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ポエ詩

33
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黴の星

黴の星

綿菓子が目に染みる
天日干しを怠ったから
変身前の水道水は
段差をなくした水道水
どちらも取っ手の一部ではなく
サウナで眠る砂時計
生真面目な毛玉をかき分けて
今ここにいるのは
床暖房ホットカーペットカイロマン!
そうさ
豆電球めっちゃ眩しい態度じゃん!
そう
印をつけておいてよかったよ
経験の浅い深海で泳げた
かぼすの新幹線に乗って帰る
ジェンガのケース
フリスクのケース

瓶詰め

瓶詰め

信号待ちのコンタクトレンズ

削り取られた視線の先に

まだ買ってない明日の旅館

重傷ながら負け認めながら

宝箱に入れた宝の地図を

開いて閉じてコンタクトレンズ

金魚

金魚

梯子を買いすぎてしまったわ。誰か2台引き取ってくれないかしら。残り12台はお庭の柵となりますの。

あらあらあなた。引き取ってくださるの?あら1本でよろしいの?できれば1台、もしくは2台と申してほしかったわ。まあいいわ。梯子の眠る森へ案内してさしあげましょう。

あらあら足が早いのね。まるでコオロギの配達員。あたしはゆっくり歩きたいの。あなたは先に行ってちょうだい。森の場所がわからないですって?地

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千丁

千丁

適切なお酢をくれ お新香を皿に盛れ

塩コショウ少々 不適切

パスタソースはお呼びでない

大正時代 いつぞやの季節

聞き馴染み探す 猛犬と蟹と

粉塵

粉塵

アウトロクイズをしている場合じゃなかった。やわらかい水たまりになるまで、春のバーゲンに粉をまぶしたかった。私だって。

相対性理論を持ち出す週末に、孤島の宴が取り残されても。眼鏡をなくしたクラスメートが、違うところだけ食べて生きても。

矢印をつける必要はない。

お腹の中に身を潜めて窓を待つ夜を、知っていたり知らなかったり。

恰幅

恰幅

飲みかけのペットボトル

コルク詰めたの誰だ

犯人を捜した夜

鍵をなくした蛇

変わらず緑は逃走中で

五十肩はマスカット

捕まえたらやりがい失い

引換券をちぎるだけ

疑似

疑似

鍵は閉めてほしいけど
ドアは開けておいてほしい

技術が目を眩ませる

排水溝にはきれいな水が流れ
夕方に朝顔が枯れた

川を行く鴨たちは
ミスタードーナツが大好き

技術は目を瞑った

見事

見事

ぐびぐび飲み干し

カレイを煮付け

腰に手を当て

巻き尺公園

ベンチはいつも

毛むくじゃらで

ソファーのよう

椅子族の長

文字

文字

聡明なソーセージが走っていく。健気に追いかけるアザラシの赤ちゃん。その差は徐々に縮まっているように見えたが、ソーセージの背中は見えなくなった。夜空の星と通話して、なんとか居場所を掴むことができた。しかし時既に遅し。アザちゃんの頭にはもう、ソーセージの「マ」の字すらなかった。興味を失う速さで追いかけられていたら、マーセージは振り向いてくれたかもしれない。アザちゃんは心太をギュッと押し出しながら、自転

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粗描

粗描

守れるか 天ぷらのコンプラ

衣替えの季節 紆余曲折

珍しくない 魚の品種

さるかに合戦 ザリガニ海鮮

トングのパン屋でナイトショー

ジングルベルの増刊号

誰しも知ってる ペペ論知能

フォークで街を照らスプーン

書いたり食べたりペンスプーン

後日談

後日談

動物は動かなくても物にならず

ケバブ屋は車の中から顔を出す

面従腹背 積み重ね

劇的で現実的な的を射る

目星

目星

いっけなーい!

名前を落っことしちゃったー!

姓名判断だけはされまいと

思ってたのにー!

はー!

急がないと学会に遅れちゃうー!

発表すべき発見が不発に終わっちゃうー!

キャーーー!

いったーい!

直角に曲がったのに正面衝突ー!

よりによって

学ランの下にラグラン着てる男爵ー!

あれ?

何かがおかしい…

ランドセルが重く感じる…

あれ?

もしかして!

学生証が入れ

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逆鞘

逆鞘

ゴボウのおやつは、モコモコした河童のためだけに存在する。低めのヒールを履きつぶすほどの握力が共感を求めたが、玄米で湯を沸かすことはできなかった。私は何かにつけて湯を沸かそうとする。誰も答えないクイズのはしっこで、乾燥機の電源を入れてはならないのに。ああ、いつになったら靴紐のストックを見て安心できるのだろうか。

薊

コチコチ凍る氷の通り

溶けて前進する塊

薄手のタイツは桜色に

決め手の醤油は土に還り

風が吹いたら滞りなく

ゲラゲラと泣く九官鳥