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競争社会で闘わない。私のルールで生きる


20代前半の頃。

私にとって、はじめたばかりの「仕事」というものは、キャパオーバーを繰り返して頑張るもの、という認識だった。


ちなみに、世の中で広告業界の過労死が報じられ、働き方改革が掲げられるよりも少し前のことだ。土日祝日も関係なく技術を磨いて研鑽しよう! という気持ちになんの疑いもなく、とにかく欲張り、力の限り頑張っていた。チームメンバーのほとんどが男性だったが、最年少で未経験の自分は、彼らの足手まといになりたくない!と、かなり背伸びをしつつも、ドロップアウトしないように意識を高めつつ頑張っていた。


しかしどれだけ意識が高かろうが、身体がついてこないことはある。

頑張って頑張って頑張って、ある日、プツリと糸が切れてしまった。身体が鉛のように重い。寝不足か? ストレスか? 栄養不足?生理痛?

どれも当てはまっているけど、とにかく全てがぐちゃぐちゃに混ざって、身体が言うことを聞いてくれない。(子宮内膜症をこじらせていた…ということも数年後に判明した)

そこで事情を伝え、しばらく実家に帰り、毎日17時間は触れていたであろうMacBookは封印。とにかく寝て、食べて、気持ちと身体の回復を目指した。

1週間経ち、会社に復帰できるまでには取り戻した。けれども、どんな顔をして出社すれば良いのだろう?自分の抱えていた大量の仕事をカバーしてくれた先輩に、会わせる顔がない。申し訳なかった。本当に申し訳なかった。私が謝罪すると、彼は文句の一つも言わず、「大丈夫っす」と言ってくれた。大丈夫じゃなかったかもしれないけど。


心の底から感謝した。それと同時に、私はこの組織の中じゃ足手まといであり、邪魔者だ……と自己嫌悪に陥った。


──


体力の限界まで頑張ることに価値がある……というルールがあるとするならば、まず健康な男性には絶対に敵わない。(健康な女性にも敵わないけれど)


とある男性IT起業家が


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