見出し画像

和えて、飲む #私の晩酌セット

でも今は敢えて飲んでる。これを書くために。

#私の晩酌セット のタグを見かけてから何か書きたいなあとかすかにほのかにゆるやかに思っていたら、最終日になってた。師走突入目前。どうしてくれるんだ。どうしようもない。

あ、いま飲んでます。七賢の甘酸辛苦渋。常備酒です。

地元山梨のお米を使い、軽快なタッチと滋味ゆたかな味を兼ね備えたこの蔵のレギュラー酒。四合瓶で千円を切る安心感。何年か前に蔵を訪れたときに買って、最近は都内のスーパーでも見かけるようになった。最高です。

大学生時代に日本酒にのめりこんでから、日常生活の一部と化した日本酒。行きつけのお店を見つけてからは専らそこのカウンターでばかり飲むようになったけど、それまでは家飲み派だった。知らんがな。


思い返すと、1品目に頼むのは和え物ばかり。

白身魚とクレソンの和え物。蒸し鶏とカブの和え物。和えるのに事欠かないぐらいいつも和えてる。いえ、すみません。和えてもらってます。

野菜と何かを和えたやつが特に好み。葉物の野菜が特に良い。少し苦みのきいたやつ。味の若いお酒と合わせる。協奏。天にも昇る心地になる。

家だと、夕飯どきに一緒に適当に飲むことが多い。食後に「飲むかあ」と四合瓶を引っ張り出しても、そのまま飲むだけで肴を用意することはあまりない。家でペアリングしたら楽しいんだろうなとは思うんだけど、ちょっと最近は仕事もバタついててそこまでモチベーションが湧かない。


そんなわけで今回の晩酌はささっと和えることにした。

作ったのはタイトル画像にある「菜の花と酒盗の和え物」。茹でた菜の花に酒盗を和えただけ。素材の味を生かしたのかズボラなのか紙一重でわからない。前者だということにしておく。

菜の花はスーパーでたまたま見つけたもので、今年の初物。茹であがりの湯気に乗った香りに、晩秋ながらも春の装いを感じて嬉しくなる。

酒盗はこないだの箱根旅行で買ったしいの食品さんのものを使用。近くの焼津港で獲れたまぐろの肝をしっかり熟成させた一品、もとい逸品。日本酒と同じ発酵食品で、旨味成分たっぷりの酒盗は世の呑兵衛の心強い味方である。

なになに…えっ、酒盗って1年も寝かせてるのか。知らなかった。しかも熱を通すと使い勝手がますとな。朗報。次は炒飯にでも使ってみよう。

お酒も肴も、造り手に想いを馳せれば美味しさは一味も二味も増す。


粗熱の取れた菜の花にひとさじの酒盗を乗せ、箸でちょろっと混ぜる。和える。菜の花の茎の黄緑色が眩しい。酒盗の光沢も相俟って幸せのかたまりになった。そんなに輝かないでくれ。うそごめん輝いてくれ。

茎をかじる。固めに茹でた食感とほろ苦い甘さに思わず笑みがこぼれる。

濃い緑の葉はしっとりやわらか。酒盗はまろやか。じっくり寝かせたまぐろの肝の旨味がぶわあっと口の中いっぱいに広がって、これまた笑いそうになる。実際たぶん笑ってた。

七賢をひとくち。ああ至福。



旬の野菜は美しい。和え衣をまとった姿はもっと美しい。

次は何を和えようか。
暇をしてる瓶たちと相談しよう。


--*--


こちらの企画に参加しました。晩酌は正義です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?