味がありません。私たちはその視点を忘れてはいけません。

ラグジュアリーとは、ロジックがないもの

では次に、ブランドをつくる上で私たちClearが考えてきた、「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違いについてお話します。

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SAKE100を立ち上げた当初、私たちは、「高級日本酒」というシンプルな枠組みでしかブランドづくりを捉えていませんでした。昨今、高級を示す一般的なワードは”プレミアム”です。私たちも、SAKE100の日本酒は品質に優れ、洗練されていて、かつ高価格であることから「プレミアムブランド」と自らを評していました。
しかし事業を進めるなかで、私たちのブランドは「プレミアム」という表現のままでいいのだろうか、本当に立つべきスタンスはどこにあるのだろうかと考えるようになり、まずはその言葉の意味から噛み砕いていきました。

その結果、導き出した答えがこちらです。

「プレミアム」にはロジックがあるが、「ラグジュアリー」にはロジックがない。

そもそも、「ラグジュアリー」という言葉は、階級社会の出現とともに生まれました。そのなかで圧倒的に位の高い人物は、生まれながらにして上位階級であったり、死後もなおその権威が保障されていたりと、権威=価値は絶対的なもので、何かと比較できるものではないものでした。

このような絶対的なものがラグジュアリーだとすると、プレミアムは相対的で、その価値の理由を比較し分解することができます。機能や品質、市場のポジションなどがそうですね。

さらに、プレミアムは有形であるのに対して、ラグジュアリーは無形だともいえます。
例えば、目に見える品質や機能に惚れて「これが欲しい!」と思うことと、特定のモノやコトを手に入れ体験すること自体に価値を見出し「これが欲しい!」と思うことには違いがありますよね。
そのような体験自体を価値あるものだと考える人にとっては、それが比較対象のいない「絶対的なブランド」になります。これは、思想や精神、宗教、壮大な芸術活動にも類似しているといえるかもしれません。つまり、ラグジュアリーは精神的であり、神話的なものなのです。

ルイ・ヴィトンを例に考えてみましょう。
何故その価格なのか、価値あるものとされるのか、皆が欲しがるのか。その理由は単純で、「ルイ・ヴィトンだから」。それだけですもちろん、それを支えるだけの品質や歴史があることは前提ですが、「便利で使いやすく、壊れない財布がほしい」という理由でルイ・ヴィトンの財布を買う人はほとんどいないでしょう。ある種、理由や理屈を超えたところにある存在が「ラグジュアリー」ではないでしょうか。

日本酒はかつて、神に捧げられる特別なものとして扱われてきた歴史があります。今のように日常的なものではなく、日本酒は非日常的で、神話的なものだったのです。

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また水、米などの原材料だけでなく、土地の歴史や風土、造り手の技術、目に見えない微生物による作用など、日本酒づくりは理論・理屈だけでは計り知れない部分も持っています

つまり、神話的であり、無形の価値を持っている。ラグジュアリーという概念に、そもそも日本酒は沿うものなんです。日本酒って、本来は神様に捧げるものでしたから、もはや人間の価値感覚に当てはまるものじゃなかったんですね(笑)

SAKE100が目指すのは「ラグジュアリー」な日本酒ブランドです。
プレミアム日本酒は、今ある既存市場のトップカテゴリとなりますが、ラグジュアリーな日本酒を目指すことは、そのさらに上の世界、より絶対的で普遍的、グローバル規模で、そして時代に左右されない価値を目指すということになります。

これからの日本酒は、アイデンティティを追求する必要がある

ブランドづくりにおいては「我々は何者か」という自己理解を進めるのがファーストステップだと代表の生駒が言っているように、ラグジュアリーな日本酒をつくる上で必要なのはまず、日本酒とは何かを考えることです。

日本酒は世の中においてどのような存在なのか、言い換えれば、日本酒のアイデンティティとは何か、ということについて、これまでさほど考えてこられませんでした。なぜなら日本酒は、日本の暮らしのなかにあって当然のもので、長い時間をかけて日常生活に寄り添い続けてきたものだからです。

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それぞれの酒蔵でも、ひとつの蔵でスペックや製造工程の異なるさまざまな商品が造られています。そうすると、多様な香り・味わいを楽しめる一方で、酒蔵や銘柄に付随するイメージも多様化してきます。そのため、ひとつの銘柄や酒蔵に対して、固有のキャラクターをもたせるのが難しい。結果、「日本酒とは何か」「我々は何者か」という自己追求がされてこなかったのではないでしょうか。

しかし現在は、人口減少や嗜好の多様化、そして急速なグローバル化による価値観の広がり等によって、これまで通り「いつもの日本酒」では通用しない時代になっています。現に市場も縮小しているわけですから。

先ほど、ブランドはサービスやプロダクトの質と直結していなければならないと言いましたが、日本酒はその逆を行くと考えてもいいのかもしれません。
つまり、良いもの・美味しいもの(=質の良さ)だけを追い求めてきた時代から、そのお酒が誰にどう影響を与えるのか、なぜそれを造るのか、世の中をどう変化させていくのか……自分たちの存在意義を考えていく必要があるということ。その日本酒の何が強みなのか、優れているのか、唯一無二なのか。これを伝えるために、日本酒にはそれぞれのアイデンティティが必要なのです。

ラグジュアリー日本酒ブランドの確立は、Clearの命題

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高級酒だけを造り販売するということは、Clearにしかできない取組みだと思っています。もちろん、地酒蔵のなかにも高級路線で商品を展開する方針でいる蔵もありますし、それは素晴らしいことです。
しかし、地域の酒蔵の多くには、良くも悪くも「いつものお酒」も造らざるを得ないという状況がある。それこそが地酒として親しまれる所以でもありますが、銘柄が日常酒から高価格帯まで分散してしまっていることで、酒蔵のブランドイメージも分散してしまっています。
さらに、高級な日本酒だけを造り価値を生み出すという仕事は、地元の方々に向けて日常的に親しまれるお酒を造り続けてきた地域の酒蔵にとっては従来の市場の喪失に繋がる、大きなリスクを抱えることになります。

だからこそ、全国の地酒蔵それぞれが持つスペシャルな部分だけを抽出し、組み合わせ、高級酒を造るという方法は、Clearにしかとれないのです。
数百年をかけて培われてきた歴史をベースに、各酒蔵のポテンシャルを引き出し、生かしきることができるのが、SAKE100の強みです。だからSAKE100は、堂々と日本酒の歴史を背負って、「ラグジュアリー」に到達できると思っています。

おわりに

今回はブランドという視点から日本酒を俯瞰し、SAKE100の目指す世界をご案内しました。読んでくださった方にとって何か一つでもヒントになれば、そして日本酒に魅力を感じていただければ幸いです。

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出典:『ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか』