働くママクリエイターのしごとのヒント:水引作家 田中杏奈さん
みなさん、こんにちは! オンラインレッスン CLASS101(クラスワンオーワン)です。本日はCLASS101で水引のクラスを担当している、水引作家の田中杏奈さんにインタビューをしました。
テーマは『女性クリエイターの仕事/時間術』。クリエイターとして、女性として、母、妻など、さまざまな役割を担いながら、どのように素晴らしいクリエーションがされるのかお聞きしました。
Q1. 水引との出会いのきっかけ、また水引作家として活動しはじめたストーリーを教えてください。
第一子の育休中に文具店で偶然見つけた、水引手芸の本。それが水引との出会いでした。
当時、広告代理店で営業職として会社員をしており、今年6歳になる第一子を出産後の育児休暇中、何か家でできる趣味を探しに立ち寄った文具店で見つけたのが水引の本でした。もともとモノ作りが好きで手先が器用な方だったこと、幼い頃から日本の文化や伝統に関心があったことなどが、最初に水引に惹かれた理由だったと思います。
ちょうど同じ頃、息子の「お食い初め(100日祝い)」がすぐ後に控えていて、その祝いの席の水引飾りを作ってみようと何となく思い立ち、家族全員分の祝箸包みや、お料理の飾り等を水引で作ってみました。その時に、ハレの席のしきたりや、その背景にある日本文化の考え方や様々な意味に触れたことで、「日本文化って面白い、もっと深く知ってみたい」と感じた事がその後本格的に水引をやってみようと思ったきっかけとなりました。
Q2. 制作にあたり、インスピレーションの源はありますか?
私が日本文化や伝統に惹かれた原体験は幼少期にあります。そして、インスピレーションの多くは、その幼い頃の暮らしや自然体験からきていると思います。
海と山に囲まれ、今では限界集落となってしまった兵庫県淡路島の集落の中、築100年以上の日本家屋で幼少期を過ごしました。田舎ならではでしょうか、その地には古くから継承されてきた独特の習わしや祭事ごと・年中行事がたくさんあり、父や祖父は輪番でその役を担っていました。
そんな父の村仕事にいつも付いて行っていた私は、「過疎化とともに、ずっと続いてきた地域の行事や祭り事はいつかなくなってしまうんだろうな」と幼心に寂しく想いながら漠然と、そういった古くから大切に受け継がれてきたものを後世に繋げていく一旦を担えたら…と感じるようになっていました。今思えばそれが日本文化に対する私の原体験でした。
そんな原体験や、自然とともにある暮らしの中での営み・文化、そこから生まれた年中行事、歳時ごと、その背景にある日本人の精神性、そして幼少期の自然体験などが、私のインスピレーションの源になっています。
Q3. クリエイター・女性・母・妻 etc. 役割があるがあるがゆえに、時間のやりくりが重要かと思います。やること・したいことを実現するためのヒントやコツ、または心構えなどあれば教えてください。
一番大切にしていることは、頑張りすぎず、時には怠けて無理をしないこと。これだけ聞くと、ただの怠け者に聞こえるかもしれませんが…(笑)
私がクリエイターとして、フリーランスとして生きていこうと思ったのは、子どもが生まれたことが大きく関係しています。当時クリエイターとして活動をはじめた頃は、息子の育休が明けて、会社に復帰し、家事と育児と仕事に終われる怒涛の最中でした。
1歳の息子を長時間保育園に預ける後ろめたさや、時短勤務や保育園からの呼び出しで周囲に迷惑をかけてしまう申し訳なさ、自分のキャリアや責任や役割等にどこにもぶつけられない不満を溜めながら、想像していたよりも遥かに少なかった息子との日々を、どうにかこうにかこなしていました。
夏のある朝、泣きぐずる息子を横目にイライラしながら朝準備をし、何とか保育園へ送り預け、駅まで走り、息を切らし大汗をかきながら通勤電車に飛び乗った時でした。もうこれ以上は頑張れないかもしれない、生き方と働き方をもう一度見つめ直して、もっと自由に、自分が自分でいられる生き方を見つけよう、と強く感じ、会社員を辞めることを決意しました。
息子との時間や家族との時間をもっと大切にし、余裕を持ちながら自分にしか表現できないことを発信して生きていきたい。そして私自身が笑顔で穏やかでいられる時間を増やすことで、家族に限らず大切な人と笑顔で接しられる時間を増やしたいと感じました。
そんな経緯があり、できる限りストレスフリーで、自分自身が穏やかで居られる状態を維持できるよう、時にはお惣菜を買ったり、お掃除を怠けたり、素直に誰かに助けてもらったり、子どもの言う通りわがままを聞いてあげる時間を設けたり…。お仕事が集中してしまった場合は、恐縮ながらお仕事をお断りさせていただくこともありますが、その分お受けしたお仕事には手を抜かず納得いくまでやり抜くようにしています。
Q4. 子育て・家事に自身のお仕事にと多忙を極めていると思いますが、「これがあって助かった!」といった救世主的モノ・コト・サービスなどがあれば教えてください。
前問での考え方がベースにあるので、家事が可能な限りアウトソーシングできるように常に方法を模索しています。それで言うと、お掃除ロボットや乾燥機付き洗濯機、食洗機、デリバリー、お惣菜サービス、ネットスーパー、オムツのサブスク等。
私じゃなくてもできることは主人と相談しながらアウトソーシングして、子どもと触れ合う時間や仕事に集中できる時間等、私にしかできない事にウェイトを置くことを大切にしています。
Q5. お仕事スペースのこだわりはありますか?
能率的である事。
壁一面に収納棚を設置して、資材や道具など分類毎にゾーン分けしています。過去の作品や、進行中の案件は、お仕事別に箱やトレーに入れてラベリングしています。また、使う頻度で分けて、頻度の低いものは上と下に、頻度の高いものは中段の棚へ収納したり等、細かいこだわりはキリがありません。一番困るのは、真っ直ぐな状態で収納しなければならない水引収納ですが、水引専用の収納箱の商品企画に関わらせていただき、自分の意見を反映いただきながら、メーカーさんに開発いただいた専用収納箱に今は保管しています。
平らな状態で保管しなければならない大判の紙や和紙などは、その大きさに合わせて、オリジナルオーダーの紙用収納箱を箱屋さんに作っていただきました。その物に合わせた効率的な収納方法を考え、使用ストレスのない最適な収納環境を作れるようにこだわっています。
Q6. これが手元にあると仕事が捗る!っといったお気に入りのアイテムはありますか?
捗るかはわかりませんが、いつも手元にあるのは温かい玄米茶か緑茶かルイボスティー。ホットティーがあるとリラックスできます。その日の気分に合わせて音楽も絶えず流しています。
もう一点は、お仕事スペースに関する回答と少し重なる部分もありますが、こだわりの環境づくりと仕事が捗る環境づくりは私にとっては似ていて、こだわりのモノに囲まれていることも、自分自身のモチベーションをあげて、仕事に良い影響を与えていると思います。
例えば、ハサミやボールペン、テープカッターなど、文具一つをとっても、今の私にとってこれ以上は思いつかない、と思えるおしゃれでお気に入りの物、使いやすい物を一つ一つセレクトして集めるようにしています。文具に限らず、作業机、椅子、工具箱、持ち込むマグカップ、ペン立て、掃除用の箒まで、見ると嬉しくなるような、こだわりの品々を集めています。
水引との出会いやお仕事対する姿勢など貴重なお話をありがとうございました。田中さんの繊細ながらもしなやかな強さのある水引作品は田中さんの生き方そのものを表現しているものだとお話を伺い感じました。
ぜひ、田中さんの水引のオンラインレッスンに興味をもってくださった方はクラスページも覗いてみてください。
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