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学校でネットがつながんなくなったときの話(長いです)

「そんなクソみたいな仕事やりたくないっすよ」
後輩は僕にこう言い放った。

彼の言うクソみたいな仕事とは、
職場のネットが全て繋がらなくなった原因を突き止め、そして解決すること、だ。
クソみたいな仕事とは微塵も思わないし、正直言われたときにはとんでもない怒りの感情が湧いてきた。

しかし、彼のいうことも一理あるのかもしれない。だって、
誰に聞いても、教師の仕事じゃないって言われたし、自分でもそう思った。
けど、その時はそんなことは言ってられなかった。
だってみんなが仕事にならないのだから。
みんなが困ればそのしわ寄せは生徒に行く。

ネットが繋がらなければ、オンライン化された出席入力システムも、生徒が登校しました!って連絡してくれる登下校システムも、授業で扱うプリントだって印刷できない。
ましてやうちの学校はBYODで生徒一人一台iPadを持ってきて授業に使ってる。

だから僕は、偶然授業がなかったし、使命感にかられて頑張ることを選ぶしかなかった。

遠くにいるシステム課の担当者と、チャットでやり取りしつつ、文字通り泥だらけになりながら、机の下を這い、収納家具をどけ、壁の中に潜り込み、建物の中のすべてのLANケーブルの配線と、ハブ(LANケーブルをタコ足配線する機械のこと)の在り処を探し続けた。

おそらく「ループ現象」によるものだ、とシステム課のiさんは言った。

ループ現象っていうのは
LANケーブルがハブを介して輪っかの状態になって、データがグルグル回ることで大渋滞を引き起こして、すんごく遅くなっちゃったりすることらしい。

それがこの建物のどこかで起きている、だと・・・。
うちの学校はビル一棟。8階建てのビルのどこにどうやってLANケーブルが引かれてて、どこにハブアクセスポイント(wi-fiを飛ばすアンテナ)があるのか、そういった配置図は存在しなかった。

なぜなら、
出来てから20年ほど経っているこの校舎は、いろいろな業者がつぎはぎつぎはぎ配線工事をしていたから。

この校舎に来て当時5年目くらいの僕には、過去のことはわからない。前にシステム系をやってくれてた先生は特に引き継ぎをせずにやめちゃったし、きっとその先生だってろくに引き継がれてなかったんだ。

だから僕は、
バリバリ文系学部卒で、ネットワークの知識なんて皆無だったけど、システム課のiさんとチャットしながらハブを見つけてはケーブルを抜いたり差したりし、ネットの速度を確認し、次を探しては抜き差し、確認し、を繰り返し、ハブやLANケーブルがどこからどこに伸びているかの配置図を手書きで作った。
作るしかなかった。

とんでもない時間を要したと思う。最後の確認まで数えると二日はかかった。

原因は、ルーター(根元にある、データの交通整理をする機械)から一番最初に繋がっていた16個も穴のついたpla○xのハブだった。(ちなみに、専門の業者に聞いたら、業務用のハブは3年とか5年動いたら文句は言えないとのことでした。自分が見たところでは5年以上平気で経ってるものでしたので、メーカーのことは責めてません。)

そこまでたどり着く間にも、
物理的な脆弱性をはらんだ(切れそうな)LANケーブルやハブが多く存在したが、30個以上あるビジネスデスクをズラして上底の床を剥がしながら、何年も頑張っているLANケーブルを引き直したり、ハブを交換するという気力はわりと早い段階から存在しなかった。急務じゃないから。

しかしたくさん這いずり回った挙げ句に根元のハブが故障してループ現象を起こしていたというのは実に滑稽だった。
もちろん、他の怪しいところも潰していったから全てが改善したのかもしれないけど。そう思いたい。

わかってからすぐに変えの16ポートのハブを買いにヨドバシカメラさんにまで行った。決して業務用ではないので、みたいなことを店員さんに言われたのを覚えてるし、専門の業者の人にも業務用にした方がいいですって言われた。(けど、もう1年以上、2年ちかくヨドバシで買ったバッファ〇ーのやつを使ったまんまだ。。。)

交換して、テストして、その日はそれで終わって、翌日にもチェックして・・・。

やっとクソみたいな仕事は終わった。

実は最後まで怒りは収まらなかったので、あとで後輩をとっちめて話を聞いた。彼はおっかない上司に仕事を任されていてテンパっていたところに、僕に仕事を手伝って欲しい、と頼まれたからついそう言ってしまった、と弁明してくれた。しかし、未だにそのことについては許してないし、許すことはできない。
アチョーーーーーっ!!!

結局、僕のように、好きだからとか、少し得意だからみたいな先生たちがあたかもプロのシステム担当者のような専門的な仕事を任され、通常業務にまで歪みが行ったりしているケースは世の中にたくさんあるのかもしれない。そして、その人たちは理解のない同業者たちからすべからく評価されずにもがいていることだろう。

どうか、皆様に救いがあらんことを。。。

以上です。長々と失礼しました。

細窪

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