残暑が厳しいのは誰のせい

今日で8月が終わる。

もう少ししたら皆が声を揃えてこう言うだろう。

「残暑が厳しいですね」

と。

残暑が厳しい。

いかにも夏がのさばっているような物言いだ。

本当にそうかな？

夏を加害者にしたい気持ちがでてはいないか？

暑さに苦しめられたから。
電気代が高かったから。
はやく涼しくなって欲しいから。

そんな恨みつらみがないと言い切れるかな？

でも夏はもう十分に働いた。

選手季節交代だ。

でもその選手季節が来ない。

そう問題は秋にある。

初秋が弱々しいんだ。

初秋がもっとやる気を出して夏を牽制していれば残暑が厳しいなんてことはなく涼しい日々が始まるはず。

まったく秋というのは四季の中では最弱。

え？

スポーツとか味覚とか読書とか色々魅力がある？

それってさぁ。

どの季節でも同じだよね？

秋だけ特別ってことはないよね。

スポーツの秋。
食欲の秋。
読書の秋。
芸術の秋。

どれも弱々しい秋を庇う為の戯言だ。
特に芸術は意味不明だ。

え？

言い過ぎ？

秋泣いてる？

いやいや。

あなたも言ったことがあるだろう。

「夏が終わったと思ったらもう冬やん。秋あった？」

と。

秋の気持ちも考えずに言ったことあるよね？

存在を消されるほど悲しいことはないというのに。

でも気に病むことはない。

秋が弱々しいのはれっきとした事実なのだから。

だからこそ秋は良いとも言える。

その儚さが人を惹きつける。

束の間の秋。

そそるじゃないか。

季節を暦で考えるか気温で考えるか。

秋的には暦で考えてくれた方が寿命は長い。

でも人々は体感温度で季節を決める。

今、夏だと思っているのは気温が高いから。

それ以外にはない。

たとえ12月でも猛暑日が一ヶ月も続けばみんな夏というだろう。

だから気温が高い日が続けば「残暑が厳しい」と言いたくなる気持ちはわかる。

でもね。

悪いのは秋。

きっとおサボりさんの秋。

たぶん自分のことを冬の前座ぐらいに思っているんだろう。

実力はあるのに自信がもてない小心者。

なんだか憎めない。

残暑が厳しくても秋を責めるのはやめよう。

だからみんなでこう言おう

「初秋が穏やかですね」

と。

うん。

これで秋もやる気がでるってもんだ。

秋には頑張ってもらわないと。

なぜかって？

僕がフルーツの中でいちばん ナシ が好きだから。

あのみずみずしさ。
シャリっとした食感。
リンゴかと思っていたらナシだった時のラッキー感。

たまらん。

ナシが食べられる季節は無条件に良い。

だからナシのシーズンが終われば 秋にはこう言ってやろうと思う。

「もう君秋はラ・フランスようなしだよ」

と。

ではまた。