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【翻訳】Stoneshard開発日記:ブリンについて―その1

 みなさんこんにちは!
 この投稿は来たるメジャーアップデート "City of Gold" にまつわる話を紹介するシリーズの第一弾になります。今回皆さんにお伝えするのは、栄光の都市『ブリン』とその歴史、そして都市内部の状況についてです。

ブリンのあらまし

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 ブリン。その名を聞けば誰もが自由と繁栄を思い起こす。ある者は、ブリンとは熟練の職人と勤勉な商人の街だと答え、またある者は、ブリンとは命よりも財布一杯の金が価値を持つ、ケチな値切り屋と詐欺師がたむろする街だと答える。
 どちらにせよ、次の一点については異論がないだろう。ブリンとはアルドール人の街の中で最も豊かであり、大陸の西半分において最も繁栄している都市なのである。

 こういうことわざがある――ブリンの者をして、其の身自在ならしめるもの、まさに其の気なるべし――古来よりの習慣で、ブリンに一年間生活したものは誰でもブリン市民になることができた。
 結果として、街は主人の元から逃げてきた農奴や、貧困と空腹にあえぐ者たちを惹きつけ、彼らの多くがブリンの永住者となったのだ。最近の戦争が終わった後、この流れはさらに大きくなり、自らや家族のために小銭を稼ごうと夢見る農民たちが洪水のように押し寄せ、通りを埋め尽くしたのだった。

ブリンの歴史

 ブリンがあの戦争を無傷で生き延びたと言ってしまえば間違いになるだろう。そもそも、戦争の原因はブリンにある。先王、エトベルトの治世において、彼はブリンから自由都市の地位を剥奪した。この施策を進めるにあたって王は極めて多くの敵を作った。王の死とその後に起こった継承問題は、自由都市の地位を取り戻すには絶好の機会だった。そして、ブリンのエリートたちはその機会を利用したのだ。

 ブリン市は次代の君主となる女王の摂政権を認めず、公然と反旗を翻した。ブリンの総督であった王族は裁判も経ずに逮捕、処刑され、市の支配権は街で最も豊かな商人の同業者組合 "Silver League" の手に戻ったのであった(訳注:訳語はまだ決めていません)。ブリンの商人と貴族の間に世代を超えて存在していた諍いは一旦脇に置かれ、共通の敵と対峙するために彼らは団結することになった。「首長連盟」の誕生である。彼らは既存の秩序をひっくり返し、アルドールを自由都市の同盟が治める地として再建することを計画する。王たちを物語の中だけの存在にしてしまおうというわけだ。

 摂政女王の元に結集した者たちの派閥、王室枢密院派はブリンを力ずくで取り戻すことを決断した。最初のうち、運が回ってきたのは枢密院派の方であった。王立軍は数度の大きな勝利をもぎ取り、ブリンの城壁にまでたどり着いた。一巻の終わりとも思われる状況であったが、ディ・ベッロ公爵の卓越した指揮によって戦いの趨勢は連盟派へと傾き、ついには敵を追い散らしたのである。

 連盟派は決定的な優位を手にしたが、突如として大流行した深紅病のために反撃に打って出ることはかなわなかった。このかつてない疫病は両者の戦意を喪失させ、和睦を結ばせることとなる。時を置かずして、流行の始まりの時と同様、何の前触れもなく疫病は沈静化した。しかし、枢密院派も連盟派も、まずはこの不安定な平和を保ち、自らの傷を癒すことを決めたのであった。

 連盟派は一息つけるこの時を利用して大いなる成果を得た。彼らはブリンの再建に巨額を投じ、今では凄惨な籠城戦を思い起こさせるものといえば、城壁に開いたいくつかの穴の周囲に組まれた足場だけである。しかしながら、ブリンは外敵に対する守りはよく準備されているけれども、内部の抗争は外敵以上に予測不能であり、多くの陰謀が渦巻いているのであった…

ブリンの政治

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 ブリンは首長連盟の縮図であり、政争は街の日常茶飯事となっている。ブリンの支配権を巡っては大きく三つの派閥が存在している。

 白銀商会はかつては中堅の商人組合であった。しかし数世紀を経て彼らはあり余る富と政治的影響力を蓄えてきた。ブリン市の独立、首長連盟の結成、そしてその後の戦争、これら全ては主に商会の上層部によって仕組まれたものである。
 商会の煩雑な書類業務は、今のところはまだ効率を保っているものの、近頃は商会の運営能力を脅かしつつある。商会の多くの者にとって、戦争が金の力だけで勝つことができないというのは驚きであったが、それを知った時には時すでに遅しであった。
 未解決となっている前市長の殺人事件が起こってからは、ジョン・バラーが商会を率いている。彼はエルフ製の絹の交易によって富を築いたブリン一の富豪の末裔である。彼の政敵たちはしばしば、ジョンがヤキント王国と懇意にしていることを批難しており、おそらくその批難は正当なものではあるのだが、政敵同士で妥協し、共にジョンと対抗しようとする者は現れそうもない。市の派閥間で今の状態が保たれているのは、ジョンの努力によるところが大きいだろう。
 ヴァンガードは街の貴族の私兵、傭兵隊、そして民兵たちから構成される大規模な軍である。商会が市の軍を立て直そうとして創設した部隊だったが、ヴァンガードはすぐに政権内に派閥を築いた。商人階級が首長連盟の中で圧倒的な影響力を持っていることは、ヴァンガードにとって看過できるものではなかったのである。
 枢密院派からブリン市を守るにあたってヴァンガードは素晴らしい働きを見せたため、ヴァンガードの軍事指揮官は今や、彼らの犠牲と勇気は国の統治権に値するものだと強く信じている。ヴァンガードが商会に対して表立って対立しないのは、ヴァンガードを金銭面で支えているのが商会の金であるためだ。
 ヴァンガードを率いているのは、青銅諸島の旧家出身でひょんなことからアルドールに定住することになったアルノ・ディ・ベッロ公爵である。アルノ・ディ・ベッロは文字通りの貴族であり、貴族としては当然ながら共和主義的な理想をあからさまに軽蔑している。にもかからわず、彼は持ちうるすべての猛々しさと勇気をもって、首長連盟のために戦う心づもりでいるのであった…
 ニュー・ギルドはブリンの職人たち、その汗、そしてその血そのものである。当初、街には工芸品ごとのギルドが数多く存在していた。その影響力は極めて大きなもので、長年にわたって少なくとも一ダースもの職人たちがブリンの市長として君臨していたのである。このことは商人階級にとって目の上のたんこぶであり、戦争が始まってから間もなくして、商会はギルドに金輪際片を付けようとしたのであった。
 戦時に必要だからという理由で、商会は全てのギルドを一つに統合し、それを直接の管理下に置いた。職人自由たるべしという古来よりの伝統に対するこの違反は、ほとんど反乱と言っても良いような不穏を引き起こした。これには商会も譲歩せざるを得ず、ギルドに一定程度の行動の自由を認めることになる。結果として、職人階級はかつてを凌ぐ権力を手に入れることになったのであった。
 ギルドを率いているのは、デンヴァール・ブリー会長である。彼は街一番の武器職人であり、厳格で尊大な人物だ。彼は現在の商会について、労働者の苦労にただ乗りする者たちの集団であるとの認識を抱いている。彼が指をパチンと鳴らすだけで、街の全ての経済を止めることさえもできる。彼はそれを利用して、自らの利益を得ようとしているはずだ。

 今回はこれで全てです。ブリンの派閥やリーダーたちについては、今後の開発日記でさらに詳しく見ていくつもりです。では次回をお楽しみに!

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