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CIVILSESSION 23:PLANT


開催日:2019年6月29日
開催地:下北沢  Café des Soleils

CIVILSESSIONはクリエイティブチームCIVILTOKYOのメンバーが様々な分野の方と行うアートセッションです。決められたキーワードを元に、発表者たちが一週間で作品を制作します。キーワード発表から一週間後にそれぞれの作品のプレゼンを行い、参加者の投票でグランプリを決定します。

第23回目のキーワードは「PLANT」。
CIVILTOKYOの4名とゲスト参加者2名の計6名で行いました。

・齋藤真理(公務員)
・高橋真美(コミュニティ マネジャー、ときどき写真)
 https://www.instagram.com/mami_tkhs/


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グランプリは齋藤真理に決定しました。

一般にあまり知られていない政治に関してと、そこにデザイナーを参入させようという意識を「植え付ける」ことを「PLANT」と捉えた齋藤は、ユーモアを含みつつもどうしたら日本が良くなるかという考察をプレゼンテーションして見事グランプリを獲得しました。

高橋はふと自分の部屋を見回すとPLANTに関わるものが多数あることに気がつき、それらオブジェクトを会場に持参し、プレゼンの場で自身の部屋の一部を再構築。自分とそのオブジェクトとの関係性を解説しました。
伊藤は一般的に被写体として選ばれる植物は人工的に植えられたものが多く、雑草は被写体として無視されがちであると説明。その雑草を被写体としてカメラを使わず、スキャナーを用いて写真集を製作しました。
根子は自身が普段、絵を描くことはないけれど、昔から描いてみたかったという思いを説明。そこであえて自画像を描くことで、自分に新たな種を植え付けると共に、その作品が出来上がるまでの気づきや苦悩を発表しました。
山森は普段から興味の対象である機械学習の実験として、PLANTをテーマにしたイラストから画像生成を行いました。またその過程を観察しながら、AIを用いたビジュアル化で生まれる未知の可能性について発表しました。
杉浦は植物の一つの見方として「動かず固定された生物」があると解説。動かない生物である植物は、その場所を象徴するものにならないかという考えから、場所ごとの葉を集めたチップPLANTONEを製作しました。



① 高橋真美(コミュニティー マネージャー、ときどき写真)

自室の一部の空間を切り取って、再構成を試みた。
それはある種の露出、また内なるものの公開であり、と同時に「無意識に集めているモノが他者にはどう見えるのか」を密かに確かめる行為でもある。
そこに散りばめられたモノたちが、実は無機のPLANTだったとは。ほとんど後から気が付いた。

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② 齋藤真理(公務員)/plant

政治家の「ヤバさ」が気になっていました。

政治家の役割は、より良い未来に向けて問題を解決していくこと。でも、実際はどうだろう?「それって、デザイナーの方が得意なんじゃないかな」と常々考えていました。
そこで、今回のCIVILSESSIONでは「デザイナーは政治家にむいてる」というプレゼンを披露しようと思います。

プレゼンは下記構成で進行します。
1、なぜデザイナーが政治家に向いているのか?
2、デザイナーが政治家になった前例はあるか?
3、デザイナーが政治家を目指さない理由は?
4、どうやって政治家になるか
以上です。

時間の都合上、政治家=国会議員と限定してお話しします。飲み屋での与太話みたいなものですから、笑って聞いていただけたら幸いです。

さて、「plant」というキーワードについて。
「(プレゼンを他人の記憶に)植え付ける」という解釈に加え、「(人を陥れるための)策略」という意味も込めました。

滑稽な政治を笑っていられるのは今のうち。「こんなことになるなら、本当に立候補しておけばよかった」と後悔する日が来ないといいですよね。

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③ 伊藤佑一郎(写真家)/UNPLANTED PLANTS

ほとんどの植物は人間の手によって植えられたもの。つまりPlantedされたPlantだなと。Planted Plantの代表格は美しい色彩を持つ花々。これまでの歴史においても、多くの写真家が被写体として選び、数々の作品を世の中に発表してきました。そんなことを思っていたときに気づいたのは、Plantedされてないやついるなーということ。こいつ中々の厄介者にされてるなと。
雑草も同じ植物であるにもかかわらず、邪魔なものとして除草剤をまかれたりする。なんとかこいつをヒーローにさせたいなと思い、雑草を美しく作品に仕上げてきました。


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④ 根子敬生(デザイナー)/自分の顔 描いてみた

タネを植えて、花が開いてーーというのは、技術を磨いて、才能が花開いて、みたいな感じがしますよね。

今回は、自分に新しいタネを植えることをテーマにして、今までやったことなかった「絵の具で絵を描く」ということをしてみました。モチーフは自分の顔。理由は、いつも見てるし多分学校の授業とかで描いたことがあるから。今回は自分自身がテーマだしね。

ただ、やってみると想定以上に難しいもので、いちいち筆は洗わないといけないし、洗った筆は拭かないといけないし、筆で描くと跡が残るし、黒い絵の具使うとめっちゃ黒くなるし、白い絵の具はめっちゃ白くなるし、色混ざらないし、描くと混ざるし、乾かないし、乾くし、デカくて全体見えないし、つーか似ないし。いっつも見てたはずなんだけども。

最終的なアウトプットを想像して、逆算で技術を選択することに慣れすぎたせいか、予定調和がなく、出口を規定できない制作は、「ものをつくる」ことの難しさと楽しさを再発見できる時間でした。今は、やたらと目の解像度が上がって、今まで見過ごしてた街路樹とか、洋服のシワとか、ガードレールのサビとか、いろんなものがソリッドに見えます。この目で、また新しいタネが探せそうな気がします。(真面目〜)

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⑤ 山森文生(エンジニア)/植物イラスト事例に関する実験報告

今回は作品を検討するにあたって、自分の中から最も言葉を引き出しうる関心事が何であるか、ということを考えた。そうして、最終的に選んだのが機械学習アルゴリズムを用いた画像生成であり、その実験に関する報告であった。
お題が「Plant」であったので、自分で描いた植物のイラストを素材として、アルゴリズムで揺さぶりをかけながら、経過を観察した。自分の手から生まれないものを求めて、世代交代の際には元のイラストからの変化が最大化するような選定を行ったが、意図せずして植物の品種改良のプロセスに重なり、個人的に発見であった。
表現手法を模索するプロセスにおける自分の視点と立場を示すことに終始したが、そこにある期待がわずかでも伝えられたなら幸いである。

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⑥杉浦草介(デザイナー)/PLANTONE

Wikipediaによると、植物とは「草や木などのように、根があって場所が固定されて生きているような生物のことで、動物と対比させられた生物区分」らしいです。
アリストテレスも植物を「代謝と生殖はするが移動せず感覚はないもの」と分類していて、やはり「動かない生物」という認識が強いみたいです。

自分は「植物=緑」のイメージを持っています。会場で植物が象徴する色は?と聞いたところ、やはり「緑」という答えが圧倒的に多いようでした。実際には植物って根(茶など)や茎・幹(黄緑・茶など)、花(赤・白・黄など)などのパーツから成り立っているもので、決して緑一色のものではないのですが、やはり植物と言われると緑の葉のイメージが強い。その「場所が固定された葉」を使って、特定の場所を表すものができないかなと思いました。

PLANTONEは一つの区画にある葉をパッチ状に切り取って集めた集合体です。例えば世田谷区大原にあるさんかく公園には約16種類の植物があって、ぱっと見はどれも同じ色にも見えますが、並べてみると緑を中心としつつも色とりどりです。この葉それぞれを一枚ずつ切り取り並べたものは、さんかく公園のPLANTONEチップになります。
近所の公園、お店、知人の住居などなど、計12箇所のPLANTONEチップを作りました。

これの実用性を問われれば、一枚の葉でも部分によって色が違ったり、季節や、植え替え、チップの保管(乾燥による変色)問題などなどありますが、ただそれを差し置いて、これは「そこにある植物の色を、その場の象徴とする」という見方の提案です。

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※2019年7月13日 追記
プレゼンの際に「PLANTONEチップが枯れたらそれはそれで面白そう」と述べたので、枯れた現状を以下に掲載します。

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