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CIVILSESSION 28: CIRCULAR

開催日:2020年05月30日
開催地:ONLINE (zoom)

CIVILTOKYOのメンバーが様々な分野の方と行うアートセッションです。決められたキーワードを元に、発表者たちが一週間で作品を制作します。キーワード発表から一週間後にそれぞれの作品のプレゼンを行い、参加者の投票でグランプリを決定します。作品は美術作品に限ることなく、制作された作品は当コラムにウェブ連載として公開されます。

第28回目のキーワードは「CIRCULAR」。
CIVILTOKYOの4名とゲスト参加者3名の計7名で行いました。

・SeiRa(Body Expresser)
 http://instagram.com/seiramass
・Tacanori Civa|RITENUTObytac (衣装屋)
 https://www.instagram.com/ritenutobytac/
 https://www.ritenuto.org
・Limo|Makiko Molimoto(現代アーティスト)
 https://limopiece.com
 https://www.instagram.com/limopiece/

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15:28〜 伊藤佑一郎
38:51〜 山森文生
46:26〜 Limo
1:01:25〜 Tacanori Civa
1:21:16〜 杉浦草介
1:39:30〜 根子敬生
1:58:44〜 SeiRa
2:11:10〜 開票

グランプリは杉浦草介に決定しました。

新型コロナウイルスの影響により、CIVILSESSIONを開始してから初めてのオンライン実施となった第28回。キーワードは「CIRCULAR」。特定の形状を表す言葉でありながら、「循環」や「遠回し」など、物質的な形とは別の意味も合わせ持つ単語となりました。
観客は20人を超え、他の発表者と合わせて30人近い人数が見守る中、それぞれが1週間かけて「画面越しでも伝わる作品とは何か」を思索した発表を行い、その結果大盛況に終わりました。CIVILTOKYO(山森・根子・都竹)がこの会のために開発したガヤ入れアプリ「VoiceApp」もこの結果に大きな役割を遂げたようです。
(VoiceAppはこちらで試せます → https://civiltokyo.com/voiceapp/ )

各発表者が様々な方法で最善のプレゼンテーション方法を模索する中、杉浦は「背景動画機能」を使って前日に録画した発表風景の映像を再生。あたかも自分がそこでCIRCULARについて講説しているかのように偽りつつ、当人は別の発表者の元へ移動。突如画面に現れ、映像内で行われた雑然とした説明を集約をさせるという、zoomの機能を使ったギミックで観客を沸かせ、見事優勝を飾りました。

伊藤はCIRCLEをモチーフにして、zoom画面を用いたゲームを3つ提案。そのうちの1つである「CIRCULAR & SLASHER」という、人狼を模した推理ゲームを実際にその場の観客と共に実演し、場を和ませました。

山森はCIRCULARを「迷い」と解釈。その迷いを可視化するため、ユーザーのマウスの軌跡が、ブラウザ上の特定のフィールドに記録されていくアプリ「4choice」を制作。4択クイズに対して、参加者がどの答えか迷う軌跡をビジュアル化しようとしましたが、クイズを発する機能の実装が間に合わず。それをどうやって発表するかという本人の「迷い」自体もCIRCULARだと結論付けました。

Limoは事前に用意した作品用の素材ピースを観客に選んでもらい、それを用いた上での作品制作をリアルタイムで画面に映すという手法で発表を行いました。観客は、自身で選んだ素材がLimoの手によってだんだんと円形の作品に仕上がっていく様を、コンピューターとスマートフォンの間で切り替わるカメラを通して見るという新しい体験をしたように思います。

Tacanori CivaはCIRCULARの「LAR(ラー)」とは何かを考え、シノラーやアムラーなど、憧れの対象に近づくものではないかと説明。その上で「サーキュラー(丸に近づきたいもの)」を作ることに決意。丸に憧れている動物を模したキャラクターを複数制作し、その工程とキャラクターごとの映像・ストーリーを発表しました。

今回のCIVILSESSIONがzoom開催であるがゆえ「全員が画面を見ている」という状況に注目した根子は、自身の普段の仕事もモニター上だけで完結することが多いと説明。「自分のパソコン画面」を舞台として、時間内に即興でwebページを作る様子を画面共有機能を用いて公開し、観客を盛り上げました。

巡ることや循環、ループをテーマにした動画作品「Endless Nightmare」を制作したSeiRaは、それに合わせて円やループという単語を散りばめた詩も発表。本人のパフォーマンスにより、自身が考える「悪夢」を詰め込んだ世界観を表現しました。



① 伊藤佑一郎(写真家)/Game Center Circular

ZOOMとかビデオ通話で空気感を感じるだったりとかましてや仕事でしかも初対面だったりすると、距離を縮めるのって難しいですよね!最近ではすっかりビデオ通話でクライアントにプレゼンをしたりもするのですが、慣れてはきたものの、やっぱりなんか打ち解けた感じがしな い!それは友達通してのオンライン飲み会とかでも一緒で、なんとなく話は盛り上がりはするけど、ワーっとはならないというか。今日のこの場もなんか知っている人もいるけど、知らない人もいるのにみんなの顔が見れて自分の顔もみられているっていう、ちょっと気まずいというか、戸惑い中という方もいるのではないでしょうか。そんなこの場を和ませるCIRCULARをモチーフにしたゲームをいくつか考えてきましたので、みんなでやりませんか?

①WE ARE CIRCULAR
みんなで協力してきれいな円を完成させよう!
ギャラリービュー状態にしてください。 今回の参加者はZOOM画面の外周にあたる方々です。 スマホが必要になります。
○ルール
・制限時間は2分
・スタートの合図と同時に全員一斉に撮影を開始してください。
・自分のギャラリービューでのポジションを確認し、 次の人につながるように撮影してください
・つながっているかの判定は、参加していない方の中からこちらで指名。

②CIRCULAR & SLASHER
スラッシャーを見破り、サーキュラーの大団円を描け!
ギャラリービュー状態にしてください。今回の参加者はこちらで10名指名いたします。
○ルール
・制限時間は5分 
・10名の中に、7名サーキュラー、3名スラッシャーがいます。
・自分がサーキュラーであると偽ってください。
・サーキュラーは言動や身振りをヒントに、自分がサーキュラーだと思う人の名前を呼んでを指名。
・スラッシャーには他のスラッシャーの名前が記載された、DMが届きます。
○勝利条件
・サーキュラーの指名が5名つながればサーキュラーの勝利。
・スラッシャーが2名指名されればスラッシャーの勝利。
・指名にスラッシャーが1名混ざるごとに、サーキュラーの勝利条件が+(1 6名の指名)

③ SHOOT THE CIRCULARS
出でよ!あなたの家に眠るサーキュラーたち!
ギャラリービュー状態にしてください。
今回の参加者は1vs1の対決で、こちらで指名します スマホが必要になります。
○ルール
・制限時間は1分
・自宅にあるサーキュラーなものを数多く撮影した方が勝ち。
・判定者は参加者の指名。

(伊藤佑一郎の発表をYouTubeで視聴)

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② 山森文生(エンジニア)/迷いを共有するWEBシステム構想

「circular」というキーワードから、最初に「ぐるぐる回る」という様子を連想した。それから、具体的なアプローチについて、思い浮かべては否定することを繰り返す中で、あることに気がついた。それは、アプローチについて悩み繰り返される現在の状態、この迷いは「circular」というキーワードを体現するものではないだろうか。その迷いを可視化するサービスの実装をもって、作品にしよう。
 そうして、開発に着手したのが4choiceというリアルタイム4択クイズアプリだ。これは、Web上に構築された「迷いの空間」を参加者が全員で共有しながら、ホストから出題された問題に移動することで答える、というサービスだ。参加者たちは、空間上での移動をリアルタイムに共有して、その軌跡によって相互に迷いの影響を受け取りながら、出題された問いに対する思考を共有する。物理的に一同に会するクイズ大会などで実施される、マルバツクイズのインターネット版であると想像して貰えばわかりやすいだろうか。
 しかし、残念ながら実装が間に合わず、それをカタチにして発表することはできなかった。それでも、私の一個人としての意見を述べるのであれば、今後も数年は多人数が一同に密集することを忌避する風潮が続くと想定したとき、意思判断が明確であることを求められがちなビデオ会議において、場を共有する集団の中で繊細な機微を捉えたい場面は出てくるはずだ。そんなときに、迷いを共有する、という発想を思い出してもらいたい。それが、集団において相互理解を深め合う優れた方法であるからだ。今回のCIVILSESSIONで実装を試みたものは、そこに寄与する可能性を含んだサービスの種だったのではないか、と思う。
(山森文生の発表をYouTubeで視聴)

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③ Limo(現代アーティスト)/サーキュラーな数字

イベント参加者と一緒に作るサーキュラーな数字作品。
Zoomを効果的に使ったならではの公開制作。
(Limoの発表をYouTubeで視聴)

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④ Tacanori Civa(衣装屋)/むぎゅ

サーキュラーとは
サークルを好み、憧れ、真似る
サークル愛好家

独自に解釈。、

丸ではないさまざまな形の生物が、丸に憧れ頑張るが、丸にはなりきれない、切ないショートストーリー。
(Tacanori Civaの発表をYouTubeで視聴)

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⑤ 杉浦草介(デザイナー)/CIRCULAR STORY

今回のCIVILSESSIONの前に2回ほど、仕事とは別に「何かを作ってzoom上でプレゼンする」という機会がありました。やる前から予想はしていたし、それに対応した発表にしたつもりですが、やはりデザイナーとして感じたのは、CIVILSESSIONのような会においてzoomではzoomなりの楽しみ方がありつつも、絶対に現実での会の面白さを超えることはない、ということです。将来的にどうかは知りませんが、現時点ではそう思ってます。
多くの観客にとって、zoomの画面上で起こることは目の前の10インチ〜せいぜい30インチ程度のモニターの中で平面的に動く現象でしかなく、そこに視覚的な繊細さ、美しさ、かっこよさや迫力を求めるのは(現実/現物よりよく見せられるかという点で)ほぼ無理でしょう。それは例えば同じ映像であっても、モニター越しに説明を受けてパソコン画面で各自が見るよりも、会場の空気がある中、照明の落ちた部屋で壁にプロジェクションされた映像を、他の観客の感嘆と合わせて味わう方が、身体の中に入ってくると思います。

対して、ビジュアル表現ではない「物語」それ自体は、人に情景を想像させることで感情を生み、zoom画面上の視覚的なものから生まれる感動とは別軸にある気がします。なのでストーリー仕立てで起承転結がある、時系列として「何が起きたか」を楽しめるものを考えてみました。
(杉浦草介の発表をYouTubeで視聴)

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⑥ 根子敬生(デザイナー)/画面上での即興制作

リアル空間のパフォーマンスや、実物を観賞する前提の作品は、オンライン上の小さいモニター内での発表では、どうしても魅力が半減してしまう。

ただ、画面上で行うことを、画面上でそのまま見せることが出来れば、作品の魅力はそのまま伝わるのでは?と考え、今回は画面自体を舞台と見立て、CIRCULAR的なモチーフを用いたWEBサイトの制作過程を、パフォーマンスとして見せる発表を行いました。

最後、3分クッキングの「1時間煮込んでできたのがコレです」感になっちゃったけど、時間制限ある中での素材の準備や活用の幅を考えることで、もっと見せ物になる感じがした。
(根子敬生の発表をYouTubeで視聴)

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⑦ SeiRa(Body Expresser)/Endless Nightmare

べっとりと赤黒い壁の染みに
まだ暖かい乳白色の体液がヌラリと光る
月が太陽を隠したほんの束の間
意識と無意識の狭間で芽生えた自我が
足枷のごとく絡みつき
鉛のような下半身がじりじりと焼ける音がする
目覚めと共に去り
眠りとともにやって来る
熟し過ぎたイチヂクのような唇で
僕の心臓を貪る道化師の夢

ノイズとともに薄笑いを浮かべた、外れぬ道化師の仮面。
ドッペルゲンガーのように現れる黒い影は抱えきれない感情。
生命の育み(ループ)を無視した行為。終わらない欲望の悪夢を映像と言葉に詰め込みました。
(SeiRaの発表をYouTubeで視聴)

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