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2歳のシェフがもたらす幸せ

わがやの坊やは一人座りができるようになったときから、料理が好き。ままごとではなく、料理、が好きなのだ。本物の鍋やクッキングツールをひっぱりだして使うから、毎日家中のどこかしこに鍋が落ちてるし、朝起きて「いってー」というパパの叫び声、枕元に鍋のミステリーサークル、不意に上から金属の塊が落ちてくるから寝るのも命がけである。

「野菜を洗う、炒める、調味料を入れる、混ぜる、生クリームを泡立てる、コメを研ぐ、レンジでチンする」こちらの思うようにいかず、イライラすることもあるが、たいがいのことは、2歳にしておてのもんである。料理動画でのお勉強も惜しまない、誰に似たんだその向学心、ママかママかママか?!←

あわよくば3歳くらいからチャーハンなぞ作ってもらって、仕事が終わると「ママできたお!」と食卓にごはんが並ぶ図、を我々夫婦は企んでいるし、中国か、イタリアかはたまたフランスか、修行に早く出してあげたほうが良いのではないかと割と本気で思っている。

ママ友たちが、モンテッソーリや塾や英会話の話題でてんこ盛りになるときも、私は無言で、大きな中華鍋をしょって「じゃ、ママ言ってくるわ」という子の姿を想像しては、むふむふと心の中で笑っている。

勉強はできてもてきなくてもいいから、このパッションを大事にしてあげたいと思っている。

激務で走りぬいた20代後半、誕生日の日に上司に理不尽に詰められて、遅い時間に近所の小さなフレンチにひとり、ふらっと入った。

その小さなビストロの人々はシェフもウエイターも隣に座った国際結婚カップルも、みんな温かく、気さくに話しかけてきて、冷え切った心がじんわりと満たされていった。

お値段が手ごろなのにとても丁寧に作られた、鴨のコンフィも牛の赤ワイン煮込みも絶品で、甘ったるいポルトワインと、大きすぎるレアチーズケーキを食べながら、人生で初めて知らない人たちに誕生日を祝ってもらった。

「私がカチカチパソコンのまえでやっている意味のあるかないかわからないビジネスなんかより、目の前の人を確実に幸せにできるレストランの人たちは、本当に素晴らしいな」

そのとき、そう、強く強く思った。

27歳の誕生日だった。


今日はちょっと私の元気が出なかった。ボーッとしていると灰色の空に飲まれそう。

生クリームと牛乳で、我が子とパンナコッタを作った。「しゃなママ」さんというインスタグラマーのレシピ。いつもなんでもおいしい。

チビシェフがわーわーいってたら、ゼラチンがうまく解けずちょっぴり火にかけたけど、

おいしいパンナコッタができた。


食べることは全ての基本で、食べ物を作ることは人に幸せを与えることだね。

私が食べるのを「うまい?うまい?」と食い気味に確認してくるわが子は、今日もとても愛おしい。

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